上 下
51 / 51

#51 愛のカタチ

しおりを挟む
「はw?」

 扇が震える背中に声をかけた。
 自身がつけた朱の痣や噛み痕のある白い肌。
 柔らかく、肌の触り心地もよく年上とは思えない。
 なのに本人は酷く繊細で、気にし過ぎている。怯えている訳だ。
「それはw」
「扇君は、僕なんかよりも若いしカッコイイし! あァああ~~もぉうぅ゛」
 頭を抱え込んだ竜司を、キョトンと口を吊り上げて扇も見ていた。

(本当に仕込み甲斐のありそうな子だなぁw)

 不穏なことを考えているのだが。
 これも、1つの真剣な愛の形だ。

 だが、その形に竜司が気づかない。

 それどころではなく。
 延々と、否定をし続ける。

「それで?」

「え?」

「竜司君は私のことが好きなのかなw?」

 直球で扇は竜司も聞いた。

「な゛っ!?」

 思いもしない問いかけに竜司も絶句をしてしまう。
 返事に困ってしまう。

 本心を言うか。
 それとも、相手の将来を考えて身を引くか。

 バクバク――……

「ぁ゛……ぅンンん゛」

 バクバクバク――……

 明日から赤の他人に戻る。
 連絡もせずに、今日のSEXも忘れる。なかったことにする。
 そして、おじさんに戻って。しがない店長の生活に戻る。
 扇も、また出会う前のキャバクラ通い生活に戻って失恋して、海潮の店で管を巻く生活に戻る。
 その時に、相手は誰がするのか。まさかの長谷部か。他の知らない男か。

 竜司の知らない他の男。

 バクバクバクバク――……っ!

 その男を口説き、竜司にしたようなSEXを扇がする。
 気持ちのいい、この一緒に入る風呂さえも他の知らない男とする。

 考えただけで。

 反吐が出る。

「好きだよ」

 自分以外の誰とSEXをする扇を想像して。

 涙と悲しみが湧く。

「間違った関係から始まっちゃったけど」

 相手は他の誰でもない。

 自分自身がいい。

「僕は君のことで頭がいっぱいだよ」

 いくら何かを否定して考えても。
 自分自身以外を選ばないで欲しい。の一点に絞られた。

「愛してるよ」

「よかったw」

 白い肌がお湯と興奮で朱に染まっている。

「私の独りよがりじゃなくて、ホッとしたねw」

 竜司と扇が顔を見つめ合う。
 お互いが苦笑をしているのが見える。

「っせ、責任はとってくれるのかな?」

「そりゃあ手とり足取りとねw 骨の髄まで愛してあげるよ♡」

 ◆

 カチ!

「っはぁー~~」

 すー~~。

 ふぅ――……

 煙草を咥えた縁通の横には寝ている長谷部の姿があった。
 結局、あの後の進展はなく。挿入ることも敵わずに未遂に終わった。
 だが、

『く、口でするから、……で、いいだろう?』

 熱く張った縁司のペニスをしゃぶる長谷部にあっという間に果ててしまった。

「くっそ!」

 ゆっくりと精液ザーメンを飲み干す様子に、また張った茎を嫌な顔をしながら舐め誉め飲み込む行為をされてのお預けに縁司も辛抱堪らないのだが、そこは大人の余裕を見せた。
 
「これから開発してメロメロにしてやるからなっ!」

 子供が相手に縁司も決意を口にした。
 優しく頭を撫ぜキスをする。
 寝ていた長谷部の目が薄く開くが、すぐに閉じた。

「兄貴も今頃、メロメロなんだろうなぁ~~……ん?」

 ヴヴヴ――……

 携帯が震えた音に縁司が携帯を取った。
「村正かぁ~~????」
 そして、液晶を確認をした縁司が目にしたのは。

 ◆◇

 扇:出会ったのが君じゃなくてよかったよ。縁司君♡しょうーもないママ活に竜司君を巻き込んだらタダじゃおかないから覚えておいてねw

 ◇◆

「バレ、てんじゃねぇかよ」

 うへ顔をして、悩みに悩んで送り返した。

 ◆◇

 縁司:懲りたからもうしねぇよ。つぅか、兄貴を泣かしたらタダじゃおかねぇからw

 ◇◆

 連絡先を教えていたことに舌打ちをする。
 嫉妬と嫉妬の言い合いは愛すべき人の為だ。

「ママ活なんかもうこりごりだっつぅの」

 縁司はほくそくむと携帯の電源を切った。
 そして、長谷部の横に寄り添い目を閉じた。

「兄貴、ごめんな」





 ヴヴヴ――……


 竜司:こんな冴えない42歳のおじさんの僕だけど、それでもいいって扇君は言ってくれたよ。ママ活をしてくれて有難うっていうのはおかしいかもしれないけど。縁司君のは感謝しているよ。
 後、長谷部君は高校生なんだからね! 卒業まで清い関係でいること!

 じゃあ、おやすみ。縁司君。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

助けの来ない状況で少年は壊れるまで嬲られる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~

めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆ ―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。― モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。 だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。 そう、あの「秘密」が表に出るまでは。

処理中です...