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#44 それぞれのピンチ
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(マジでしつけぇー~~っ)
扇からの口づけに縁司も苛立った。
やはりというか、大人の彼は舌が巧みで――上手なのだ。
絡める舌が厭らしく口腔内でうねり蠢く。
与えられ続ける刺激に堪らずに縁司の股間も張るのは時間の問題であった。
その光景を唾を飲み込んで長谷部は見守るのだった。
◆
「あれ? そういや、長谷部君は?」
閉店をした後の竜司が首を捻り、ともみと恵に聞いた。
緊張と興奮で頭が一杯だった為、すっぽりと長谷部のことに気がつかなかったのだ。
平常心を取り戻しての疑問符に、
「今さらw どうもこうも、あのおっさんに連れて行かれてたよ」
恵が苦笑交じりに言い返した。
「お、っさんって…扇さんのことかい?」
目を細める竜司に恵の口はへの字に変わる。
チリっとなる雰囲気に空気を読んだともみが口を添えた。
「ヤバそうだし。店に行った方がいいんじゃねぇの? 竜司さんも」
「ぇ、ええ!?」
「ああ。お宅も行った方がいいと俺も思うねw」
「っで、でもだよ? だよ?? 僕はあの店のこと知らないことになっているしっ、行ったこともない《縁司》なんだよっ? ぃ、ったりなんかしたら…バレちゃうじゃないかぁ!」
涙目で竜司も頬を両手で覆い隠した。
「騙したとか思われたらっ、思われちゃったら! ぁ、あァああ~~っ」
悶絶をする様子の彼に。
(馬鹿だろ、この人)
(まぁ、…初恋だろうし。これは仕方がないんじゃないのかな?)
ひそひそと話す。
そんな2人に竜司も、
「他人事だと思ってヒドイよぉう」
大粒の涙を流すのだった。
「いや、そこは誤魔化して行けばいいじゃんって話しじゃないの?」
「つぅか。縁司さんの貞操の危機なんだけどw」
恵の思いもしない言葉に、
「ア゛!?」
一際大きな声を竜司は吐いた。
本物の縁司が身代りだった竜司のしたことを扇に強要させられる様子が頭に思い描いた。
「ゃ、っそ、そんな真似なんか…」
縁司も、抵抗なんか出来ないだろう。
兄に身代わりを頼んだのは自身なのだという負い目もあるからだ。
「だって、…ゃ、…そんな、ことなんか…」
バクバクと心臓も高鳴る。
あり得ないことなんかじゃない、と。
店の空気に流されてしまうのが分かる。
「僕、行って来るよっ!」
「「行ってらー~~」」
◆
(いつまで、…キスすんのかな????)
まじまじと、扇と縁司のキスを見続ける長谷部は、考える余裕さえ生まれていた。
ただ、じっと見つめられる縁司からすれば辛いの一言だ。
兄である竜司を身代わりにした結果が、この状況下で強くも出られないのだ。
あとは、じっとこちらを見続ける阿保面の長谷部のこともある。
縁司自身が断っても、代わりのネギ鴨が――長谷部がいる。
じっと、2人を見据え続ける少年がいるという予備認識。
(あー~~マジでっ! あの馬鹿野郎ッッッッッ‼)
身から出た錆。自業自得の末路である。
いくら舌を絡めとり刺激を与え、優しくしても無反応と嫌悪の表情を露わにする。
扇も、徐々にだが萎えて来ていた。
口づけするのも冷めてきている始末であった。
(なぁー~~んかw っちっがうんっだよねぇええwwwww)
そしてお口直しの意味を込めて、視線は長谷部へと移し変わる。
扇の目の動きは縁司からも分かった。
(っち)
「おい。相手してんのはオレでしょうがw」
口を離して扇の両頬に手を添えてはにかむ真似をする。
「オレをイかせてみなよw」
扇からの口づけに縁司も苛立った。
やはりというか、大人の彼は舌が巧みで――上手なのだ。
絡める舌が厭らしく口腔内でうねり蠢く。
与えられ続ける刺激に堪らずに縁司の股間も張るのは時間の問題であった。
その光景を唾を飲み込んで長谷部は見守るのだった。
◆
「あれ? そういや、長谷部君は?」
閉店をした後の竜司が首を捻り、ともみと恵に聞いた。
緊張と興奮で頭が一杯だった為、すっぽりと長谷部のことに気がつかなかったのだ。
平常心を取り戻しての疑問符に、
「今さらw どうもこうも、あのおっさんに連れて行かれてたよ」
恵が苦笑交じりに言い返した。
「お、っさんって…扇さんのことかい?」
目を細める竜司に恵の口はへの字に変わる。
チリっとなる雰囲気に空気を読んだともみが口を添えた。
「ヤバそうだし。店に行った方がいいんじゃねぇの? 竜司さんも」
「ぇ、ええ!?」
「ああ。お宅も行った方がいいと俺も思うねw」
「っで、でもだよ? だよ?? 僕はあの店のこと知らないことになっているしっ、行ったこともない《縁司》なんだよっ? ぃ、ったりなんかしたら…バレちゃうじゃないかぁ!」
涙目で竜司も頬を両手で覆い隠した。
「騙したとか思われたらっ、思われちゃったら! ぁ、あァああ~~っ」
悶絶をする様子の彼に。
(馬鹿だろ、この人)
(まぁ、…初恋だろうし。これは仕方がないんじゃないのかな?)
ひそひそと話す。
そんな2人に竜司も、
「他人事だと思ってヒドイよぉう」
大粒の涙を流すのだった。
「いや、そこは誤魔化して行けばいいじゃんって話しじゃないの?」
「つぅか。縁司さんの貞操の危機なんだけどw」
恵の思いもしない言葉に、
「ア゛!?」
一際大きな声を竜司は吐いた。
本物の縁司が身代りだった竜司のしたことを扇に強要させられる様子が頭に思い描いた。
「ゃ、っそ、そんな真似なんか…」
縁司も、抵抗なんか出来ないだろう。
兄に身代わりを頼んだのは自身なのだという負い目もあるからだ。
「だって、…ゃ、…そんな、ことなんか…」
バクバクと心臓も高鳴る。
あり得ないことなんかじゃない、と。
店の空気に流されてしまうのが分かる。
「僕、行って来るよっ!」
「「行ってらー~~」」
◆
(いつまで、…キスすんのかな????)
まじまじと、扇と縁司のキスを見続ける長谷部は、考える余裕さえ生まれていた。
ただ、じっと見つめられる縁司からすれば辛いの一言だ。
兄である竜司を身代わりにした結果が、この状況下で強くも出られないのだ。
あとは、じっとこちらを見続ける阿保面の長谷部のこともある。
縁司自身が断っても、代わりのネギ鴨が――長谷部がいる。
じっと、2人を見据え続ける少年がいるという予備認識。
(あー~~マジでっ! あの馬鹿野郎ッッッッッ‼)
身から出た錆。自業自得の末路である。
いくら舌を絡めとり刺激を与え、優しくしても無反応と嫌悪の表情を露わにする。
扇も、徐々にだが萎えて来ていた。
口づけするのも冷めてきている始末であった。
(なぁー~~んかw っちっがうんっだよねぇええwwwww)
そしてお口直しの意味を込めて、視線は長谷部へと移し変わる。
扇の目の動きは縁司からも分かった。
(っち)
「おい。相手してんのはオレでしょうがw」
口を離して扇の両頬に手を添えてはにかむ真似をする。
「オレをイかせてみなよw」
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