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#39 思いがけない宣戦布告

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「いやー~~本当におじさん、このお店のリピーターになっちゃうなァ」

 最後のコーヒーを飲み切った扇がにこやかに縁司にいう。
 それには縁司もまんざらでもなく、兄である竜司を誉められたことに優越感があった。
「それはそれはー」
アタシもですわ。店の子たちにも買って行かなきゃです」
 口を拭きながら海潮も賛同するのである。
「ああ。宣伝しちゃってよ、兄貴のケーキは最っっっっ高だからさー~~」
 喜々と縁司も饒舌に湧いた。

(ほんとうに嬉しそうだな。こいつ)

 彼の満悦した笑顔に長谷部は口をへの字にさせて見つめた。
 その視線に縁司も気づかないハズがなく。

 バチ!

 視線がかち合ってしまう。

(やっっっべ!)

 勢いよく長谷部の顔が横に向けてしまった。
 今度は縁司の口がへの字になってしまう。
 面白くはないのだが、長谷部の仕草が可愛いなどと腐った考えが湧いてしまったからだ。
「っち!」
 舌打ちをして最期の一口を一気に口腔へと流し込んだ。
「っか! うしっ」
 カップを小皿の上に下し、縁司は椅子から立ち上がった。
 その様子を3人が見上げていた。

「ぅんじゃあーオレぁーこれで帰らせて頂きますねー」

 財布を取り出す縁司に、
「いいよ、いいよ。社会人のおじさんが出すからw」
 扇が手を左右に振って見せた。

「えーw いいんですかぁー~~」

「うんうんwwwww」

「下心とかないですよねー」

「あるよ。だっておじさんだものw」

 指先を組み、宙に上げて扇もほくそくんだ。
 それには縁司も「怖いなぁあ~~」と肩を竦めた。

「あら。如月さんったら珍しいじゃないですか」

 海潮が驚きに口許を手で覆い隠した。
 目許は笑顔で扇を見据えている。
「そうかなぁ~?」
「そうですよ。男の人より女性の方の方がお好きじゃないですか」
「私は両刀バイだよ? ママwwwww」
「あら。そうでしたか」
「うんうん。そうなんだよぉうーw」
「記憶しておきますわ」
 淡々とする海潮と扇の会話に、

「だから。何を、どうしたいってのー?」

 堪らずに縁司も苦笑交じりに聞き返した。
 身体を動かし扇の肩に手を乗せて揉み目を細める彼。

「お兄さんのアドレス、おじさんに教えてよw」

「は? 嫌だよw 本人に聞けばいいじゃないかぁー」と扇の肩から手を離した。
 眉間にしわをよせる様子を長谷部も見ていた。
(まぁ、確かに。嫌って気持ちは分かるよな)
 しみじみと思わず顔も頷かせてしまう。

「じゃないとーおじさん。今晩は長谷部君といいことしちゃおうっかなぁー~~w」

「はァ!?」
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