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EP:84 迫り来る嵐
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暗視ゴーグルスコープを装着した三人が勤務に入った。
一人は、休暇明けで。見て分かるほどに浮かれている。
カンカンカン!
鉄格子に警棒を当てて、歩いて行く様子に。
寝ていた囚人たちも息を飲んだ。
そして、少なからずも。
彼らは彼の牢獄に行って、処理をするのだと見つめていた。
行き先は安住とーーゲイリーの牢獄でしかない。
「さー~~ってと」
「休み明けだ。きちんと真面目に仕事をしなよ。セスナ」
「してんじゃあねェかよォ~~一周してから来たじゃねェかよ!」
「…駆け足で、だろ。あんなの勤務にも入らない」
つっけんどんに言うフロイに、セスナの足も止まってしまう。
ドン!
「わ゛!」
そんな彼の背中にフレディが。
顔面からいってしまい悲鳴を漏らした。
「セスナさん。いきなりとーー」
顔に装着した暗視ゴーグルスコープの下を、手で撫ぜる。
当たった個所が、箇所だけにものすごく地味に痛い。
抗議するフレディの言葉を遮るかのように。
「何が言いたいんだァ? フロイよォおお??」
「きちんと平等に囚人を監視しろ」
「--…アズミもかァ?」
低くセスナが挑発的にフロイに言うと。
見える目が細められた。口もへの字になっていく。
「ああ。そうだ」
「はぁ?! 何だよ、それは! っは、ははは!」
「アズミもーー収監された囚人だ。僕も看守として役割を果たすつもりだ」
淡々とフロイがセスナに言う。
仕事魂を感じたフレディは、
「フロイさん。真面目! カッコいいです!」
歓喜の声を上げた。
しかし、すぐに。
「アズミとイチャイチャするためなら、何だって…沈黙だって出来るさ」
本音を隠すことなく言うフロイにセスナも。
半ば、苦笑交じりに言い返した。
「飴と鞭で、あいつを支配するつもりかよ、ドSだなァ」
「…君みたく野獣にはならないつもりだ」
「っは! 十分ーー野獣だろう? 手前もなァ~~フロイィ??」
「無駄口訊くなら、このまま引き返したっていいんだ」
「え。ぇ゛え゛え゛?!」
思わずフレディの口から小さく悲鳴が漏れてしまう。
一応、看守は三人一緒の巡回が掟。
別にフロイだけが戻ってもいいが。
監視カメラもあるため、別行動は不味い。
「君もか。フレディ」
「!? っあ゛…や゛…その、あの…」
「君たちはあの囚人相手にーー狂ってる」
冷やかに短く。
フロイは二人に言い放った。
「ついさっきまで一緒だったんだ。何時間も、こんなところにも居られないよ」
「大丈夫決まってんだろォ? ここに来るまでに、何で短縮して駆け足で来たと思ってんだよ!」
「…--だと思った。でも行為はしないように。君だって身体、辛いでしょ」
セスナの腰を指さすフロイに、
「ああ。腰振るのだって辛ェ」
あのセスナも頷いた。
「今日は我慢してやるよォ」
「その言葉。忘れないようにな」
「ああ」
◆
「あ゛ああ゛あー~~‼」
静かな廊下に聞こえる足音に。
ゲイリーの顔が青ざめていく。
もちろん。
安住も、同じだ。
「ききき、来た?! どうしてだよ!」
一人は、休暇明けで。見て分かるほどに浮かれている。
カンカンカン!
鉄格子に警棒を当てて、歩いて行く様子に。
寝ていた囚人たちも息を飲んだ。
そして、少なからずも。
彼らは彼の牢獄に行って、処理をするのだと見つめていた。
行き先は安住とーーゲイリーの牢獄でしかない。
「さー~~ってと」
「休み明けだ。きちんと真面目に仕事をしなよ。セスナ」
「してんじゃあねェかよォ~~一周してから来たじゃねェかよ!」
「…駆け足で、だろ。あんなの勤務にも入らない」
つっけんどんに言うフロイに、セスナの足も止まってしまう。
ドン!
「わ゛!」
そんな彼の背中にフレディが。
顔面からいってしまい悲鳴を漏らした。
「セスナさん。いきなりとーー」
顔に装着した暗視ゴーグルスコープの下を、手で撫ぜる。
当たった個所が、箇所だけにものすごく地味に痛い。
抗議するフレディの言葉を遮るかのように。
「何が言いたいんだァ? フロイよォおお??」
「きちんと平等に囚人を監視しろ」
「--…アズミもかァ?」
低くセスナが挑発的にフロイに言うと。
見える目が細められた。口もへの字になっていく。
「ああ。そうだ」
「はぁ?! 何だよ、それは! っは、ははは!」
「アズミもーー収監された囚人だ。僕も看守として役割を果たすつもりだ」
淡々とフロイがセスナに言う。
仕事魂を感じたフレディは、
「フロイさん。真面目! カッコいいです!」
歓喜の声を上げた。
しかし、すぐに。
「アズミとイチャイチャするためなら、何だって…沈黙だって出来るさ」
本音を隠すことなく言うフロイにセスナも。
半ば、苦笑交じりに言い返した。
「飴と鞭で、あいつを支配するつもりかよ、ドSだなァ」
「…君みたく野獣にはならないつもりだ」
「っは! 十分ーー野獣だろう? 手前もなァ~~フロイィ??」
「無駄口訊くなら、このまま引き返したっていいんだ」
「え。ぇ゛え゛え゛?!」
思わずフレディの口から小さく悲鳴が漏れてしまう。
一応、看守は三人一緒の巡回が掟。
別にフロイだけが戻ってもいいが。
監視カメラもあるため、別行動は不味い。
「君もか。フレディ」
「!? っあ゛…や゛…その、あの…」
「君たちはあの囚人相手にーー狂ってる」
冷やかに短く。
フロイは二人に言い放った。
「ついさっきまで一緒だったんだ。何時間も、こんなところにも居られないよ」
「大丈夫決まってんだろォ? ここに来るまでに、何で短縮して駆け足で来たと思ってんだよ!」
「…--だと思った。でも行為はしないように。君だって身体、辛いでしょ」
セスナの腰を指さすフロイに、
「ああ。腰振るのだって辛ェ」
あのセスナも頷いた。
「今日は我慢してやるよォ」
「その言葉。忘れないようにな」
「ああ」
◆
「あ゛ああ゛あー~~‼」
静かな廊下に聞こえる足音に。
ゲイリーの顔が青ざめていく。
もちろん。
安住も、同じだ。
「ききき、来た?! どうしてだよ!」
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