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EP:26 今の君に誓う
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『ただ。あいつにゃあ、普通に接してやってくれ』
◇◆
安住の中で、さっきまで一緒にいたラバーの声が、繰り返し響いていた。
そして、牢獄に戻ると。
「あーアズミー」
「‼ ゲイリー! 起きたのか??」
「んーお腹空いたなーって目が覚めたんだけど―」
ギシ! とベッドを軋ませて、安住が腰を乗り上げた。
もともと、このベッドは安住のだが。
「身体がねーははは。動かないんだよねー痛いねー~~」
「なんで! なんだって! ゲイリーッ! お前はッッ‼」
安住はほんわかと話すゲイリーに、声を荒げてしまう。
胸が、目尻が――堪らなく、熱くて…痛い。
「そんなにもなってんのに! 俺を! 俺を‼」
安住がゲイリーの胸元を掴んで、顔を寄せさせた。
「怒鳴れよ! 怒れよッッ!」
ボロボロ。
大量の涙が安住の頬を濡らしていく。
「頼むから…頼むからさぁ~~っつ…」
「んー~~でも。ボクはゲイだから、別にーアズミを怒鳴る理由はないよ?」
そう言うと、ゲイリーは安住の額に額をひっつけた。
「ね? だから、アズミが苦しむ必要はないんだよー?」
優しくゲイリーが、安住に語りかけるように言う。
「ね? アズミー」
でも、しかしと余計に。
「っそんな、そんな…ぅ、うう」
「ね? アズミー」
「? な゛に゛?!」
安住は憤りで、声も震えていた。
「笑って? アズミの笑った顔が好きなんだよ。ボクー」
「わら、ぅ?」
ゲイリーは、安住の頬を濡らす涙を舌で舐めた。
「うん。そうだよーアズミが泣いた顔なんかー見たくないなー」
「ぞん゛な゛」
そのとき。
安住の脳裏に、ラバーが浮かんだ。
◆◇
『それが。せめてもの、償いになるってもんだ』
◇◆
ぐぐぐ。
「うんうんーその顔が好きなんだよーボク」
「腹減ったんだっけ? あーもう、昼飯の時間じゃ――」
「はい。食べるかい?」
「「!?」」
そんな二人に声をかけたのはライルだった。
後ろには、舌打ちするラバーとアイジの姿もあった。
ラバーの登場は分かるものの。
「なんだって。そんな一緒に??」
安住の言葉に、
「えーだって。喧嘩の声がうっさかったんだもん! 寝てたってのにさw」
ライルが包み紙を毛布の上に放った。
「ライルが来るって言うから、オレも来たんだ。飲み物持って来たよ、ライルはパンし――」
「日本人?? キサマは一回、シメられてェのかい?」
ゴメスの言葉を遮って、ラバーが低い口調で、安住に言った。
ぶん!
ぶぶん‼
「わー~~っつ、たたたぁ~~」
上半身を上げ、小さく悲鳴を漏らすゲイリーに、
「おいおい。いいから寝てやがれ、ゲイリー」
ラバーが制止させるも。
「ううんーありがとーババさんー~~」
「‼ っよ、よせやい…っち」
「へへへー~~」
「ほらよ」
ラバーはゲイリーの手に小さな箱を置いた。
そこには《薄いコンドーム》の文字があった。
「病気は怖いしな。相手だって、少しゃ、…ま。つけてもらうに越したことはねぇ」
「? あー~~へー? ゴムって、こんな箱に入っているんだー~~?」
「「「!?」」」
「ボク。女の人とのSEXだけにつけると思ってたー」
「「「‼」」」
さすがにコンドームを知っている安住も絶句してしまう。
「っほ、本当に…経験、なかったのか?? ゲイリー、さん????」
「そういう雰囲気になる前にーみんな逮捕とか、死んじゃったりしたからー」
ばっこん!
「った!」
安住の脳天を、険しい表情をしたラバーが拳で殴った。
「日本人ッッ‼ いい加減にしねェか!」
「っふぁ、ふぁい‼」
そんなやり取りをする2人に、
「なんか仲良くなってるーいつの間にー?? ははは」
ゲイリーが微笑んだ。
その顔に。
(俺も、強くなんなきゃ。ゲイリーを守れるぐらいに!)
安住は強く想った。
◇◆
安住の中で、さっきまで一緒にいたラバーの声が、繰り返し響いていた。
そして、牢獄に戻ると。
「あーアズミー」
「‼ ゲイリー! 起きたのか??」
「んーお腹空いたなーって目が覚めたんだけど―」
ギシ! とベッドを軋ませて、安住が腰を乗り上げた。
もともと、このベッドは安住のだが。
「身体がねーははは。動かないんだよねー痛いねー~~」
「なんで! なんだって! ゲイリーッ! お前はッッ‼」
安住はほんわかと話すゲイリーに、声を荒げてしまう。
胸が、目尻が――堪らなく、熱くて…痛い。
「そんなにもなってんのに! 俺を! 俺を‼」
安住がゲイリーの胸元を掴んで、顔を寄せさせた。
「怒鳴れよ! 怒れよッッ!」
ボロボロ。
大量の涙が安住の頬を濡らしていく。
「頼むから…頼むからさぁ~~っつ…」
「んー~~でも。ボクはゲイだから、別にーアズミを怒鳴る理由はないよ?」
そう言うと、ゲイリーは安住の額に額をひっつけた。
「ね? だから、アズミが苦しむ必要はないんだよー?」
優しくゲイリーが、安住に語りかけるように言う。
「ね? アズミー」
でも、しかしと余計に。
「っそんな、そんな…ぅ、うう」
「ね? アズミー」
「? な゛に゛?!」
安住は憤りで、声も震えていた。
「笑って? アズミの笑った顔が好きなんだよ。ボクー」
「わら、ぅ?」
ゲイリーは、安住の頬を濡らす涙を舌で舐めた。
「うん。そうだよーアズミが泣いた顔なんかー見たくないなー」
「ぞん゛な゛」
そのとき。
安住の脳裏に、ラバーが浮かんだ。
◆◇
『それが。せめてもの、償いになるってもんだ』
◇◆
ぐぐぐ。
「うんうんーその顔が好きなんだよーボク」
「腹減ったんだっけ? あーもう、昼飯の時間じゃ――」
「はい。食べるかい?」
「「!?」」
そんな二人に声をかけたのはライルだった。
後ろには、舌打ちするラバーとアイジの姿もあった。
ラバーの登場は分かるものの。
「なんだって。そんな一緒に??」
安住の言葉に、
「えーだって。喧嘩の声がうっさかったんだもん! 寝てたってのにさw」
ライルが包み紙を毛布の上に放った。
「ライルが来るって言うから、オレも来たんだ。飲み物持って来たよ、ライルはパンし――」
「日本人?? キサマは一回、シメられてェのかい?」
ゴメスの言葉を遮って、ラバーが低い口調で、安住に言った。
ぶん!
ぶぶん‼
「わー~~っつ、たたたぁ~~」
上半身を上げ、小さく悲鳴を漏らすゲイリーに、
「おいおい。いいから寝てやがれ、ゲイリー」
ラバーが制止させるも。
「ううんーありがとーババさんー~~」
「‼ っよ、よせやい…っち」
「へへへー~~」
「ほらよ」
ラバーはゲイリーの手に小さな箱を置いた。
そこには《薄いコンドーム》の文字があった。
「病気は怖いしな。相手だって、少しゃ、…ま。つけてもらうに越したことはねぇ」
「? あー~~へー? ゴムって、こんな箱に入っているんだー~~?」
「「「!?」」」
「ボク。女の人とのSEXだけにつけると思ってたー」
「「「‼」」」
さすがにコンドームを知っている安住も絶句してしまう。
「っほ、本当に…経験、なかったのか?? ゲイリー、さん????」
「そういう雰囲気になる前にーみんな逮捕とか、死んじゃったりしたからー」
ばっこん!
「った!」
安住の脳天を、険しい表情をしたラバーが拳で殴った。
「日本人ッッ‼ いい加減にしねェか!」
「っふぁ、ふぁい‼」
そんなやり取りをする2人に、
「なんか仲良くなってるーいつの間にー?? ははは」
ゲイリーが微笑んだ。
その顔に。
(俺も、強くなんなきゃ。ゲイリーを守れるぐらいに!)
安住は強く想った。
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