4 / 148
EP:4 海上の要塞の憂鬱
しおりを挟む
カツン、カツン――……。
暗闇の中で、看守たちの足音が響き渡る。
「あー疲れた」
「セスナさんは、いつも、それですよね」
セスナ=ボンゾイを2つ年下の看守にして同期のフレディ=Jがため息を吐く。
「お! おいおい? フレディちゃ~ん?」
セスナはフレディの首に、腕を伸ばし締めつけた。
「いつから、俺様にそんなタメ口を聞くようになったのかなぁ~??」
「っぎゃ! ゃ、止めて下さいよ~‼︎」
そんな2人に、横やりを入れる人物がいた。
「何に疲れるんだよ。いつも、ヤりたい放題やっているくせに」
フロイ=トゥパー看守だ。
勿論、セスナとフレディとは同期。
セスナとは、1歳違いの26歳。
煩悩のまま動く、セスナ=ボンゾイ。
人懐っこく、気を使い過ぎ、お人好しと言われるフレディ=J。
そして、そんな2人とは対象的に。
無感情、無愛想、不器用。
悪魔のフロイ=トゥパー。
「フロイぃ! 俺様に当たるんじゃねぇよ!」
セスナの可憐な顔が、怒りにより凄まれた。
世間の見た目とは違い、セスナこそ悪魔だった。
夜勤同期を動かし、夜な夜な、囚人をいたぶっているからだ。
それに、同期の2人は巻き込まれている形に過ぎず。
セスナを、放っておくのは危険だというのも、2人の頭にあり、お目付け役として一緒に、連むようになっていたからだ。
「…当たってなんか、いない」
フロイは暗視ゴーグルスコープに手を添え、ため息を吐いた。
(アズミ。一体、どこの刑務所に…)
暗視ゴーグルスコープを着けることには理由がある。
勿論、顔を見せないようにすることでもあったが、真っ暗の消灯後に、襲う獲物を見るためだ。
「そういや。今日、新しい肉便器が来たな」
セスナが言うと、フレディも。
「…囚人は皆、肉便器ですか? セスナさんにとって」
呆れ声を漏らした。
「はぁ?! 当たり前じゃねぇかよ!」
「…当たり前って…」
「ここに来んのは人間の屑。肉便器になんのは当然だろうが。どうせ、肉塊になるんだからな」
嬉々としてセスナが言うと、フロイが聞き返した。
「2人だったか?」
「ああ。2人だったな。確か。だよな? フレディ」
「ええ。2人ですね」
その言葉に、セスナがフレディに聞いた。
「ここの近くの檻か?」
フレディは胸ポケットから、手帳を取り出した。
「ええ。そう、です…ね?!」
確認したフレディの声の語尾が弱く萎む。
それにセスナとフロイが、怪訝な顔をする。
(ま、さか…嘘、だろ??)
フレディは、ただ、手帳を指でなぞりながら。
何度も、その名前を確認していた。
そして。
指先は微かに震えていた。
暗闇の中で、看守たちの足音が響き渡る。
「あー疲れた」
「セスナさんは、いつも、それですよね」
セスナ=ボンゾイを2つ年下の看守にして同期のフレディ=Jがため息を吐く。
「お! おいおい? フレディちゃ~ん?」
セスナはフレディの首に、腕を伸ばし締めつけた。
「いつから、俺様にそんなタメ口を聞くようになったのかなぁ~??」
「っぎゃ! ゃ、止めて下さいよ~‼︎」
そんな2人に、横やりを入れる人物がいた。
「何に疲れるんだよ。いつも、ヤりたい放題やっているくせに」
フロイ=トゥパー看守だ。
勿論、セスナとフレディとは同期。
セスナとは、1歳違いの26歳。
煩悩のまま動く、セスナ=ボンゾイ。
人懐っこく、気を使い過ぎ、お人好しと言われるフレディ=J。
そして、そんな2人とは対象的に。
無感情、無愛想、不器用。
悪魔のフロイ=トゥパー。
「フロイぃ! 俺様に当たるんじゃねぇよ!」
セスナの可憐な顔が、怒りにより凄まれた。
世間の見た目とは違い、セスナこそ悪魔だった。
夜勤同期を動かし、夜な夜な、囚人をいたぶっているからだ。
それに、同期の2人は巻き込まれている形に過ぎず。
セスナを、放っておくのは危険だというのも、2人の頭にあり、お目付け役として一緒に、連むようになっていたからだ。
「…当たってなんか、いない」
フロイは暗視ゴーグルスコープに手を添え、ため息を吐いた。
(アズミ。一体、どこの刑務所に…)
暗視ゴーグルスコープを着けることには理由がある。
勿論、顔を見せないようにすることでもあったが、真っ暗の消灯後に、襲う獲物を見るためだ。
「そういや。今日、新しい肉便器が来たな」
セスナが言うと、フレディも。
「…囚人は皆、肉便器ですか? セスナさんにとって」
呆れ声を漏らした。
「はぁ?! 当たり前じゃねぇかよ!」
「…当たり前って…」
「ここに来んのは人間の屑。肉便器になんのは当然だろうが。どうせ、肉塊になるんだからな」
嬉々としてセスナが言うと、フロイが聞き返した。
「2人だったか?」
「ああ。2人だったな。確か。だよな? フレディ」
「ええ。2人ですね」
その言葉に、セスナがフレディに聞いた。
「ここの近くの檻か?」
フレディは胸ポケットから、手帳を取り出した。
「ええ。そう、です…ね?!」
確認したフレディの声の語尾が弱く萎む。
それにセスナとフロイが、怪訝な顔をする。
(ま、さか…嘘、だろ??)
フレディは、ただ、手帳を指でなぞりながら。
何度も、その名前を確認していた。
そして。
指先は微かに震えていた。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説


後輩に嫌われたと思った先輩と その先輩から突然ブロックされた後輩との、その後の話し…
まゆゆ
BL
澄 真広 (スミ マヒロ) は、高校三年の卒業式の日から。
5年に渡って拗らせた恋を抱えていた。
相手は、後輩の久元 朱 (クモト シュウ) 5年前の卒業式の日、想いを告げるか迷いながら待って居たが、シュウは現れず。振られたと思い込む。
一方で、シュウは、澄が急に自分をブロックしてきた事にショックを受ける。
唯一自分を、励ましてくれた先輩からのブロックを時折思い出しては、辛くなっていた。
それは、澄も同じであの日、来てくれたら今とは違っていたはずで仮に振られたとしても、ここまで拗らせることもなかったと考えていた。
そんな5年後の今、シュウは住み込み先で失敗して追い出された途方に暮れていた。
そこへ社会人となっていた澄と再会する。
果たして5年越しの恋は、動き出すのか?
表紙のイラストは、Daysさんで作らせていただきました。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

拝啓お父様。私は野良魔王を拾いました。ちゃんとお世話するので飼ってよいでしょうか?
ミクリ21
BL
ある日、ルーゼンは野良魔王を拾った。
ルーゼンはある理由から、領地で家族とは離れて暮らしているのだ。
そして、父親に手紙で野良魔王を飼っていいかを伺うのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる