何度でも、やさしい嘘にキスをしろ。【完全版】

ちさここはる

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EP:2 ピザと恋の衝撃

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「フロイ君。お待たせ!」

 満面の笑顔の安住にフロイは携帯を見た。
 その仕草に。

 ビク!

 安住の身体が揺らいで、額に汗も伝う。

「…っご、ごめんなさい」
「今回は、ふぅん? 3時間?? 舐めているのかな。君は」
 凄みのきいた顔で、フロイが聞き返した。
 若干、腰を下げて安住を見上げるフロイ。

「そんな言葉が聞きたい訳じゃないよ」

 フロイは、安住の頬に触れて耳元で囁いた。

 ――キスをしろ。

 安住は躊躇するも、フロイの額にキスをした。


「そこじゃないな。ったくー…君は」
「ぉ、終わるまで…その、これで勘弁してください。フロイ君」
 ふるふる、と震える安住に、
(可愛いな。セスナのこと、とやかく言えないな…僕も)
 フロイは、はにかんだ。

 ◇◆

「フロイさん。ピザ三昧でしょう?」
 職場の同僚のフレディ=ジェイソンが、部屋に積まれたピザの箱を長い前髪の間から覗いた。
 数の多さに、どんだけ好きなのかと感動すらしてしまう。

「トトトのピザは、最高に美味しいんだよ」

 頬を紅潮させるフロイに、フレディは、首を傾げた。
「美味しいのは、私も、知ってますよ。でも、食べ過ぎですよ?」
「君に説教される覚えはないよ。フレディ」
「はいはい。そうでしたね」

 ピンポーン!

「来た‼︎」

 ピンポーン‼︎

 かっ飛んで行くフロイの後を、フレディもついて行く。

「トトトピザですよー」
 配達の声に、
「誰だ!   お前は‼︎」
 フロイが、声を荒げた。

 昨日までは、確かに安住の配達だった。
 今日が、休みじゃないこともフロイは知っている分。

 余計に、腹が立ってしまった。

「アズミはどうしたんだ! 彼は休みじゃないはずだ!」

 きょとん。と、する配達の胸ぐらをフロイは掴んだ。

「っと! フロイさん??」

「君じゃない! 彼は何処だ‼︎」

「アズミちゃんってばぁ~~逮捕されちゃっのよぉう? 知らないのー~~w?」

 フロイはテレビを持っていない。
「「知らない」」
 フレディは、ニュースを見ない。

「昨日の夜、ニュースになったはずよ? 無差別殺人鬼逮捕、ってね」

 二人の視線がかち合う。

あたし、アズミちゃんの友達なのよん」

 ヘルメットを取り、長い髪をなびかせた。
 そして、ピザの箱を手渡した。

「ドラム=フルーティよw よろしくねぇん♡」
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