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EP:1 ピザと恋の熱
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「遅いな」
フロイ=トゥーパーが携帯で時間を確認して、不機嫌に言葉を漏らした。
苛々とした険しい表情をしている。
そして室内を徘徊して灰色の跳ねた前髪を、指先でくるんで掻き乱し、
「2時間! もう、2時間だぞ?!」
大きく口を開けて吠えた。
細い目が怒りに、さらに細くなる。
ミシ…。
握っている携帯から軋む音が鳴る。
右頬にある、二つのほくろも揺れ動く。
(殺す…)
落ち着こうと冷蔵庫から、ジュースのパックを取り出した。
その瞬間。
ピンポーン!
「?! 来た‼︎」
ピンポーン‼︎
「クソ野郎が!」
札を握り締め、フロイが玄関に駆け出した。
「おい! 君は…ッッ‼︎」
「っは、はい! す、すいませんでしたぁ‼︎」
三白眼で、毛先の堅そうな黒い髪の毛。
肌も、日に焼けた健康的な褐色肌で。
体型はフロイ自身よりも、やや細いが至って普通体型の配達員の青年が涙目で立っていた。
両手には大きくも四角い箱を持っている。
身長はフロイの方が、頭4個分、高い。
「お、俺…ば、バイト、初めて、で…その…」
俯く少年に、怒りが削がれたフロイは、
「君。英語、下手くそだね。アジアの…日本人かい?」
「! に、日本人、です」
「アズミ。て、名前なのかい?」
フロイは、彼の胸のプレイを指した。
「はい。安住、です。藤丸安住」
「地区の担当?」
「? あ、はい。一応、ですが。そうです…」
苦笑交じりに言う安住に、フロイは鼻先に指をやった。
「僕はピザが堪らなく愛しいんだ」
フロイは、さらに続けた。
「仕事の休暇中での唯一のピザタイムなんだよ」
「は、はい…」
安住はフロイにピザの箱を手渡した。
その箱には、《トータル・トートピザ》と書いてある。
「すいません、でした」
「二度と遅刻しないでくれないか」
「はい」
ここのピザしかフロイは食べない。
冷めてしまっているがピザの香ばしい匂いに。
ついフロイの表情が、緩んでしまう。
それに安住の表情も、一緒に緩んでしまう。
「何??」
「ぃ、いえ!」
「釣りは要らないよっ!」
フロイは安住に支払いを済ませ、安住もお辞儀をし身体を翻した。
咄嗟だった。
「?? ぉ、客…さん??」
フロイの手が、安住の腕を掴んでいた。
「??? 」
ただ、掴んだ本人も、してしまったことを、理解出来ずにいる。
「腕が、…痛いです」
「僕は暫く、休暇で居るんだ。ずっと担当なの?」
真剣な表情。
安住も携帯を取り出した。
「はい。ぁ、っと…俺が休みの日。教えましょう、か?」
自身が配達の日は。
避けたいのだろうと、思ったからだ。
「ああ。教えて貰おうか」
フロイ=トゥーパーが携帯で時間を確認して、不機嫌に言葉を漏らした。
苛々とした険しい表情をしている。
そして室内を徘徊して灰色の跳ねた前髪を、指先でくるんで掻き乱し、
「2時間! もう、2時間だぞ?!」
大きく口を開けて吠えた。
細い目が怒りに、さらに細くなる。
ミシ…。
握っている携帯から軋む音が鳴る。
右頬にある、二つのほくろも揺れ動く。
(殺す…)
落ち着こうと冷蔵庫から、ジュースのパックを取り出した。
その瞬間。
ピンポーン!
「?! 来た‼︎」
ピンポーン‼︎
「クソ野郎が!」
札を握り締め、フロイが玄関に駆け出した。
「おい! 君は…ッッ‼︎」
「っは、はい! す、すいませんでしたぁ‼︎」
三白眼で、毛先の堅そうな黒い髪の毛。
肌も、日に焼けた健康的な褐色肌で。
体型はフロイ自身よりも、やや細いが至って普通体型の配達員の青年が涙目で立っていた。
両手には大きくも四角い箱を持っている。
身長はフロイの方が、頭4個分、高い。
「お、俺…ば、バイト、初めて、で…その…」
俯く少年に、怒りが削がれたフロイは、
「君。英語、下手くそだね。アジアの…日本人かい?」
「! に、日本人、です」
「アズミ。て、名前なのかい?」
フロイは、彼の胸のプレイを指した。
「はい。安住、です。藤丸安住」
「地区の担当?」
「? あ、はい。一応、ですが。そうです…」
苦笑交じりに言う安住に、フロイは鼻先に指をやった。
「僕はピザが堪らなく愛しいんだ」
フロイは、さらに続けた。
「仕事の休暇中での唯一のピザタイムなんだよ」
「は、はい…」
安住はフロイにピザの箱を手渡した。
その箱には、《トータル・トートピザ》と書いてある。
「すいません、でした」
「二度と遅刻しないでくれないか」
「はい」
ここのピザしかフロイは食べない。
冷めてしまっているがピザの香ばしい匂いに。
ついフロイの表情が、緩んでしまう。
それに安住の表情も、一緒に緩んでしまう。
「何??」
「ぃ、いえ!」
「釣りは要らないよっ!」
フロイは安住に支払いを済ませ、安住もお辞儀をし身体を翻した。
咄嗟だった。
「?? ぉ、客…さん??」
フロイの手が、安住の腕を掴んでいた。
「??? 」
ただ、掴んだ本人も、してしまったことを、理解出来ずにいる。
「腕が、…痛いです」
「僕は暫く、休暇で居るんだ。ずっと担当なの?」
真剣な表情。
安住も携帯を取り出した。
「はい。ぁ、っと…俺が休みの日。教えましょう、か?」
自身が配達の日は。
避けたいのだろうと、思ったからだ。
「ああ。教えて貰おうか」
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