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第1章 麻倉 斗和
#4
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✳︎
「おはようございます」
「おはよう。相変わらず早起きだね、雫さん」
「先生の方こそ。寝坊しなくて偉いです」
「はは、ありがとう。今日はカウンセリングがみっちり入ってるからさ。早いうちに起きて体を目覚めさせないといけないからね」
いつものように僕より早くに起きていてテーブルに座って朝食のトーストを頬張っている雫さんは、いつものようにスマホを触りながら朝食を済ませた。彼女曰く、行儀は悪いけれど効率は良いという開き直りを目の前で毎日繰り広げられているから、僕は特に気にしていない。それよりも、僕は今日普段より1時間も早く起きたのに、それでも僕より早くに起きて欠伸ひとつせずにテキパキと体を動かしている彼女を素直に尊敬する。
「流石ですね。普段よりも一層、自律した行動が出来てますね」
「いやいや。それは雫さんの方だから。今日、何時に起きたの?」
「私だってさっきですよ。30分ほど前かな」
朝の30分前はさっきとは言わないんじゃないか。とは思いつつ、やっぱり彼女は僕なんかよりもずっとしっかりしている。僕は朝、弱いから絶対に彼女みたいに機敏に動いたりなんか出来ない。何なら仕事中だって、力を抜いていいところは、とことん力を抜くタイプだし。
「雫さんみたいに朝が強かったら、僕ももう少しキビキビ動けるのかな」
「私、そんなに強くないですよ。それに、ゆったりして余裕のある振る舞いをするのが先生らしいから全然変えなくていいですよ」
「それ。褒めてくれてる?」
「もちろん。褒めてしかないです」
雫さんがヘアアイロンで髪の毛を整えたのと同時に僕も朝食のトーストを食べ終えた。僕は食べるスピードも遅い。いや、そこは雫さんが普通の人よりも食べるスピードが速いのもしれないけれど。それにしても、彼女は髪を仕上げるのも凄まじいスピードでやってのける。肩まである髪の毛を毎回魔法をかけているみたいに手際良く整えていく。ちなみに僕は、彼女が頭の上でおだんごを作っている時の髪型が一番似合っていると思う。まぁ彼女にそれを伝えたことはないけれど。
「まぁ、それならいいけど」
「それはそうと、今日は午前に5名のクライアントが来られますよね?」
「うん。その中に師匠もいるよね」
「はい。10時過ぎの予定になっています」
「そこも今日、頑張ろうって思えるポイントなんだよね」
「いつまでも先生の師匠ですもんね、カケルさん」
「うん。前回よりもリラックスしてくれるといいけど」
今更ながら自己紹介をしておくと、僕の名前は麻倉斗和(あさくらとわ)。「とわ」の由来は、星のように多くの人たちを和ませてほしいという願いを込めて母がつけてくれた名前だ。そんな母を僕はちょうど20年前に病気で亡くし、父親は僕が物心ついた頃にはいなかった。そんな僕を育ててくれたのが、今話に出た僕の師匠であるカケルさんだ。母の働いていた自動車部品を作る工場で一緒に働いていた人で、母が亡くなる前から僕は師匠に良くしてもらっていて、母が亡くなった日から僕を引き取ってくれて育ててくれていた。そんな師匠のおかげで僕は学校にも行けたし、勉強することも出来たし、こうして今、職に就くことも出来た。師匠は3ヶ月くらいに一度、僕の店へ来てくれる。その師匠が今日、店に来てくれる日だ。これは僕も普段よりも冴えている自分でいた方がいい。それが今日の早起きの8割ぐらいを占めている理由だ。
「最近は、クライアント1人に対して経過する時間がずいぶんと多かったので、今日はテンポ良く施術していくことが望まれますね」
「まぁそうだよね。京子ちゃんをカウンセリングした日も1日ぐらい使っちゃったもんね。まぁそれでも彼女が元気になってくれてたからよかったけどね」
「先生、うちも一応経営をしているので、その辺りも頭の中に入れておいてくださいね」
「分かってる分かってる。それも込みで今日も頑張りますよ。僕も頑張るから、頼れる助手である雫さんも力を貸してくださいね」
「それはもちろん、お貸ししますけど」
彼女と話しながら僕も朝食で使った皿やコップを洗い、くせ毛の人に使えるワックスで髪の毛を整えながら今日は黒のパーカーにカーキのカーゴパンツで全身装備を完成させた。雫さんよりも明らかに早く準備を終わらせる辺り、今日は僕も頭が回転している方なんだと思う。入念に手を洗い、そこに微かに残るワックスの青りんごっぽい匂いを洗面所から纏わせてリビングに戻ると、それに覆い被さるように彼女が使っていたヘアアイロンの少し香ばしいにおいが僕の鼻に届いた。
「え? 先生、もう準備できたとか言いませんよね?」
「え、ごめん。もう準備できた」
「いやいや、早すぎでしょ! いくらなんでも! さっきまでパジャマのボサボサだったじゃいですか」
「んー、何だろ。頭、回転してんのかな。雫さんっぽく言うなら色々効率よく終わっちゃった。まぁそもそも、僕は化粧しないし服着替えるだけだし髪の毛もくしゃっとしたセットで誤魔化せちゃうからね」
「はぁ……。いつも思います。その準備の早さ、とっても羨ましいです」
わりと真剣なトーンでため息を吐いてそう言う雫さんの手元には、僕が持っていたら用途すら分からない液体の入った容器がドミノをするように並んでいる。顔の化粧は髪の毛を整える前に終わってるはずだよな? まぁこれもいつもの朝の風景だ。そして、いつも結局僕の方が準備を早く終える。
「まぁでも雫さんみたいに女の人は化粧するし髪の毛も時間かかるし仕方ないところもあるんじゃないかな。僕がキミと同じ量を朝に準備してたら、多分毎日の仕事に支障をきたすよ」
「そうでしょうね。先生は基本、動きがスローだから」
「てか雫さん、化粧しなくても十分綺麗なんだから朝からそんなに時間かけなくてもいいんじゃない?」
何気なく僕がそう言うと、彼女は少し怒ったような表情で僕を見ていた。あ、少しマズイこと言っちゃったかな。僕は咄嗟に笑顔を作って彼女に向けた。
「あ、もちろん、化粧してる雫さんは今より綺麗だけどね。それに、キミにとってもこだわりがあるだろうから、強くは言わないけど」
僕がそう言うと、彼女は鼻を鳴らしながら力強く笑った。
「そうですよ。ちゃんと先生はデリカシーが分かる人だと思ってるから、そういうのは女の子に言っちゃダメですよ」
「分かってる分かってる。僕は想ったことをつい、口に出しがちだから」
「自分で言っちゃうあたり、先生らしいですよね。まぁ先生に綺麗って言われるのは悪い気はしませんが」
「ほんと? それなら結果オーライだね」
「調子に乗っちゃいけません」
「はい。すみません」
「分かったならいいです」
僕らはこうして他愛のない話をしていると、いつの間にか仕事へ行く準備が整っている。と言っても、リビングの横にある階段を降りていくとすぐそこに仕事場である施術室にたどり着く。職場まで行くのに10秒もかからないのも、僕がこの家を好きな理由の1つだ。
「雫さん、今日の朝イチは千佳さんだったよね」
「はい。今回はメンタルカウンセリングはなく、上半身、背中から頭にかけてという内容ですね」
「了解。前回から1ヶ月半ぐらいは経ってるけど、調子は良さそうだね」
「そうですね、数件やりとりしたメッセージの文章も以前よりスタンプや絵文字を使う回数が増えています。いい傾向かと」
「そっかそっか。いいことだね。今日も充実してもらおう」
「はい。もちろんです」
「じゃあ今日も1日、よろしくね。頼れる助手の雫さん」
「恐れ多いです。こちらこそよろしくお願いします」
僕らは毎日、こうやってルーティンのような言葉を交わし合って仕事のスイッチを入れる。ここからは僕も仕事のスイッチが入る。仕事の必需品である黒猫のロゴが入っているバインダーに手を伸ばし、今から来る常連客の千佳さんについての情報が載っているカルテを開いた。
・首から背中にかけて筋肉が固まりやすい。
・眼球付近、頭頂部に疲労が著しく溜まっていた。
・婚活と仕事の両立に悩んでいた。→解決の見込みアリ。途中経過を確認する必要性もアリ。
クライアントの情報に目を通しながら千佳さんを待っていると、来客を知らせるインターホンの特徴的な音が空間に響き渡った。僕は一旦深呼吸をしてから応答ボタンに手を伸ばした。
「おはよう。千佳さん。Tsukakokoへようこそ」
『斗和先生、おはよう。今日もよろしくね』
「うん。こちらこそよろしくね。ドア、開けるからちょっと待っててね」
『はーい』
ボタンから指を離し、玄関のドアをゆっくりと開くと、そこには普段よりも明るい笑顔で僕に手を振る千佳さんの姿があった。以前見た時よりも、優しい表情をしている彼女につられて僕も笑顔で頭を下げた。
「おはようございます」
「おはよう。相変わらず早起きだね、雫さん」
「先生の方こそ。寝坊しなくて偉いです」
「はは、ありがとう。今日はカウンセリングがみっちり入ってるからさ。早いうちに起きて体を目覚めさせないといけないからね」
いつものように僕より早くに起きていてテーブルに座って朝食のトーストを頬張っている雫さんは、いつものようにスマホを触りながら朝食を済ませた。彼女曰く、行儀は悪いけれど効率は良いという開き直りを目の前で毎日繰り広げられているから、僕は特に気にしていない。それよりも、僕は今日普段より1時間も早く起きたのに、それでも僕より早くに起きて欠伸ひとつせずにテキパキと体を動かしている彼女を素直に尊敬する。
「流石ですね。普段よりも一層、自律した行動が出来てますね」
「いやいや。それは雫さんの方だから。今日、何時に起きたの?」
「私だってさっきですよ。30分ほど前かな」
朝の30分前はさっきとは言わないんじゃないか。とは思いつつ、やっぱり彼女は僕なんかよりもずっとしっかりしている。僕は朝、弱いから絶対に彼女みたいに機敏に動いたりなんか出来ない。何なら仕事中だって、力を抜いていいところは、とことん力を抜くタイプだし。
「雫さんみたいに朝が強かったら、僕ももう少しキビキビ動けるのかな」
「私、そんなに強くないですよ。それに、ゆったりして余裕のある振る舞いをするのが先生らしいから全然変えなくていいですよ」
「それ。褒めてくれてる?」
「もちろん。褒めてしかないです」
雫さんがヘアアイロンで髪の毛を整えたのと同時に僕も朝食のトーストを食べ終えた。僕は食べるスピードも遅い。いや、そこは雫さんが普通の人よりも食べるスピードが速いのもしれないけれど。それにしても、彼女は髪を仕上げるのも凄まじいスピードでやってのける。肩まである髪の毛を毎回魔法をかけているみたいに手際良く整えていく。ちなみに僕は、彼女が頭の上でおだんごを作っている時の髪型が一番似合っていると思う。まぁ彼女にそれを伝えたことはないけれど。
「まぁ、それならいいけど」
「それはそうと、今日は午前に5名のクライアントが来られますよね?」
「うん。その中に師匠もいるよね」
「はい。10時過ぎの予定になっています」
「そこも今日、頑張ろうって思えるポイントなんだよね」
「いつまでも先生の師匠ですもんね、カケルさん」
「うん。前回よりもリラックスしてくれるといいけど」
今更ながら自己紹介をしておくと、僕の名前は麻倉斗和(あさくらとわ)。「とわ」の由来は、星のように多くの人たちを和ませてほしいという願いを込めて母がつけてくれた名前だ。そんな母を僕はちょうど20年前に病気で亡くし、父親は僕が物心ついた頃にはいなかった。そんな僕を育ててくれたのが、今話に出た僕の師匠であるカケルさんだ。母の働いていた自動車部品を作る工場で一緒に働いていた人で、母が亡くなる前から僕は師匠に良くしてもらっていて、母が亡くなった日から僕を引き取ってくれて育ててくれていた。そんな師匠のおかげで僕は学校にも行けたし、勉強することも出来たし、こうして今、職に就くことも出来た。師匠は3ヶ月くらいに一度、僕の店へ来てくれる。その師匠が今日、店に来てくれる日だ。これは僕も普段よりも冴えている自分でいた方がいい。それが今日の早起きの8割ぐらいを占めている理由だ。
「最近は、クライアント1人に対して経過する時間がずいぶんと多かったので、今日はテンポ良く施術していくことが望まれますね」
「まぁそうだよね。京子ちゃんをカウンセリングした日も1日ぐらい使っちゃったもんね。まぁそれでも彼女が元気になってくれてたからよかったけどね」
「先生、うちも一応経営をしているので、その辺りも頭の中に入れておいてくださいね」
「分かってる分かってる。それも込みで今日も頑張りますよ。僕も頑張るから、頼れる助手である雫さんも力を貸してくださいね」
「それはもちろん、お貸ししますけど」
彼女と話しながら僕も朝食で使った皿やコップを洗い、くせ毛の人に使えるワックスで髪の毛を整えながら今日は黒のパーカーにカーキのカーゴパンツで全身装備を完成させた。雫さんよりも明らかに早く準備を終わらせる辺り、今日は僕も頭が回転している方なんだと思う。入念に手を洗い、そこに微かに残るワックスの青りんごっぽい匂いを洗面所から纏わせてリビングに戻ると、それに覆い被さるように彼女が使っていたヘアアイロンの少し香ばしいにおいが僕の鼻に届いた。
「え? 先生、もう準備できたとか言いませんよね?」
「え、ごめん。もう準備できた」
「いやいや、早すぎでしょ! いくらなんでも! さっきまでパジャマのボサボサだったじゃいですか」
「んー、何だろ。頭、回転してんのかな。雫さんっぽく言うなら色々効率よく終わっちゃった。まぁそもそも、僕は化粧しないし服着替えるだけだし髪の毛もくしゃっとしたセットで誤魔化せちゃうからね」
「はぁ……。いつも思います。その準備の早さ、とっても羨ましいです」
わりと真剣なトーンでため息を吐いてそう言う雫さんの手元には、僕が持っていたら用途すら分からない液体の入った容器がドミノをするように並んでいる。顔の化粧は髪の毛を整える前に終わってるはずだよな? まぁこれもいつもの朝の風景だ。そして、いつも結局僕の方が準備を早く終える。
「まぁでも雫さんみたいに女の人は化粧するし髪の毛も時間かかるし仕方ないところもあるんじゃないかな。僕がキミと同じ量を朝に準備してたら、多分毎日の仕事に支障をきたすよ」
「そうでしょうね。先生は基本、動きがスローだから」
「てか雫さん、化粧しなくても十分綺麗なんだから朝からそんなに時間かけなくてもいいんじゃない?」
何気なく僕がそう言うと、彼女は少し怒ったような表情で僕を見ていた。あ、少しマズイこと言っちゃったかな。僕は咄嗟に笑顔を作って彼女に向けた。
「あ、もちろん、化粧してる雫さんは今より綺麗だけどね。それに、キミにとってもこだわりがあるだろうから、強くは言わないけど」
僕がそう言うと、彼女は鼻を鳴らしながら力強く笑った。
「そうですよ。ちゃんと先生はデリカシーが分かる人だと思ってるから、そういうのは女の子に言っちゃダメですよ」
「分かってる分かってる。僕は想ったことをつい、口に出しがちだから」
「自分で言っちゃうあたり、先生らしいですよね。まぁ先生に綺麗って言われるのは悪い気はしませんが」
「ほんと? それなら結果オーライだね」
「調子に乗っちゃいけません」
「はい。すみません」
「分かったならいいです」
僕らはこうして他愛のない話をしていると、いつの間にか仕事へ行く準備が整っている。と言っても、リビングの横にある階段を降りていくとすぐそこに仕事場である施術室にたどり着く。職場まで行くのに10秒もかからないのも、僕がこの家を好きな理由の1つだ。
「雫さん、今日の朝イチは千佳さんだったよね」
「はい。今回はメンタルカウンセリングはなく、上半身、背中から頭にかけてという内容ですね」
「了解。前回から1ヶ月半ぐらいは経ってるけど、調子は良さそうだね」
「そうですね、数件やりとりしたメッセージの文章も以前よりスタンプや絵文字を使う回数が増えています。いい傾向かと」
「そっかそっか。いいことだね。今日も充実してもらおう」
「はい。もちろんです」
「じゃあ今日も1日、よろしくね。頼れる助手の雫さん」
「恐れ多いです。こちらこそよろしくお願いします」
僕らは毎日、こうやってルーティンのような言葉を交わし合って仕事のスイッチを入れる。ここからは僕も仕事のスイッチが入る。仕事の必需品である黒猫のロゴが入っているバインダーに手を伸ばし、今から来る常連客の千佳さんについての情報が載っているカルテを開いた。
・首から背中にかけて筋肉が固まりやすい。
・眼球付近、頭頂部に疲労が著しく溜まっていた。
・婚活と仕事の両立に悩んでいた。→解決の見込みアリ。途中経過を確認する必要性もアリ。
クライアントの情報に目を通しながら千佳さんを待っていると、来客を知らせるインターホンの特徴的な音が空間に響き渡った。僕は一旦深呼吸をしてから応答ボタンに手を伸ばした。
「おはよう。千佳さん。Tsukakokoへようこそ」
『斗和先生、おはよう。今日もよろしくね』
「うん。こちらこそよろしくね。ドア、開けるからちょっと待っててね」
『はーい』
ボタンから指を離し、玄関のドアをゆっくりと開くと、そこには普段よりも明るい笑顔で僕に手を振る千佳さんの姿があった。以前見た時よりも、優しい表情をしている彼女につられて僕も笑顔で頭を下げた。
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