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第3章 絶望と希望
27.
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『もう少しで着くからまだ酒は呑まないでください』
柴やんから送られてきたメッセージをぼーっと見ながら私は今日もいつもの居酒屋で柴やんを待っている。ただ今日は二人で飲むのではなく、谷口も是非参加させて下さいと電話越しに鼓膜が破れそうな声量で伝えてきたものだから、仕方なく誘ってやった。すると、再び私のスマホにメッセージが届いた。今度はその谷口からだった。
『着きました!すぐ行きます!』
私が画面でそのメッセージを見た刹那、ガラッと店の扉が勢いよく開いた。そこには谷口と柴やんの姿もあった。二人は私に気づくと申し訳なさそうに肩を狭めて近づいてきた。
「ごめんなおがっちゃん。今日も遅れちまって」
「僕の運転が遅かったのですみません」
「いや、全然いいんだけど二人一緒だったんだな。それなら私も拾っていってくれたら良かったのに」
「アハハ、もちろんそれも考えたんですけど今日は昼からずっと真柴先生とご一緒させてもらってまして体育館からそのままここへ来ちゃいまして。要領が悪くてすみません」
谷口がへこへこしながら私の前に座った。座った途端に、男特有の時間が経った汗の匂いが漂ってきた。私はこの匂いには慣れているので特に気にはしない。谷口の言葉通り、彼らは急いでここへ来てくれたのだろう。
「いやいや。逆に急がせて悪かったね」
「俺らを待ってもらってた分、今日は好きなだけ飲んでくれ。おがっちゃん」
「私も明日は遠征だからな。あんまりいっぱい飲めないよ」
「心配はいりません!胃腸薬とウコンは準備してありますし帰りの足は僕に任せてください」
「そういう問題じゃないんだよ」
谷口の言葉に乗っかるようにツッコミを入れ彼の肩を叩きながら笑うと、二人も私と同じように笑った。
「まぁともかく、乾杯しよう」
「そうだね。むしろ谷口、悪いね」
「とんでもないです!お二人の間にいられるだけで光栄なので!」
「言ってくれるね」
「本当のことなので!」
店員が気を利かしてくれているのか、注文した私と柴やんのビールと、谷口のジンジャーエールはすぐに私たちの元へ届いた。
「じゃあ音頭は柴やん」
「俺かい?」
「いいですね、お聞きしたいです!」
「そうだなぁ、じゃあ、今後のバレー界の発展を願って!」
「何だそりゃ」
「ハハ!かんぱーい!」
私たちはジョッキを力強く合わせ、今日の疲れを洗いながらしてくれるようなビールを体の中に勢いよく流し込んだ。
『もう少しで着くからまだ酒は呑まないでください』
柴やんから送られてきたメッセージをぼーっと見ながら私は今日もいつもの居酒屋で柴やんを待っている。ただ今日は二人で飲むのではなく、谷口も是非参加させて下さいと電話越しに鼓膜が破れそうな声量で伝えてきたものだから、仕方なく誘ってやった。すると、再び私のスマホにメッセージが届いた。今度はその谷口からだった。
『着きました!すぐ行きます!』
私が画面でそのメッセージを見た刹那、ガラッと店の扉が勢いよく開いた。そこには谷口と柴やんの姿もあった。二人は私に気づくと申し訳なさそうに肩を狭めて近づいてきた。
「ごめんなおがっちゃん。今日も遅れちまって」
「僕の運転が遅かったのですみません」
「いや、全然いいんだけど二人一緒だったんだな。それなら私も拾っていってくれたら良かったのに」
「アハハ、もちろんそれも考えたんですけど今日は昼からずっと真柴先生とご一緒させてもらってまして体育館からそのままここへ来ちゃいまして。要領が悪くてすみません」
谷口がへこへこしながら私の前に座った。座った途端に、男特有の時間が経った汗の匂いが漂ってきた。私はこの匂いには慣れているので特に気にはしない。谷口の言葉通り、彼らは急いでここへ来てくれたのだろう。
「いやいや。逆に急がせて悪かったね」
「俺らを待ってもらってた分、今日は好きなだけ飲んでくれ。おがっちゃん」
「私も明日は遠征だからな。あんまりいっぱい飲めないよ」
「心配はいりません!胃腸薬とウコンは準備してありますし帰りの足は僕に任せてください」
「そういう問題じゃないんだよ」
谷口の言葉に乗っかるようにツッコミを入れ彼の肩を叩きながら笑うと、二人も私と同じように笑った。
「まぁともかく、乾杯しよう」
「そうだね。むしろ谷口、悪いね」
「とんでもないです!お二人の間にいられるだけで光栄なので!」
「言ってくれるね」
「本当のことなので!」
店員が気を利かしてくれているのか、注文した私と柴やんのビールと、谷口のジンジャーエールはすぐに私たちの元へ届いた。
「じゃあ音頭は柴やん」
「俺かい?」
「いいですね、お聞きしたいです!」
「そうだなぁ、じゃあ、今後のバレー界の発展を願って!」
「何だそりゃ」
「ハハ!かんぱーい!」
私たちはジョッキを力強く合わせ、今日の疲れを洗いながらしてくれるようなビールを体の中に勢いよく流し込んだ。
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