61 / 65
第61話 グーパン
しおりを挟む
やる事は二つ。
まず一つ目は、滅んでしまったラヴォース。
いや、ラブの世界を救う事だ。
流石に人類が滅んでそのままってのは、余りにも哀れで胸糞だからな。
因みに、以前は小さな穴――異世界に繋がる穴――しか開けられなかったが、今の俺なら自分が通り抜けられるサイズを余裕で開ける事が出来る。
その大体の位置も、ラヴの記憶から抽出済みだ。
取り敢えず、人間を滅ぼした魔族をぶちのめして……
人類をどうするか、だな。
流石に何百年も前の人間全部復活させるのは、今の俺でも現実的じゃない。
まあその辺りは、魔神帝の滅ぼされた世界に行ってみてから考えるとしよう。
ひょっとしたら、滅びず残ってる可能性もあるし。
俺は頭上に手を翳して、魔神帝の魂の残痕を集める。
元の世界で復活させてやるつもりだ。
とは言え、そのままだと気の狂った殺戮者のままだから、一旦記憶をリセットして赤ん坊からやり直して貰う事になるが。
「墓地君にはいつも驚かされるけど、今回だけは本当に驚いたよ。君こそ真の勇者だ」
ビートがやって来て、こっぱずかしい事をほざく。
「んな訳ねーだろ。暴力で敵を制圧するだけなら、勇者じゃなくて悪党でも出来るわ。俺が魔神帝をぶちのめしたのは、世界平和じゃなくてムカついたからぶっ飛ばしただけだぞ」
俺には他者を蹂躙する力はあっても、誰かを思いやる優しさなど微塵もない。
そんな勇者、どう考えても嫌すぎだろう。
え?
ラヴの元居た世界を救いに行くなら、優しい立派な勇者じゃないのかって?
奴の事に関しては、記憶が流れ込んできて、強い感情移入を強制されちまったからに過ぎん。
無視してほっとくのもムカつく以上、行くしかないだろ?
暴れに。
再生なんて、まあオマケだ。
「ふふ。ボッチーったら、照れちゃって」
リリスとビートを見て思う。
こいつら、人を見る目がまるでないな。
と。
こいつらの目に、俺がどう映っているのか。
不思議でしょうがない。
……ま、どうでもいいか。
「俺はこれから異世界に行って来るから。まあお前らは、精々数百年分いちゃついてろ」
「異世界に?どうやって……いや、それは愚問だね」
今の俺ならそれぐらい朝飯前。
脳内お花畑であっても、腐っても勇者なのでその程度の判断は聞く様だ。
「ああ、まあ暫くはそっちで暴れて来る予定だ」
そのまま地球に帰還してもいいんだが、その前にこの世界でやる事があるからな。
それは――勇者召喚の封印だ。
どう考えても諸悪の根源だからな。
放っておくと、これからもバンバン異世界から勇者召喚しまくるのは目に見えている。
今は種馬扱いだが、その内魔神帝にやった様にモルモットみたいに扱われる日が来ないとも限らない。
だから勇者召喚を根絶する。
どうやって根絶させるのか?
簡単な事である。
勇者召喚に関わってる奴等――知識を持つ奴等――を、暴力と呪いで蹂躙するだけだ。
対話は重要だからな。
まあ言うまでもなく、俺にとっての対話は拳と強制ではあるが。
「そんな!ボッチーいなくなっちゃうの!?」
リリスが何故か、驚いた様な声を上げる。
「まあ暫くはな」
「……ボッチー。私、貴方に言っておきたい事があるの」
「ん」
リリスが俺の前に立ち、うるんだ瞳で見つめる。
ふむ、これはあれだな。
俺に惚れたな。
まああれだけ強い所を見せつけてやったからな。
ビッチが俺に惚れるのも無理はない。
すまんな、ビート。
お前の恋を邪魔する事になってしまった。
ふ、モテる男はつらいぜ。
そんな事を脳内で考え、悦に浸っていると――
「漫画の本、もう全部読んじゃったの!暫く戻ってこないなら、その前に新しいの頂戴!!」
「……」
この後、俺がリリスの顔面にグーパンした事は言うまでもないだろう。
死ね。
――――――
皆さまお待たせしました!
次回!
真・最終回!
『追放』となります><
まず一つ目は、滅んでしまったラヴォース。
いや、ラブの世界を救う事だ。
流石に人類が滅んでそのままってのは、余りにも哀れで胸糞だからな。
因みに、以前は小さな穴――異世界に繋がる穴――しか開けられなかったが、今の俺なら自分が通り抜けられるサイズを余裕で開ける事が出来る。
その大体の位置も、ラヴの記憶から抽出済みだ。
取り敢えず、人間を滅ぼした魔族をぶちのめして……
人類をどうするか、だな。
流石に何百年も前の人間全部復活させるのは、今の俺でも現実的じゃない。
まあその辺りは、魔神帝の滅ぼされた世界に行ってみてから考えるとしよう。
ひょっとしたら、滅びず残ってる可能性もあるし。
俺は頭上に手を翳して、魔神帝の魂の残痕を集める。
元の世界で復活させてやるつもりだ。
とは言え、そのままだと気の狂った殺戮者のままだから、一旦記憶をリセットして赤ん坊からやり直して貰う事になるが。
「墓地君にはいつも驚かされるけど、今回だけは本当に驚いたよ。君こそ真の勇者だ」
ビートがやって来て、こっぱずかしい事をほざく。
「んな訳ねーだろ。暴力で敵を制圧するだけなら、勇者じゃなくて悪党でも出来るわ。俺が魔神帝をぶちのめしたのは、世界平和じゃなくてムカついたからぶっ飛ばしただけだぞ」
俺には他者を蹂躙する力はあっても、誰かを思いやる優しさなど微塵もない。
そんな勇者、どう考えても嫌すぎだろう。
え?
ラヴの元居た世界を救いに行くなら、優しい立派な勇者じゃないのかって?
奴の事に関しては、記憶が流れ込んできて、強い感情移入を強制されちまったからに過ぎん。
無視してほっとくのもムカつく以上、行くしかないだろ?
暴れに。
再生なんて、まあオマケだ。
「ふふ。ボッチーったら、照れちゃって」
リリスとビートを見て思う。
こいつら、人を見る目がまるでないな。
と。
こいつらの目に、俺がどう映っているのか。
不思議でしょうがない。
……ま、どうでもいいか。
「俺はこれから異世界に行って来るから。まあお前らは、精々数百年分いちゃついてろ」
「異世界に?どうやって……いや、それは愚問だね」
今の俺ならそれぐらい朝飯前。
脳内お花畑であっても、腐っても勇者なのでその程度の判断は聞く様だ。
「ああ、まあ暫くはそっちで暴れて来る予定だ」
そのまま地球に帰還してもいいんだが、その前にこの世界でやる事があるからな。
それは――勇者召喚の封印だ。
どう考えても諸悪の根源だからな。
放っておくと、これからもバンバン異世界から勇者召喚しまくるのは目に見えている。
今は種馬扱いだが、その内魔神帝にやった様にモルモットみたいに扱われる日が来ないとも限らない。
だから勇者召喚を根絶する。
どうやって根絶させるのか?
簡単な事である。
勇者召喚に関わってる奴等――知識を持つ奴等――を、暴力と呪いで蹂躙するだけだ。
対話は重要だからな。
まあ言うまでもなく、俺にとっての対話は拳と強制ではあるが。
「そんな!ボッチーいなくなっちゃうの!?」
リリスが何故か、驚いた様な声を上げる。
「まあ暫くはな」
「……ボッチー。私、貴方に言っておきたい事があるの」
「ん」
リリスが俺の前に立ち、うるんだ瞳で見つめる。
ふむ、これはあれだな。
俺に惚れたな。
まああれだけ強い所を見せつけてやったからな。
ビッチが俺に惚れるのも無理はない。
すまんな、ビート。
お前の恋を邪魔する事になってしまった。
ふ、モテる男はつらいぜ。
そんな事を脳内で考え、悦に浸っていると――
「漫画の本、もう全部読んじゃったの!暫く戻ってこないなら、その前に新しいの頂戴!!」
「……」
この後、俺がリリスの顔面にグーパンした事は言うまでもないだろう。
死ね。
――――――
皆さまお待たせしました!
次回!
真・最終回!
『追放』となります><
0
あなたにおすすめの小説
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった
仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。
大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!
ユーリ
ファンタジー
気がつくと、見知らぬ部屋のベッドの上で、状況が理解できず混乱していた僕は、鏡の前に立って、あることを思い出した。
ここはリュカとして生きてきた異世界で、僕は“落ちこぼれ貴族の息子”だった。しかも最悪なことに、さっき行われた絶対失敗出来ない召喚の儀で、僕だけが失敗した。
そのせいで、貴族としての評価は確実に地に落ちる。けれど、両親は超が付くほど過保護だから、家から追い出される心配は……たぶん無い。
問題は一つ。
兄様との関係が、どうしようもなく悪い。
僕は両親に甘やかされ、勉強もサボり放題。その積み重ねのせいで、兄様との距離は遠く、話しかけるだけで気まずい空気に。
このまま兄様が家督を継いだら、屋敷から追い出されるかもしれない!
追い出されないように兄様との関係を改善し、いざ追い出されても生きていけるように勉強して強くなる!……のはずが、勉強をサボっていたせいで、一般常識すら分からないところからのスタートだった。
それでも、兄様との距離を縮めようと努力しているのに、なかなか縮まらない! むしろ避けられてる気さえする!!
それでもめげずに、今日も兄様との関係修復、頑張ります!
5/9から小説になろうでも掲載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる