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第51話 敗北
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アトモスから渡された分厚い書物に俺は目を通す。これは創造魔法である、ドッペルゲンガーが記されている物だ。
「君凄い速度で覚えるねぇ。流石は記憶と集中力の天才だけはある」
俺のページをめくる速さにに、アトモスが感嘆する。
「さっき魔法の実演を見ましたから。魔力の流れから、おおよその形は掴めてるんで」
今しているのは実質復習だ。答え合わせと言ってもいいだろう。なので、通常よりもさらに早めとなっている。
「ほほう。魔力の流れからその構成を見抜く……か。どうやら君の才能は僕の考えている以上の様だね。これは素晴らしい。よし!その才能を踊って称えよう!らららー」
アトモスが何故か踊り出す。まあそう言う年頃なんだろうと適当に流し、俺は魔法陣の確認作業を黙々と続けていく。
「ふぅ……」
10分ほどかけて、五千を超える魔法陣の丁寧な確認作業を終える。これでドッペルゲンガーは習得出来た。まあ魔力が足りてないから、習得しても現状では使えない訳だが。発動させるには、少なくとも今の倍近い魔力は必要だ。
「おや、もう終わったのかい。僕の方も佳境だから、ちょっと待ってくれたまえ」
アトモスが警戒に跳ね回りながらそう言って来る。いや中断しろよと思わなくもないが、それは心に留めて黙ってそれを待つ。一応、魔法を教えて貰った身だしな。
「ふぅ、さっきのダンスは最高のキレだった。天才同士が出会った奇跡がそうさせたと言わざる得ないね」
テンションが上がってるって言いたいのだろう。気分次第でパフォーマンスが上がるのは人間の常だからな。まあ彼女は亜人だが、同じ様な知的生物なので、その辺りの構造が似通っていてもなんら不思議ではない。
「さて、それじゃあ早速魔法を使ってみようか」
「いや、今の俺の魔力じゃそれは難しいかと……」
「むっふっふ。それは分かっているよ。だが!そうだが!今!君の目の前には魔法の天才がいる!そう!このアトモスが!!らららー、おっとぉ……」
アトモスが踊りだそうとしたので、初動の踏み鳴らしを止める。もはや何もしてない俺の前で踊れると思ったら大間違いだ。
「やるねぇ。流石は僕の認めた天才だよ」
「それはどうも。それで……アトモスさんの天才の御業ってのは一体?」
「ふふふ……知りたいかい?」
「ええ、それは勿論」
当然知りたいに決まっている。自分が無理だと判断した事を覆す、天才としての何かに興味がわかない訳もない。一体アトモスさんは、どうやって魔力不足の状態で魔法を発動させるというのか?
「では教えて上げよう!それは僕達の種族だけが持つ能力!そう!ユニークスキルとも言うべき能力を使うのさ!!」
「ユニークスキル……」
どうやらアースワイズマンという種族は、特殊な能力を持っている様だ。
「その名もワルツ!しかも僕のそれは同族の中でも最高クラスの効果があるんだ!何故なら天才だから!らららー、っとう!」
アトモスさんが踊り出しそうになったので、その踏み足を掌で止め様としたら華麗なジャンプで躱されてしまう。そしてそのままダンススタート。ここから無理やり止める事も出来るが、初動を止められなかったので俺は素直に諦めた。
……油断してたな。なんか負けた気分だ。
楽し気に踊るアトモスを横目に、俺はそんな事を考えるのだった。
「君凄い速度で覚えるねぇ。流石は記憶と集中力の天才だけはある」
俺のページをめくる速さにに、アトモスが感嘆する。
「さっき魔法の実演を見ましたから。魔力の流れから、おおよその形は掴めてるんで」
今しているのは実質復習だ。答え合わせと言ってもいいだろう。なので、通常よりもさらに早めとなっている。
「ほほう。魔力の流れからその構成を見抜く……か。どうやら君の才能は僕の考えている以上の様だね。これは素晴らしい。よし!その才能を踊って称えよう!らららー」
アトモスが何故か踊り出す。まあそう言う年頃なんだろうと適当に流し、俺は魔法陣の確認作業を黙々と続けていく。
「ふぅ……」
10分ほどかけて、五千を超える魔法陣の丁寧な確認作業を終える。これでドッペルゲンガーは習得出来た。まあ魔力が足りてないから、習得しても現状では使えない訳だが。発動させるには、少なくとも今の倍近い魔力は必要だ。
「おや、もう終わったのかい。僕の方も佳境だから、ちょっと待ってくれたまえ」
アトモスが警戒に跳ね回りながらそう言って来る。いや中断しろよと思わなくもないが、それは心に留めて黙ってそれを待つ。一応、魔法を教えて貰った身だしな。
「ふぅ、さっきのダンスは最高のキレだった。天才同士が出会った奇跡がそうさせたと言わざる得ないね」
テンションが上がってるって言いたいのだろう。気分次第でパフォーマンスが上がるのは人間の常だからな。まあ彼女は亜人だが、同じ様な知的生物なので、その辺りの構造が似通っていてもなんら不思議ではない。
「さて、それじゃあ早速魔法を使ってみようか」
「いや、今の俺の魔力じゃそれは難しいかと……」
「むっふっふ。それは分かっているよ。だが!そうだが!今!君の目の前には魔法の天才がいる!そう!このアトモスが!!らららー、おっとぉ……」
アトモスが踊りだそうとしたので、初動の踏み鳴らしを止める。もはや何もしてない俺の前で踊れると思ったら大間違いだ。
「やるねぇ。流石は僕の認めた天才だよ」
「それはどうも。それで……アトモスさんの天才の御業ってのは一体?」
「ふふふ……知りたいかい?」
「ええ、それは勿論」
当然知りたいに決まっている。自分が無理だと判断した事を覆す、天才としての何かに興味がわかない訳もない。一体アトモスさんは、どうやって魔力不足の状態で魔法を発動させるというのか?
「では教えて上げよう!それは僕達の種族だけが持つ能力!そう!ユニークスキルとも言うべき能力を使うのさ!!」
「ユニークスキル……」
どうやらアースワイズマンという種族は、特殊な能力を持っている様だ。
「その名もワルツ!しかも僕のそれは同族の中でも最高クラスの効果があるんだ!何故なら天才だから!らららー、っとう!」
アトモスさんが踊り出しそうになったので、その踏み足を掌で止め様としたら華麗なジャンプで躱されてしまう。そしてそのままダンススタート。ここから無理やり止める事も出来るが、初動を止められなかったので俺は素直に諦めた。
……油断してたな。なんか負けた気分だ。
楽し気に踊るアトモスを横目に、俺はそんな事を考えるのだった。
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