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第7話 けち臭い
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「なんだ?練習しなくていいのか?」
「どうせそんな直ぐにできるもんじゃないんだろ?一人で気長にやるよ。だいだい爺さんに指導してもらうと、追加料金を取られそうだしな」
「ちっ、勘のいい奴だ」
段階別習得方法を聞いた俺は、実際に訓練する事無く、爺さん達の見えない離れた場所へと移動する。ここへ来たのは元々魔法を試し打ちする為だ。まずは、以前爺さんに見せて貰った物と同じ属性の基礎魔法を使ってみる。
「クリエイトウォーター」
魔法陣を思い浮かべ、その中に魔力を込める。すると俺の右手から水が溢れ出す。
「量は大体2リットルぐらいか」
爺さんの時もそれぐらいだったので、やはり増幅のかかっていない基礎魔法の威力は統一されている様だ。次に土、風、火と発動させていく。
「大体分量的には全部一緒ぐらいか」
風や火には質量はないが、まあもし体積を測れたとしたら同じぐらいだと感覚的に把握する。
「じゃあ次は初級魔法を使おう」
魔法陣を同時に二つイメージして魔力を流し込み、水魔法を発動させようとして――
「ありゃ、基礎魔法になっちまった。順番にやらないとやっぱ駄目なのか?いや、まだそう決めるのは早計だな」
次は同時ではなく、魔力が満ちるタイミングを輪唱の様に少しずらしてみた。まずは属性、ついで推進の魔法陣の順になる様に。
「お、出た。けど……外れちまったな」
魔法は見事発動。水の塊が高速で前方に飛んでいくが、狙った木を外れて別の木に当たってしまった。
「掌の中心点の真正面に飛ぶわけか。もう一発――よし」
次は一度目の経験から調整を加え、魔法を狙った木にあてる事に成功する。
「にしても、初級でも中々の威力だな」
的となった木に近づい確認すると、水の塊が当たった木の表皮が大きく抉れているのが分かる。この時点で普通の人間だったら一発ケーオー物の威力だ。
……発射までの手順を頑張れば、コンマ1秒以下に縮められそうだから、この魔法の連打だけで地球では余裕で無双出来そうだな。一発で消費した魔力は総量に対して微々たる物で、1000発ぐらいは余裕で打てそうだし。
「こら!何やってんだ!」
そんな事を考えていたら、爺さんが血相を抱えて此方に走って来た。どうやら水の魔法が木に当たった大きな音に驚いて、こっちにやって来た用だ。
「いや、昨日魔法ギルドで覚えた魔法を試し打ちしてみようと思って」
「おいおい、木が偉い事になっちまってるじゃねぇか。ここはこの街が管理してる場所なんだぞ。こんな所で木に向かって魔法なんて撃つんじゃねぇよ」
管理されているのだから、生えている木を破損させるのは当然不味い。考えてみれば至極当たり前の事なのだが、どういう訳だか、俺の頭からそういった常識がすっぽり抜け落ちてしまっていた。
どうも異世界だから、その辺りはアバウトだろうと勝手に思い込んでしまっていた様だ。勇者がタンスの中身を漁って盗むのが当たり前的な。こういうのをゲーム脳と言うのかもしれない。
「すいません」
「俺に謝ってもしょうがねぇぞ。まあだが俺も鬼じゃねぇ……分かるよな?」
そういって爺さんは嬉しそうに掌を差し出す。黙ってて欲しかったら金を寄越せと言う事だろう。態々走って来たのは、ひょっとして驚いたのではなく、金になると思ったからか?そんな気がしてならない。
「分かったよ」
「毎度あり」
仕方ないので爺さんに100ボルに握らせる。正義漢溢れる人間なら素直に自分の過ちを認めて御用になるんだろうが、俺はそこまで清廉潔白じゃないからな。ましてやここは異世界。少額の賄賂で済むのなら、迷わずそっちを選択するってもんだ。
「ああ、そうだ爺さん」
「ん?」
「爺さんって初級以上の魔法も使えるんだよな?だったら初級以上の魔法陣を教えてくれないか?金は払うからさ」
一応、自称魔法の腕も立つ凄腕の冒険者だったらしいからな。まあ話半分だったとしても、魔法ギルドに置いてあった基礎関連以上の魔法ぐらいは使えるはず。なら、爺さんから魔法陣を習うのがてっとりばやい。そう思って頼んでみた。
「ああ、そりゃ無理だ」
「なんでさ?」
ひょっとして、魔法ギルドにあった魔法以上は使えないって事だろうか?そうだとしたら話半分どころではないな。
「魔法陣は特殊な処理を施された紙じゃないと、書き記せないからな」
「え?そうなの?」
凄く嘘くせぇ。
「嘘だと思うなら、そこにお前の覚えた魔法陣を書き記して見な」
俺の考えを見抜いたのか、爺さんが地面を指さす。俺は半信半疑ながらも、言われた通り地面に魔法陣を描こうとして――
「——マジかっ!?」
――魔法陣を書く事が出来なかった。
記憶の中の魔法陣の形を描こうとして、何故か指先が勝手にグニャグニャと蛇行して訳の分からないラクガキに変わってしまう。
「どうなってるんだ、これ?」
「魔法は元々、魔法を司る神様から人間に与えられた力でな。勝手に広められない様、特殊な紙じゃないと書き起こせない様になってるんだよ。いわゆる神の禁制って奴だ」
「そうなのか……」
神様の力か……
普段なら、神どうこう言われても胡散臭いとしか思わなかっただろう。だがここは異世界で、それも禁制に実際に触れた身としては納得せざる得ない。
神様にしてはけち臭い事だな……
いやまあ、他の影響で実際は神様関係ない可能性もあるけど。
「本気で色々な魔法を覚えたいなら、王都にある魔塔に行くのが一番だな。まあ金は掛かるが」
「魔塔か……」
心情的には余り近づきたくないと言うのが本音だ。何せ、魔塔の副塔主であるゴンザスが俺の召喚に関わってる訳だからな。
まあ魔法を覚えに行って、そこで偉いさんに遭遇する確率はそう高くないだろうから大丈夫だとは思うが……
だが、余計なリスクは可能な限り避けるに限る。なので、どうしてもという状況にならない限り、寄るのは止めておこうと思う。
「どうせそんな直ぐにできるもんじゃないんだろ?一人で気長にやるよ。だいだい爺さんに指導してもらうと、追加料金を取られそうだしな」
「ちっ、勘のいい奴だ」
段階別習得方法を聞いた俺は、実際に訓練する事無く、爺さん達の見えない離れた場所へと移動する。ここへ来たのは元々魔法を試し打ちする為だ。まずは、以前爺さんに見せて貰った物と同じ属性の基礎魔法を使ってみる。
「クリエイトウォーター」
魔法陣を思い浮かべ、その中に魔力を込める。すると俺の右手から水が溢れ出す。
「量は大体2リットルぐらいか」
爺さんの時もそれぐらいだったので、やはり増幅のかかっていない基礎魔法の威力は統一されている様だ。次に土、風、火と発動させていく。
「大体分量的には全部一緒ぐらいか」
風や火には質量はないが、まあもし体積を測れたとしたら同じぐらいだと感覚的に把握する。
「じゃあ次は初級魔法を使おう」
魔法陣を同時に二つイメージして魔力を流し込み、水魔法を発動させようとして――
「ありゃ、基礎魔法になっちまった。順番にやらないとやっぱ駄目なのか?いや、まだそう決めるのは早計だな」
次は同時ではなく、魔力が満ちるタイミングを輪唱の様に少しずらしてみた。まずは属性、ついで推進の魔法陣の順になる様に。
「お、出た。けど……外れちまったな」
魔法は見事発動。水の塊が高速で前方に飛んでいくが、狙った木を外れて別の木に当たってしまった。
「掌の中心点の真正面に飛ぶわけか。もう一発――よし」
次は一度目の経験から調整を加え、魔法を狙った木にあてる事に成功する。
「にしても、初級でも中々の威力だな」
的となった木に近づい確認すると、水の塊が当たった木の表皮が大きく抉れているのが分かる。この時点で普通の人間だったら一発ケーオー物の威力だ。
……発射までの手順を頑張れば、コンマ1秒以下に縮められそうだから、この魔法の連打だけで地球では余裕で無双出来そうだな。一発で消費した魔力は総量に対して微々たる物で、1000発ぐらいは余裕で打てそうだし。
「こら!何やってんだ!」
そんな事を考えていたら、爺さんが血相を抱えて此方に走って来た。どうやら水の魔法が木に当たった大きな音に驚いて、こっちにやって来た用だ。
「いや、昨日魔法ギルドで覚えた魔法を試し打ちしてみようと思って」
「おいおい、木が偉い事になっちまってるじゃねぇか。ここはこの街が管理してる場所なんだぞ。こんな所で木に向かって魔法なんて撃つんじゃねぇよ」
管理されているのだから、生えている木を破損させるのは当然不味い。考えてみれば至極当たり前の事なのだが、どういう訳だか、俺の頭からそういった常識がすっぽり抜け落ちてしまっていた。
どうも異世界だから、その辺りはアバウトだろうと勝手に思い込んでしまっていた様だ。勇者がタンスの中身を漁って盗むのが当たり前的な。こういうのをゲーム脳と言うのかもしれない。
「すいません」
「俺に謝ってもしょうがねぇぞ。まあだが俺も鬼じゃねぇ……分かるよな?」
そういって爺さんは嬉しそうに掌を差し出す。黙ってて欲しかったら金を寄越せと言う事だろう。態々走って来たのは、ひょっとして驚いたのではなく、金になると思ったからか?そんな気がしてならない。
「分かったよ」
「毎度あり」
仕方ないので爺さんに100ボルに握らせる。正義漢溢れる人間なら素直に自分の過ちを認めて御用になるんだろうが、俺はそこまで清廉潔白じゃないからな。ましてやここは異世界。少額の賄賂で済むのなら、迷わずそっちを選択するってもんだ。
「ああ、そうだ爺さん」
「ん?」
「爺さんって初級以上の魔法も使えるんだよな?だったら初級以上の魔法陣を教えてくれないか?金は払うからさ」
一応、自称魔法の腕も立つ凄腕の冒険者だったらしいからな。まあ話半分だったとしても、魔法ギルドに置いてあった基礎関連以上の魔法ぐらいは使えるはず。なら、爺さんから魔法陣を習うのがてっとりばやい。そう思って頼んでみた。
「ああ、そりゃ無理だ」
「なんでさ?」
ひょっとして、魔法ギルドにあった魔法以上は使えないって事だろうか?そうだとしたら話半分どころではないな。
「魔法陣は特殊な処理を施された紙じゃないと、書き記せないからな」
「え?そうなの?」
凄く嘘くせぇ。
「嘘だと思うなら、そこにお前の覚えた魔法陣を書き記して見な」
俺の考えを見抜いたのか、爺さんが地面を指さす。俺は半信半疑ながらも、言われた通り地面に魔法陣を描こうとして――
「——マジかっ!?」
――魔法陣を書く事が出来なかった。
記憶の中の魔法陣の形を描こうとして、何故か指先が勝手にグニャグニャと蛇行して訳の分からないラクガキに変わってしまう。
「どうなってるんだ、これ?」
「魔法は元々、魔法を司る神様から人間に与えられた力でな。勝手に広められない様、特殊な紙じゃないと書き起こせない様になってるんだよ。いわゆる神の禁制って奴だ」
「そうなのか……」
神様の力か……
普段なら、神どうこう言われても胡散臭いとしか思わなかっただろう。だがここは異世界で、それも禁制に実際に触れた身としては納得せざる得ない。
神様にしてはけち臭い事だな……
いやまあ、他の影響で実際は神様関係ない可能性もあるけど。
「本気で色々な魔法を覚えたいなら、王都にある魔塔に行くのが一番だな。まあ金は掛かるが」
「魔塔か……」
心情的には余り近づきたくないと言うのが本音だ。何せ、魔塔の副塔主であるゴンザスが俺の召喚に関わってる訳だからな。
まあ魔法を覚えに行って、そこで偉いさんに遭遇する確率はそう高くないだろうから大丈夫だとは思うが……
だが、余計なリスクは可能な限り避けるに限る。なので、どうしてもという状況にならない限り、寄るのは止めておこうと思う。
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