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第17童 相談
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「お兄ちゃんおかえり!」
サラが俺の姿を見つけ、駆け寄ってきて元気よく飛びついてくる。
俺は転びそうになりながらもサラを抱き留めた。
子供は本当に元気で羨ましい。
「おかえりなさい。勇人さん」
「ただいま戻りました」
カイルも俺を見つけ、嬉しそうに声をかけてきた。
なんでこんなに嬉しそうなのだろうか?
ひょっとしたら、何か俺への頼み事でもあるのかもしれない。
「勇人さんが帰って来てくれてよかったですよ。みんな心配してたんです」
「心配?」
どうやら嬉しそうだったのは頼み事をしたかったからでは無く。
俺の事を心配していたからの様だ。
しかし一体どういう事だろうか。
目的が魔物退治だったとはいえ、出発の際は魔法が使えるから大丈夫だろうといった楽観的な反応だったのだが?
「何か心配事でも起きたんですか?」
「気づかれてないんですか?あれですよ」
カイルが俺の背後、その少し上の空を指さす。
そこには――
「ああー」
霊樹――改め世界樹の姿がはっきりと映る。
世界樹はそのバカでかさ故、遠く離れたこの村からでもはっきりと一望できた。
因みに世界樹と言う呼称は妖精達があの樹に新たに付けた名だ。
「勇人さんの向かった方角にいきなり巨大な樹が立ったんで、皆心配してたんですよ」
「あ、ああ。問題ありませんよ。あれは邪悪な何かとは違いますんで」
「そうなんですか?」
「ええ」
育てた本人が言うのだから間違いない。
多分。
「ひょっとしてお兄ちゃんがあの木を魔法で生やしたの?」
「え!?」
サラが無駄に鋭く勘を働かす。
子供の直観恐るべし。
取り敢えず、適当に惚けておこう。
「いや、俺は――」
「その通り!!あの世界樹は神様がっ――」
俺はカバンの中から出て来たリピを鷲掴みにして黙らせる。
彼女はどうしても俺に仕えると駄々をこねて付いて来た。
俺としては悩みの種になりそうだったので、断固拒否したかったのだが。
駄目なら神様や世界樹の事を言いふらすと脅されて、仕方なく連れて帰って来た。
のだが――
「てめー、何いきなりばらそうとしてやがる。速攻で約束破んな。追い払うぞ」
俺は後ろに振り返り、カイル達に聞こえない様にリピに釘をさす。
「えへへ、つい」
ついじゃねぇよ。
可愛らしく頭を掻きながら舌を出すその仕草があざとく感じ、不安でいっぱいになる。
やはり連れて帰るべきでは無かった様だ。
「わぁ!リピちゃんだ!!お帰り!」
サラが目の前に回り込んできて、嬉しそうに飛び跳ねる。
こういう時大人はこっちが振り向くまで待ってくれるものだが、子供にはそう言う御約束は通じないから困る。
全然釘がさし足りないのでもう少し時間が欲しかったが、目をキラキラ輝かせているサラにあっち行ってろとは言い辛い。
仕方ないので手の中のリピを一睨みしてから解放した。
いつまでも握ったままだと虐待だと思われてしまうから。
「ただいま!サラちゃん!」
2人はハイタッチして楽しげにはしゃぎ出す。
不都合な事をリピが口走らないかと気を揉みながら二人を見ていると、背後からカイルに声をかけられた。
「何か事情があるようですね」
世界樹の事を話す気は更々無かったのだが、リピの早々の失言で勘繰られてしまう。
どうした物か……カイル辺りには素直にすべきか……
「んー……ええ、まあ……」
少し迷ってから、俺は世界樹の事を話すと決める。
カイルが俺の事を心配してたのは、巨大な樹の出現に不安を感じたからだ。
脅威を感じていないなら、一々その事で俺の心配などしたりはしないだろう。
そしてそれはこの村の人間全てが感じている物の筈。
そんな状態を放っておく訳にも行かないし、村の人間を安心させる為の理由作りにカイルの知恵を借りるとしよう。
「実は――」
俺は世界樹関連の話を素直に説明し。
彼に協力して貰って、一緒に村人の納得する理由を考えるのだった。
サラが俺の姿を見つけ、駆け寄ってきて元気よく飛びついてくる。
俺は転びそうになりながらもサラを抱き留めた。
子供は本当に元気で羨ましい。
「おかえりなさい。勇人さん」
「ただいま戻りました」
カイルも俺を見つけ、嬉しそうに声をかけてきた。
なんでこんなに嬉しそうなのだろうか?
ひょっとしたら、何か俺への頼み事でもあるのかもしれない。
「勇人さんが帰って来てくれてよかったですよ。みんな心配してたんです」
「心配?」
どうやら嬉しそうだったのは頼み事をしたかったからでは無く。
俺の事を心配していたからの様だ。
しかし一体どういう事だろうか。
目的が魔物退治だったとはいえ、出発の際は魔法が使えるから大丈夫だろうといった楽観的な反応だったのだが?
「何か心配事でも起きたんですか?」
「気づかれてないんですか?あれですよ」
カイルが俺の背後、その少し上の空を指さす。
そこには――
「ああー」
霊樹――改め世界樹の姿がはっきりと映る。
世界樹はそのバカでかさ故、遠く離れたこの村からでもはっきりと一望できた。
因みに世界樹と言う呼称は妖精達があの樹に新たに付けた名だ。
「勇人さんの向かった方角にいきなり巨大な樹が立ったんで、皆心配してたんですよ」
「あ、ああ。問題ありませんよ。あれは邪悪な何かとは違いますんで」
「そうなんですか?」
「ええ」
育てた本人が言うのだから間違いない。
多分。
「ひょっとしてお兄ちゃんがあの木を魔法で生やしたの?」
「え!?」
サラが無駄に鋭く勘を働かす。
子供の直観恐るべし。
取り敢えず、適当に惚けておこう。
「いや、俺は――」
「その通り!!あの世界樹は神様がっ――」
俺はカバンの中から出て来たリピを鷲掴みにして黙らせる。
彼女はどうしても俺に仕えると駄々をこねて付いて来た。
俺としては悩みの種になりそうだったので、断固拒否したかったのだが。
駄目なら神様や世界樹の事を言いふらすと脅されて、仕方なく連れて帰って来た。
のだが――
「てめー、何いきなりばらそうとしてやがる。速攻で約束破んな。追い払うぞ」
俺は後ろに振り返り、カイル達に聞こえない様にリピに釘をさす。
「えへへ、つい」
ついじゃねぇよ。
可愛らしく頭を掻きながら舌を出すその仕草があざとく感じ、不安でいっぱいになる。
やはり連れて帰るべきでは無かった様だ。
「わぁ!リピちゃんだ!!お帰り!」
サラが目の前に回り込んできて、嬉しそうに飛び跳ねる。
こういう時大人はこっちが振り向くまで待ってくれるものだが、子供にはそう言う御約束は通じないから困る。
全然釘がさし足りないのでもう少し時間が欲しかったが、目をキラキラ輝かせているサラにあっち行ってろとは言い辛い。
仕方ないので手の中のリピを一睨みしてから解放した。
いつまでも握ったままだと虐待だと思われてしまうから。
「ただいま!サラちゃん!」
2人はハイタッチして楽しげにはしゃぎ出す。
不都合な事をリピが口走らないかと気を揉みながら二人を見ていると、背後からカイルに声をかけられた。
「何か事情があるようですね」
世界樹の事を話す気は更々無かったのだが、リピの早々の失言で勘繰られてしまう。
どうした物か……カイル辺りには素直にすべきか……
「んー……ええ、まあ……」
少し迷ってから、俺は世界樹の事を話すと決める。
カイルが俺の事を心配してたのは、巨大な樹の出現に不安を感じたからだ。
脅威を感じていないなら、一々その事で俺の心配などしたりはしないだろう。
そしてそれはこの村の人間全てが感じている物の筈。
そんな状態を放っておく訳にも行かないし、村の人間を安心させる為の理由作りにカイルの知恵を借りるとしよう。
「実は――」
俺は世界樹関連の話を素直に説明し。
彼に協力して貰って、一緒に村人の納得する理由を考えるのだった。
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