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第5話 ドワーフ
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悲鳴の聞こえた辺りに駆け付けると――
「ひゃああ!くるな!くるなぁ!!」
後頭部でツインテールにした10歳前後の赤毛。
服装はオレンジ色のつなぎの様な物を着ている女の子が、自身の体よりも大きな戦斧を滅茶苦茶に振り回しながら叫んでいた。
「ドワーフか」
――ドワーフ。
小柄で怪力が特徴の亜人だ。
更に手先が器用で、モノ作りも得意である。
種族的な大きな欠点としては、酒に目がない所だな。
斧を振り回すドワーフの少女は、蛇タイプの魔物に取り囲まれている状態だ。
だがその中に大蛇はいない。
どうやら少女は、雑魚に襲われて悲鳴を上げただけの様だった。
「大蛇じゃないけど、一応助けるか」
普通に戦えば放っておいても、ドワーフの少女が勝つだろう。
周囲にいるのは、軽々と巨大な戦斧を振り回すパワーがあれば蹴散らすのは容易いレベルの魔物だからだ。
そう、普通に戦えればまず負けはないのだ。
が、どうみても彼女はパニック状態である。
出鱈目に武器を振り回していて、とてもではないが真面に戦える状態とは思えない。
直ぐに持ち直せればいいが、当たらない攻撃を延々繰り返したあげく疲れきった所を襲われたら、流石にまずいだろう。
「デビルブーメラン!」
斧をぶん投げる。
高威力なので雑魚程度なら確殺だ。
六匹いたうちの二匹の頭が刎ね飛び、戻って来た斧を俺は片手でキャッチする。
「きしゃー!」
ハイパーステルスの効果で気付いていなかった蛇の魔物達も、流石に攻撃されたら気づく。
奴らはそのターゲットを、ドワーフの少女から一斉に此方へと移した。
「まあ、だからなんだって話ではあるがな」
気づいていようがいまいが、大した問題ではない。
大蛇ならともかく、この辺りにいる雑魚モンスターなどゲリュオンの敵ではないのだから。
「ほらよ!」
俺は突っ込んで、少女の出鱈目な攻撃に当たらない様に気を付けつつ手にした斧を振るう。
相手は雑魚。
十秒程もあれば余裕だ。
で、あっというまに殲滅した訳だが……
「くるな!くるなぁ!!」
蛇は始末したにもかかわらず、少女は何故かまだ斧を振り回し続けていた。
よく見ると――
「おいおい……」
――彼女は目を瞑って斧を振り回していた。
戦いの最中に目を瞑って武器を振り回すとか……
助けに入ったのは正解だった様だ。
「おーい、もう魔物はいないぞ」
そう声をかけるも、少女は斧を振り回し続ける。
声も聞こえていないみたいだ。
仕方がないので、俺は彼女の振り回している斧を手で受け止めて止める。
……結構なパワーしてるな。
少女のパワーはかなりの物だった。
腕力に優れるドワーフだが、これだけの筋力となるとそこそこのレベルはある筈だ。
そんなレベルの奴が、何でこんな出鱈目な戦いをするのか謎で仕方ない。
「ふぇぁ?」
斧を止められて、少女が間抜けな声を上げる。
俺は再度、彼女に声をかけた。
「魔物は全部始末したよ」
「あ……」
少女は俺の言葉に、恐る恐るといった感じに固く閉じていた目を開ける。
そして周囲の状況を確認してから、気が抜けたのかへたり込む様にその場で尻もちをついた。
冗談抜きで、何でこんな場所に来たんだ?
この娘は?
「あの……助けて貰ったみたいで、ありがとうございます」
少女が俺に頭を下げる。
「ああ、気にしなくていいさ」
パパッと確認すると、カルマ値はマイナス676にまで下がっていた。
山賊団五つ分の成果である。
ピンチになっててくれてありがとうと、寧ろこちらが言いたいくらいだ。
「所で……何か訳アリっぽいけど、なんでここに?」
真面に戦えもしないのに、街から離れた魔物のでる場所にやって来るなどありえない。
何らかの事情があると考えるのが自然だ。
「実は……おねぇちゃんが病気になって。それで、この沼地にケテル草が生えてるって聞いてやって来たんです。でも、私蛇が苦手でパニックになっちゃって……」
「成程」
ケテル草はこの沼地でとれる薬草で、エリクサーなんかの材料になる物だ。
此処でとれる超レア扱いの薬草程ではないが、希少性はかなり高い。
わざわざ蛇の苦手な彼女が自分で取りに来たって事は、きっとお姉さんは緊急性のある病気なんだろう。
「ふむ……」
彼女が一人なのは、大蛇のせいだろう。
命懸けのチャレンジャーでもなきゃ、此処に近づきたがる奴はいないからな。
「なら、俺が手伝うよ。目を瞑って戦う君一人じゃ危ないからな」
どうせ大蛇退治のためにこの辺りをうろつくのだ。
それなら彼女の手助けもして、更にカルマ値を稼いだ方がお得だ。
「え!?い、良いんですか?助けて貰った上に、そこまでして貰って……」
「ああ。困った時はお互い様って言うだろ」
俺はにっこりと笑顔でそう言う。
彼女は薬草を手に入れて、此方はカルマ値を手に入れる。
正にウィンウィンだ。
「ありがとうございます!!」
へたり込んでいた少女が跳ねる様に立ち上がり、俺に深く頭を下げた。
「私、メエラ・ドワブーンって言います、よろしくお願いします」
「……」
ドワブーン。
それは聞いた事のある名字だった。
主人公の仲間。
狂戦士の女ドワーフが、その名字だ。
「ひゃああ!くるな!くるなぁ!!」
後頭部でツインテールにした10歳前後の赤毛。
服装はオレンジ色のつなぎの様な物を着ている女の子が、自身の体よりも大きな戦斧を滅茶苦茶に振り回しながら叫んでいた。
「ドワーフか」
――ドワーフ。
小柄で怪力が特徴の亜人だ。
更に手先が器用で、モノ作りも得意である。
種族的な大きな欠点としては、酒に目がない所だな。
斧を振り回すドワーフの少女は、蛇タイプの魔物に取り囲まれている状態だ。
だがその中に大蛇はいない。
どうやら少女は、雑魚に襲われて悲鳴を上げただけの様だった。
「大蛇じゃないけど、一応助けるか」
普通に戦えば放っておいても、ドワーフの少女が勝つだろう。
周囲にいるのは、軽々と巨大な戦斧を振り回すパワーがあれば蹴散らすのは容易いレベルの魔物だからだ。
そう、普通に戦えればまず負けはないのだ。
が、どうみても彼女はパニック状態である。
出鱈目に武器を振り回していて、とてもではないが真面に戦える状態とは思えない。
直ぐに持ち直せればいいが、当たらない攻撃を延々繰り返したあげく疲れきった所を襲われたら、流石にまずいだろう。
「デビルブーメラン!」
斧をぶん投げる。
高威力なので雑魚程度なら確殺だ。
六匹いたうちの二匹の頭が刎ね飛び、戻って来た斧を俺は片手でキャッチする。
「きしゃー!」
ハイパーステルスの効果で気付いていなかった蛇の魔物達も、流石に攻撃されたら気づく。
奴らはそのターゲットを、ドワーフの少女から一斉に此方へと移した。
「まあ、だからなんだって話ではあるがな」
気づいていようがいまいが、大した問題ではない。
大蛇ならともかく、この辺りにいる雑魚モンスターなどゲリュオンの敵ではないのだから。
「ほらよ!」
俺は突っ込んで、少女の出鱈目な攻撃に当たらない様に気を付けつつ手にした斧を振るう。
相手は雑魚。
十秒程もあれば余裕だ。
で、あっというまに殲滅した訳だが……
「くるな!くるなぁ!!」
蛇は始末したにもかかわらず、少女は何故かまだ斧を振り回し続けていた。
よく見ると――
「おいおい……」
――彼女は目を瞑って斧を振り回していた。
戦いの最中に目を瞑って武器を振り回すとか……
助けに入ったのは正解だった様だ。
「おーい、もう魔物はいないぞ」
そう声をかけるも、少女は斧を振り回し続ける。
声も聞こえていないみたいだ。
仕方がないので、俺は彼女の振り回している斧を手で受け止めて止める。
……結構なパワーしてるな。
少女のパワーはかなりの物だった。
腕力に優れるドワーフだが、これだけの筋力となるとそこそこのレベルはある筈だ。
そんなレベルの奴が、何でこんな出鱈目な戦いをするのか謎で仕方ない。
「ふぇぁ?」
斧を止められて、少女が間抜けな声を上げる。
俺は再度、彼女に声をかけた。
「魔物は全部始末したよ」
「あ……」
少女は俺の言葉に、恐る恐るといった感じに固く閉じていた目を開ける。
そして周囲の状況を確認してから、気が抜けたのかへたり込む様にその場で尻もちをついた。
冗談抜きで、何でこんな場所に来たんだ?
この娘は?
「あの……助けて貰ったみたいで、ありがとうございます」
少女が俺に頭を下げる。
「ああ、気にしなくていいさ」
パパッと確認すると、カルマ値はマイナス676にまで下がっていた。
山賊団五つ分の成果である。
ピンチになっててくれてありがとうと、寧ろこちらが言いたいくらいだ。
「所で……何か訳アリっぽいけど、なんでここに?」
真面に戦えもしないのに、街から離れた魔物のでる場所にやって来るなどありえない。
何らかの事情があると考えるのが自然だ。
「実は……おねぇちゃんが病気になって。それで、この沼地にケテル草が生えてるって聞いてやって来たんです。でも、私蛇が苦手でパニックになっちゃって……」
「成程」
ケテル草はこの沼地でとれる薬草で、エリクサーなんかの材料になる物だ。
此処でとれる超レア扱いの薬草程ではないが、希少性はかなり高い。
わざわざ蛇の苦手な彼女が自分で取りに来たって事は、きっとお姉さんは緊急性のある病気なんだろう。
「ふむ……」
彼女が一人なのは、大蛇のせいだろう。
命懸けのチャレンジャーでもなきゃ、此処に近づきたがる奴はいないからな。
「なら、俺が手伝うよ。目を瞑って戦う君一人じゃ危ないからな」
どうせ大蛇退治のためにこの辺りをうろつくのだ。
それなら彼女の手助けもして、更にカルマ値を稼いだ方がお得だ。
「え!?い、良いんですか?助けて貰った上に、そこまでして貰って……」
「ああ。困った時はお互い様って言うだろ」
俺はにっこりと笑顔でそう言う。
彼女は薬草を手に入れて、此方はカルマ値を手に入れる。
正にウィンウィンだ。
「ありがとうございます!!」
へたり込んでいた少女が跳ねる様に立ち上がり、俺に深く頭を下げた。
「私、メエラ・ドワブーンって言います、よろしくお願いします」
「……」
ドワブーン。
それは聞いた事のある名字だった。
主人公の仲間。
狂戦士の女ドワーフが、その名字だ。
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