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第91話 ゲットだぜ
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「正気ですか!?」
ランクアップの事をカッパーに伝えると、その顔が物凄い形相に代わる。
「ああ。厄介事が起きるかもしれないから、ジャガリック達三人はメガ精霊になってくれるみたいだ」
「私は御免ですよ!ええ!真っ平御免です!!だいたい、私にはフェンリルの世話って重要な役割もありますからね!」
予想通りの反応。
まあ正直、他の三人がランクアップしてくれるのなら、彼女はそのままでも良い気はする。
が――
【カッパーをメガ精霊にランクアップさせろ!】
限定で狙い撃ちしたかのようなクエストが出てるんだよなぁ――話が上がって来た時点で出て来た訳だが、他の精霊のランクアップ関連のクエストは何故かなかった。
しかもその報酬は30万ポイントと、超破格と来てる。
因みに、精霊全員をランクアップさせる場合の支出は――
Cのマイナスからプラスにするための8千ポイント×2に、Bマイナスランクに上げる為の1万6千ポイント。
そこに壁を超える為の5万も合わせて、一人頭8万2千ポイントとなる。
ランクアップさせるのは4人なので、それにかける4した数字。
約33万ポイントが総額となっている。
カッパー抜きなら支出は25万程になる訳だが……彼女をランクアップさせるとあら不思議!
なんとマイナスがたったの差3万ポイントで済んでしまう!
これはもう、何としてもランクアップさせるしかないよな?
「まあ無理強いはする気はない。けどいいのか?」
「何がですか?」
「ランクアップが終わったら、カッパーは他の皆に敬語を使わないといけなくなるからだ」
「はぁ?なんでカッパーが敬語を使わないといけないんですか?」
カッパーが俺の言葉に首を捻る。
「よく考えて見ろ。ジャガリック達はメガ精霊になる。たかだか大精霊如きが、偉大なるメガ精霊様に溜口きくなんて許されると思うか?」
敬語が嫌ならお前もランクアップしろ。
という筋書きで進めてみる。
こいつ怠け者の癖に結構プライドが高いからな。
特大精霊の時も置いて行かれるのが嫌って理由でランクアップしてるし。
「ふぉっふぉっふぉ。確かにそうですな。ましてやわしやポッポゥは、カッパーより年上。敬語を使うのは当然とも言えますな」
タニヤンが援護射撃してくる。
「ぬぬぬぬ……たった一つ差で偉そうに。だいたい強かったら偉いんですか!そんな脳筋思考は野蛮ですよ!暴力反対!時代は対話の時代へ!暴力に屈するぐらいならカッパーは屈辱の敬語を受け入れます!」
カッパー暴力反対と意味不明な言葉を叫び、最後にはが開き直って敬語を受け入れる宣言をしてしまう。
どうやら失敗の様だ。
思ったより手ごわい。
……まあ一月も激痛が続くと分かってるんだから、そりゃ必死で抵抗するよな。
カッパーは諦めるしかないか。
そう俺が考えた時、ジャガリックからの援護射撃が入った。
「敬語云々は兎も角、フェンリルはどうするんです?カッパー」
「フェンリルがどうしたって言うんですか?」
「ぷぎゃ?」
急に自分の名前を出され、カッパーの頭の上に乗っていたフェンリルが首を捻った。
フェンリルはこの冬でかなり成長しており、今や象ぐらいのサイズにまでなっている。
え?
そんなフェンリルを頭にのせられるとか、カッパーはどんだけデカいんだ?
ああ違う違う。
フェンリルは今、縮んで子犬サイズになっているだけだ。
しかもサイズに合わせて体重も減るとかいう、謎の仕様で。
まあドラゴンの不思議御パワーって奴だ。
「魔物は弱者には従いませんよ。今はまだ我々の方が力が強いからなついていますが、それが逆転したら……完全に舐められますよ?」
「何を言うのかと思えば。フェンリルと私の絆は強固な物です。そんな事ぐらいでフェンリルは私の事を見下したりしません!」
「貴方は少し、野生という物を甘く見過ぎですね。魔物にとって強さとは、至高の物差しです。確かに絆自体が消える事はありませんが、実力が逆転すればその関係は入れ代わりますよ。今はあなたが母親的立ち位置ですが、将来、貴方が妹分的なポジションになる事でしょう。これは断言してもいい」
精霊は嘘をつかない。
なので、力関係次第で主従関係が逆転すると言うのはきっと本当なのだろう。
その割に、フェンリルはくそ弱い俺になついて甘えてきてる訳だが……まあ、これはまだ子供だからと考えれば、それほど不思議でもないか。
「ぐぬぬぬぬ……」
「カッパー。言っておくけど、お前が飼い主でしっかり面倒を見るって前提でフェンリルを飼ってるんだぞ。力関係が逆転してきちんと管理できないなら、フェンリルはこの領から出て行って貰う事になるぞ。そうなったら……まあどこかで討伐されてしまうかもな」
管理できないなら出て行って貰うしかないし。
出て行って貰うのなら、死の森やこのスパム領以外のどこかだ。
デカいドラゴンが闊歩してるとなると、領の統治に確実に支障が出るからな。
そして他所に行けば、フェンリルは間違いなく討伐対象になる。
最強クラスの魔物がふらふらしてたら、住み着かれた近隣の住民は生きた心地がしないだろうし。
そりゃ討伐されるに決まってる。
そしていくらドラゴンが強くても、所詮は単体だ。
本格気に討伐隊が組まれたら、そうそう簡単に生き延びることは出来ないだろう。
「フェンリルを放り出すなんてなんて無責任な!」
「そのフェンリルを管理するための責任を、一番の責任者であるお前が放棄するんだから仕方ないだろ?出来ないじゃなくて、お前は出来る様になるチャンスを自ら放棄してるんだ。俺を責めるのはお門違いってもんだ」
まあ、フェンリルは他のメガ精霊になった三人に管理して貰えばいいだけなので、仮にカッパーが最後まで首を縦に振らなくても放逐するつもりはないけどな。
俺もそこまで無責任じゃないぞ。
あと……ドラゴンなんか放逐したのが周りにばれたら責任問題にもなるし。
「カッパーよ。大事な物を守るためには、時には痛みに耐える覚悟がなくてはならん。わしらがエドワード殿のためにそれを覚悟したようにな」
「そもそも、メガ精霊に進化する事は我々にとってもいい事尽くめだ。カッパー、精霊として共に試練を乗り越えましょう」
「気合だ!気合さえあれば苦痛など遅るるに足らず!」
「ぐむむむむ……はぁ……仕方ありませんね。分かりました!カッパーも水の特大精霊!覚悟を決めて試練に挑みましょう!」
他の精霊に声をかけられ、やっと観念したのかカッパーが白旗を上げる。
とりあえずこれで――
30万ポイントゲットだぜ!
ランクアップの事をカッパーに伝えると、その顔が物凄い形相に代わる。
「ああ。厄介事が起きるかもしれないから、ジャガリック達三人はメガ精霊になってくれるみたいだ」
「私は御免ですよ!ええ!真っ平御免です!!だいたい、私にはフェンリルの世話って重要な役割もありますからね!」
予想通りの反応。
まあ正直、他の三人がランクアップしてくれるのなら、彼女はそのままでも良い気はする。
が――
【カッパーをメガ精霊にランクアップさせろ!】
限定で狙い撃ちしたかのようなクエストが出てるんだよなぁ――話が上がって来た時点で出て来た訳だが、他の精霊のランクアップ関連のクエストは何故かなかった。
しかもその報酬は30万ポイントと、超破格と来てる。
因みに、精霊全員をランクアップさせる場合の支出は――
Cのマイナスからプラスにするための8千ポイント×2に、Bマイナスランクに上げる為の1万6千ポイント。
そこに壁を超える為の5万も合わせて、一人頭8万2千ポイントとなる。
ランクアップさせるのは4人なので、それにかける4した数字。
約33万ポイントが総額となっている。
カッパー抜きなら支出は25万程になる訳だが……彼女をランクアップさせるとあら不思議!
なんとマイナスがたったの差3万ポイントで済んでしまう!
これはもう、何としてもランクアップさせるしかないよな?
「まあ無理強いはする気はない。けどいいのか?」
「何がですか?」
「ランクアップが終わったら、カッパーは他の皆に敬語を使わないといけなくなるからだ」
「はぁ?なんでカッパーが敬語を使わないといけないんですか?」
カッパーが俺の言葉に首を捻る。
「よく考えて見ろ。ジャガリック達はメガ精霊になる。たかだか大精霊如きが、偉大なるメガ精霊様に溜口きくなんて許されると思うか?」
敬語が嫌ならお前もランクアップしろ。
という筋書きで進めてみる。
こいつ怠け者の癖に結構プライドが高いからな。
特大精霊の時も置いて行かれるのが嫌って理由でランクアップしてるし。
「ふぉっふぉっふぉ。確かにそうですな。ましてやわしやポッポゥは、カッパーより年上。敬語を使うのは当然とも言えますな」
タニヤンが援護射撃してくる。
「ぬぬぬぬ……たった一つ差で偉そうに。だいたい強かったら偉いんですか!そんな脳筋思考は野蛮ですよ!暴力反対!時代は対話の時代へ!暴力に屈するぐらいならカッパーは屈辱の敬語を受け入れます!」
カッパー暴力反対と意味不明な言葉を叫び、最後にはが開き直って敬語を受け入れる宣言をしてしまう。
どうやら失敗の様だ。
思ったより手ごわい。
……まあ一月も激痛が続くと分かってるんだから、そりゃ必死で抵抗するよな。
カッパーは諦めるしかないか。
そう俺が考えた時、ジャガリックからの援護射撃が入った。
「敬語云々は兎も角、フェンリルはどうするんです?カッパー」
「フェンリルがどうしたって言うんですか?」
「ぷぎゃ?」
急に自分の名前を出され、カッパーの頭の上に乗っていたフェンリルが首を捻った。
フェンリルはこの冬でかなり成長しており、今や象ぐらいのサイズにまでなっている。
え?
そんなフェンリルを頭にのせられるとか、カッパーはどんだけデカいんだ?
ああ違う違う。
フェンリルは今、縮んで子犬サイズになっているだけだ。
しかもサイズに合わせて体重も減るとかいう、謎の仕様で。
まあドラゴンの不思議御パワーって奴だ。
「魔物は弱者には従いませんよ。今はまだ我々の方が力が強いからなついていますが、それが逆転したら……完全に舐められますよ?」
「何を言うのかと思えば。フェンリルと私の絆は強固な物です。そんな事ぐらいでフェンリルは私の事を見下したりしません!」
「貴方は少し、野生という物を甘く見過ぎですね。魔物にとって強さとは、至高の物差しです。確かに絆自体が消える事はありませんが、実力が逆転すればその関係は入れ代わりますよ。今はあなたが母親的立ち位置ですが、将来、貴方が妹分的なポジションになる事でしょう。これは断言してもいい」
精霊は嘘をつかない。
なので、力関係次第で主従関係が逆転すると言うのはきっと本当なのだろう。
その割に、フェンリルはくそ弱い俺になついて甘えてきてる訳だが……まあ、これはまだ子供だからと考えれば、それほど不思議でもないか。
「ぐぬぬぬぬ……」
「カッパー。言っておくけど、お前が飼い主でしっかり面倒を見るって前提でフェンリルを飼ってるんだぞ。力関係が逆転してきちんと管理できないなら、フェンリルはこの領から出て行って貰う事になるぞ。そうなったら……まあどこかで討伐されてしまうかもな」
管理できないなら出て行って貰うしかないし。
出て行って貰うのなら、死の森やこのスパム領以外のどこかだ。
デカいドラゴンが闊歩してるとなると、領の統治に確実に支障が出るからな。
そして他所に行けば、フェンリルは間違いなく討伐対象になる。
最強クラスの魔物がふらふらしてたら、住み着かれた近隣の住民は生きた心地がしないだろうし。
そりゃ討伐されるに決まってる。
そしていくらドラゴンが強くても、所詮は単体だ。
本格気に討伐隊が組まれたら、そうそう簡単に生き延びることは出来ないだろう。
「フェンリルを放り出すなんてなんて無責任な!」
「そのフェンリルを管理するための責任を、一番の責任者であるお前が放棄するんだから仕方ないだろ?出来ないじゃなくて、お前は出来る様になるチャンスを自ら放棄してるんだ。俺を責めるのはお門違いってもんだ」
まあ、フェンリルは他のメガ精霊になった三人に管理して貰えばいいだけなので、仮にカッパーが最後まで首を縦に振らなくても放逐するつもりはないけどな。
俺もそこまで無責任じゃないぞ。
あと……ドラゴンなんか放逐したのが周りにばれたら責任問題にもなるし。
「カッパーよ。大事な物を守るためには、時には痛みに耐える覚悟がなくてはならん。わしらがエドワード殿のためにそれを覚悟したようにな」
「そもそも、メガ精霊に進化する事は我々にとってもいい事尽くめだ。カッパー、精霊として共に試練を乗り越えましょう」
「気合だ!気合さえあれば苦痛など遅るるに足らず!」
「ぐむむむむ……はぁ……仕方ありませんね。分かりました!カッパーも水の特大精霊!覚悟を決めて試練に挑みましょう!」
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