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第38話 ダッシュ
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ダンジョンと呼ばれる物には2つのタイプがある。
一つは天然の洞窟に魔物が住み着いたタイプだ。
このタイプは住み着いている魔物を殲滅すれば、当然そこから魔物はいなくなってしまう。
また、トラップなどが仕掛けられている事もない。
天然なのだから当然と言えば当然だ。
もう一つは、古代文明が遺したとされる遺跡類である。
このタイプのダンジョンは魔物が無制限に召喚され、倒しても倒しても枯れる事はない。
更に所々にトラップなども仕掛けられており、難易度は此方の方遥かに高かった。
「しかし、考えると意味不明だよな」
目の前には、巨大なダンジョンへの入り口が口を開いている。
複数ある入り口の一つで、俺達はここから内部へと侵入する予定だ。
「何がです?」
「仕様……っていうか、その在り方だよ」
パズンのダンジョンは遺跡タイプだ。
魔物はどれだけ狩っても尽きる事はなく、内部には魔法タイプのトラップ――発動しても時間が経つと何度も復活する――が仕掛けられている。
「あり方?」
「いや、このダンジョン。奥に進めば進むほど魔物が強くなるんだよな?」
「そう聞いてます」
遺跡に人為的に魔物を召喚するシステム。
その理由を単純に考えた場合、パッと思いつくのは侵入防止だ。
だがこのダンジョンは入り口付近の魔物は弱く、先に進めば進むほど強い魔物が出て来る様になっている。
もし本当に侵入を防ぐつもりなら、区画ごとに魔物の強さを変える意味はない筈だ。
まあ弱い魔物で安心させ、内部に入り込んで来た所で強い魔物で始末すると言う線も考えられなくもないが……
これほど巨大な遺跡を作った古代文明の奴らが、果たしてそんな回りくどい事をするだろうか?
「考えても仕方がないだろう。俺達の目的は素材と経験値だ。どんな意図があるにせよ、それを行えばいい」
「ま、そりゃそうか」
タロイモの言う通りではある。
あくまでも俺達の目的は経験値と、強力な魔物からとれる高級素材だ。
別にダンジョンの謎を解き明かすためにやって来たのではない。
因みに、このダンジョンはソアラもクリア出来ていない。
まあ正確には、途中で放棄する羽目になったと言うのが正しいか。
魔族との戦争が、彼女がここを攻略している最中に始まってしまったからだ。
「ソアラ……攻略は俺が引き継ぐよ」
勇者である彼女がやり残した事。
それを果たすのも、相棒である俺の役割だから。
「師匠……」
「よし!取り敢えず駆け抜けるか」
弱い魔物に用はない。
基本的にこの世界では、倒した魔物が弱すぎると経験値がほとんど入らない様になっている。
そのため、ひたすら弱い雑魚を狩ってレベルを上げると言うのは成立しない。
つまり、相手にするだけ時間の無駄という事だ。
「雑魚はすべて無視するぞ」
「はい!」
「わかった」
「ちゃんとついて来いよ!」
俺はダンジョンに飛び込む様に、勢いよく突っ込んだ。
ここから深層まで駆け足だ。
そこに至るまでの道順は頭にちゃんと叩き込んである。
――中は光源も特にないのに、ほんのりと薄明るい。
そうそう、これも遺跡型ダンジョンの特徴だ。
天然の方は当然内部は真っ暗だが、此方はダンジョン全体が発光して視界が確保されている。
「ちょっと失礼するよ」
途中冒険者のパーティーと遭遇するが、軽く一声かけて止まる事無くそのまま横を通り抜けた。
結構な速度で駆け抜けたのでちょっと驚かしてしまったかもしれないが、まあ彼らも冒険者ならこの程度では動じないだろう。
「ここからが中層だな」
30分程走った所でダンジョン内の分囲気が変わった。
黒っぽかったかった足元や壁面が、赤茶けた物になる。
ここからは浅瀬に比べ、魔物の強さがグンと上がるっぽい。
最低でもレベル40以上のパーティーが望ましいと、ギルドで買った情報には書いてあった。
まあ要は上位職以上が適正って事だ。
更にここからはトラップも出て来る。
が、俺にはスキルの察知があるのでそこは全く問題ない。
「まあ深層まではダッシュでいいか」
イモ兄妹のレベルは60中盤。
俺は70。
適正レベルを考えると、魔物を狩ってもたいした経験値にはならないだろう。
素材は微妙に欲しい気もするが、まあこの辺りで取れる様な物は他の冒険者が手に入れている筈なので、必要なら後で買えばいい。
「あ!この魔物初めて見ます!」
途中、広い空間に差し掛かる。
その中央には巨大な赤い池があり、その脇を通り抜け様とすると、人型の魔物が飛び出して来た――まあ察知で潜んでいるのには当然気づいていたが。
相手は二足歩行の爬虫類。
その手には槍が握られている。
所謂、リザードマンという奴だ。
知能と戦闘力が高く、数で群れて来るので要注意とギルドから買った地図には書かれていたが、俺達にとっては何の障害にもならない。
次々と現れ、此方に向かって口から変な液体を飛ばして来るが全て躱して突き進む。
かなり数が多いので、一応チラッとイモ兄妹の方を確認する。
ベニイモは全て躱し、タロイモの方は面倒くさそうに手に嵌めてある盾で防ぎつつ付いて来ていた。
うん、問題ないな。
まあここで躓く程度なら、アイスドラゴンは倒せていないだろう。
なんだかんだ言って、ドラゴン系は糞強いからな。
魔物をガン無視しつつ、そこから2時間ほど走って深層の入り口部分へとたどり着く。
そこから先はダンジョンの壁面が赤茶から青へと変化している。
色で区画分けされているので、凄く分かりやすい。
「さて、流石にここから魔物を狩りつつある程度慎重にいこう」
ギルドで買えた情報はここまでだ。
ここから先は手探り状態で進んで行かなければならない。
「よーし、レベルをあげるぞぉ!師匠!ジャンジャン魔物を狩って行きましょう!」
「鋼の剣はそんなに頑丈じゃないから、あんまり無茶な使い方はするなよ」
エブスに盗まれたアイスソードは回収していない。
そんな事をしたら、俺達が誘拐犯だと宣言する様な物だからな。
だから彼女達には、少し前につくった鋼の剣を渡しておいた。
材質としては今一だが、優秀なオプションが付いたので残しておいたものだ。
「だってさ。兄さん気を付けてね」
「どう考えても、無茶な使い方をするのはお前の方だろうが」
兄妹のやり取りには緊張感の欠片もない。
ここからの魔物は、中層よりも更にレベルが上がる。
流石に油断していい相手ではないので、余り気が緩みすぎるのも問題だ。
だがまあ……この二人なら大丈夫か。
何だかんだで優秀だからな。
最悪俺がフォローしてやればいいだろう。
「じゃあ行こうか」
さあ、ここからが本当のダンジョン探索だ。
一つは天然の洞窟に魔物が住み着いたタイプだ。
このタイプは住み着いている魔物を殲滅すれば、当然そこから魔物はいなくなってしまう。
また、トラップなどが仕掛けられている事もない。
天然なのだから当然と言えば当然だ。
もう一つは、古代文明が遺したとされる遺跡類である。
このタイプのダンジョンは魔物が無制限に召喚され、倒しても倒しても枯れる事はない。
更に所々にトラップなども仕掛けられており、難易度は此方の方遥かに高かった。
「しかし、考えると意味不明だよな」
目の前には、巨大なダンジョンへの入り口が口を開いている。
複数ある入り口の一つで、俺達はここから内部へと侵入する予定だ。
「何がです?」
「仕様……っていうか、その在り方だよ」
パズンのダンジョンは遺跡タイプだ。
魔物はどれだけ狩っても尽きる事はなく、内部には魔法タイプのトラップ――発動しても時間が経つと何度も復活する――が仕掛けられている。
「あり方?」
「いや、このダンジョン。奥に進めば進むほど魔物が強くなるんだよな?」
「そう聞いてます」
遺跡に人為的に魔物を召喚するシステム。
その理由を単純に考えた場合、パッと思いつくのは侵入防止だ。
だがこのダンジョンは入り口付近の魔物は弱く、先に進めば進むほど強い魔物が出て来る様になっている。
もし本当に侵入を防ぐつもりなら、区画ごとに魔物の強さを変える意味はない筈だ。
まあ弱い魔物で安心させ、内部に入り込んで来た所で強い魔物で始末すると言う線も考えられなくもないが……
これほど巨大な遺跡を作った古代文明の奴らが、果たしてそんな回りくどい事をするだろうか?
「考えても仕方がないだろう。俺達の目的は素材と経験値だ。どんな意図があるにせよ、それを行えばいい」
「ま、そりゃそうか」
タロイモの言う通りではある。
あくまでも俺達の目的は経験値と、強力な魔物からとれる高級素材だ。
別にダンジョンの謎を解き明かすためにやって来たのではない。
因みに、このダンジョンはソアラもクリア出来ていない。
まあ正確には、途中で放棄する羽目になったと言うのが正しいか。
魔族との戦争が、彼女がここを攻略している最中に始まってしまったからだ。
「ソアラ……攻略は俺が引き継ぐよ」
勇者である彼女がやり残した事。
それを果たすのも、相棒である俺の役割だから。
「師匠……」
「よし!取り敢えず駆け抜けるか」
弱い魔物に用はない。
基本的にこの世界では、倒した魔物が弱すぎると経験値がほとんど入らない様になっている。
そのため、ひたすら弱い雑魚を狩ってレベルを上げると言うのは成立しない。
つまり、相手にするだけ時間の無駄という事だ。
「雑魚はすべて無視するぞ」
「はい!」
「わかった」
「ちゃんとついて来いよ!」
俺はダンジョンに飛び込む様に、勢いよく突っ込んだ。
ここから深層まで駆け足だ。
そこに至るまでの道順は頭にちゃんと叩き込んである。
――中は光源も特にないのに、ほんのりと薄明るい。
そうそう、これも遺跡型ダンジョンの特徴だ。
天然の方は当然内部は真っ暗だが、此方はダンジョン全体が発光して視界が確保されている。
「ちょっと失礼するよ」
途中冒険者のパーティーと遭遇するが、軽く一声かけて止まる事無くそのまま横を通り抜けた。
結構な速度で駆け抜けたのでちょっと驚かしてしまったかもしれないが、まあ彼らも冒険者ならこの程度では動じないだろう。
「ここからが中層だな」
30分程走った所でダンジョン内の分囲気が変わった。
黒っぽかったかった足元や壁面が、赤茶けた物になる。
ここからは浅瀬に比べ、魔物の強さがグンと上がるっぽい。
最低でもレベル40以上のパーティーが望ましいと、ギルドで買った情報には書いてあった。
まあ要は上位職以上が適正って事だ。
更にここからはトラップも出て来る。
が、俺にはスキルの察知があるのでそこは全く問題ない。
「まあ深層まではダッシュでいいか」
イモ兄妹のレベルは60中盤。
俺は70。
適正レベルを考えると、魔物を狩ってもたいした経験値にはならないだろう。
素材は微妙に欲しい気もするが、まあこの辺りで取れる様な物は他の冒険者が手に入れている筈なので、必要なら後で買えばいい。
「あ!この魔物初めて見ます!」
途中、広い空間に差し掛かる。
その中央には巨大な赤い池があり、その脇を通り抜け様とすると、人型の魔物が飛び出して来た――まあ察知で潜んでいるのには当然気づいていたが。
相手は二足歩行の爬虫類。
その手には槍が握られている。
所謂、リザードマンという奴だ。
知能と戦闘力が高く、数で群れて来るので要注意とギルドから買った地図には書かれていたが、俺達にとっては何の障害にもならない。
次々と現れ、此方に向かって口から変な液体を飛ばして来るが全て躱して突き進む。
かなり数が多いので、一応チラッとイモ兄妹の方を確認する。
ベニイモは全て躱し、タロイモの方は面倒くさそうに手に嵌めてある盾で防ぎつつ付いて来ていた。
うん、問題ないな。
まあここで躓く程度なら、アイスドラゴンは倒せていないだろう。
なんだかんだ言って、ドラゴン系は糞強いからな。
魔物をガン無視しつつ、そこから2時間ほど走って深層の入り口部分へとたどり着く。
そこから先はダンジョンの壁面が赤茶から青へと変化している。
色で区画分けされているので、凄く分かりやすい。
「さて、流石にここから魔物を狩りつつある程度慎重にいこう」
ギルドで買えた情報はここまでだ。
ここから先は手探り状態で進んで行かなければならない。
「よーし、レベルをあげるぞぉ!師匠!ジャンジャン魔物を狩って行きましょう!」
「鋼の剣はそんなに頑丈じゃないから、あんまり無茶な使い方はするなよ」
エブスに盗まれたアイスソードは回収していない。
そんな事をしたら、俺達が誘拐犯だと宣言する様な物だからな。
だから彼女達には、少し前につくった鋼の剣を渡しておいた。
材質としては今一だが、優秀なオプションが付いたので残しておいたものだ。
「だってさ。兄さん気を付けてね」
「どう考えても、無茶な使い方をするのはお前の方だろうが」
兄妹のやり取りには緊張感の欠片もない。
ここからの魔物は、中層よりも更にレベルが上がる。
流石に油断していい相手ではないので、余り気が緩みすぎるのも問題だ。
だがまあ……この二人なら大丈夫か。
何だかんだで優秀だからな。
最悪俺がフォローしてやればいいだろう。
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