ブラック労働死した俺は転生先でスローライフを望む~だが幼馴染の勇者が転生チートを見抜いてしまう。え?一緒に魔王を倒そう?マジ勘弁してくれ~黒

榊与一

文字の大きさ
22 / 68

第22話 武器オプション

しおりを挟む
ブラックスミスのスキルである武具製作の最大の利点は、製作した装備にオプションが付く事だった。

通常、職人が鉄の剣を作ってもそれは只の剣にしかならない。
どれ程の技巧を凝らして優れた物を作ったとしても、それはどこまで行っても只の鉄の剣だ。
だが武具製作スキルを習得した者が剣を作れば、例えそれが駄作であったとしても、一定確率で切れ味の向上や耐久力アップ等の特殊効果が付加される。

まあ武具製作のスキルには、製作技術向上のマスタリー的効果もあるので、どうしようもないダメな物を作る心配自体はないが。
一応短期間とは言え、俺は鍛冶の修練も収めてるしな。

「綺麗……」

透き通るような青い剣の刀身を見て、ベニイモが呟く。
何だかんだで彼女も女の子なので、綺麗な物が好きな様だ。

「命名するなら、アイスソードって所か」

アイスドラゴンの逆鱗で作った剣は、魔力や気力を込めると冷気が纏う効果を持っている。
ベニイモが持っている炎の剣と真逆の性質の武器だ。

ただし、これは製作によって付加された効果ではない。
素材が元々持つ特殊な性質だ。
オプションはこれとは別にある。

「ついたオプションは、攻撃スキルのスラッシュだな」

スラッシュは攻撃の威力が1,5倍になる、戦士のスキルだ。

武器に付いた攻撃スキルは、気力を消費せず使えるというメリットがある。
また通常のスキル同様ディレイは存在するが、習得した物とは別扱いなので、同じスキルを2連打する事も可能だった。
なので、攻撃スキル系は全般的に優秀と言えるだろう。

とは言え――

「まあ外れじゃないけど、当たりとも言い難い」

「何言ってるんですか!?装備に攻撃スキルが付くなんて凄すぎますよ!!」

「スキルって言っても、下位クラスだからなぁ。出来れば最上級以上のスキルが欲しい所だ」

ベニイモのクラス、武王の渾身の一撃なら瞬間的に5倍の破壊力が出せる。
まあその分待機時間クールタイムが糞長いので連発は絶望的だが、それでも強烈な一撃の威力は魅力的だ。

理想で言うなら、勇者最強のスキルであるギガストライクなんだが……

残念ながら、勇者の攻撃スキルはオプションで付与する事が出来ない。
まあ伝説級はダメって事だ。

「オプションを自由に選べれば最高なんだがな」

付与される効果は基本ランダムだ。
求める水準の物を得ようとしたら、相当数の武具を製作する事になるだろう。
気の遠くなる話である。

まあだがこれでも、通常のブラックスミスに比べればましな方ではあるが……

何故なら、オプションの付与される確率はステータス依存だからだ。
製作系のスキルを取れる以外、ブラックスミスは市民と同等のステータス補正しかない。
そのため、製作時の付与率は30%も行けばいい方だった。

それに比べてスキルマスターである俺は、大量のスキルでステータスを盛る事が出来ている。
お陰で付与率は100%に達していた。

「まあこれはベニイモにやるよ」

「えっ!いいんですか!?」

「ああ、俺は使わねーから」

大量に物を詰める袋があるとは言え、戦闘中にその出し入れは難しい。
そのため、同時に扱えるのは腰に差して装備できる2-3本だけだ。
当然スラッシュ程度ではその候補には入らないので、この剣はベニイモに譲ってやる事にする。

「ありがとうございます!実はSPの都合で、私スラッシュはまだ取れてないんです。大事にしますね」

「ちょっと待ってろ。今オプションをもう一個つけるから」

「へ?もう一個……ですか?」

「ああ。ブラックスミスには、製作とは別にオプションを付ける武具錬成ってスキルがあるのさ」

例の大容量袋から、スキルの触媒となる物を取り出す。
それを台の上に置いた剣の上に置き、俺は手にした槌を叩きつけた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

処理中です...