最弱クラスと言われている死霊術師、前世記憶でサブサブクラスまで得て最強無敵になる~最強ネクロマンサーは全てを蹂躙する~

榊与一

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第2話 巣立ち

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卒業式終了後、帰り際にアイシスに声を掛けられる。

「ねえ、じつは姉さんにユーリの事を話したのよ。そしたら聖なる剣で面倒を見ても良いって言ってくれたんだ」

アイシスは卒業後、お姉さんが所属しているパーティーに入る予定だった。
聖なる剣という名で、Aランクに当たる高位の冒険者パーティーだ。

「ユーリも冒険者になるんだったらさ、私と一緒に姉さんのパーティーに入りましょ」

どうやら彼女は、俺の事を聖なる剣に入れられないかお姉さんに相談してくれていた様だ。
俺の事を心配してくれての行動なのだろうが、正直、そんな事をされても困るというのが本音だった。

「いや……それは有難いんだけどさ……」

「強さの事なら気にしなくていいよ。私だってまだまだだし、一緒に頑張ればいいんだからさ」

アイシスが一緒に頑張ろうというが、俺と彼女とじゃ話が全く違って来る。

確かに現状だと、アイシスも即戦力には程遠いだろう。
何せ、聖なる剣はAランクのパーティーだからな。
その平均レベルは、確実に100を超えている筈だ。

だがそれでも、彼女には素質がある。
武僧は戦闘と回復のこなせる強クラスで、怠けたりさえしなければ、いずれアイシスはパーティーの中核を担う人物へと上り詰める事だろう。

けど、俺は違う。

確かに死ぬ気で努力すれば、最低限戦えるレベル位にはなるだろう。
だが所詮、それは最低限でしかない。
どれだけ努力したとしても、他の戦闘クラスには到底及ばないのだ。

しかも俺の場合、その最低限戦えるレベルに達するだけでも相当な時間がかかってしまうと来ている。
何せ、サブクラスが取得できるレベル100まで上げないといけないからな。

そんな俺の状態を一言で言い表すのならば――

縁故採用のお荷物、だ。

まあ大型アップデートの恩恵を受けられるのならその限りでは無いんだが、それはまだ確認出来ていない。
それが分からない以上、寄生になるかもしれない勧誘に応じる訳には行かなかった。

取り敢えず、今俺が真っ先にするべき事は例のクエストの確認だ。

クエストで手に入る死霊術師の指輪。
その有無で、死霊術師がゴミかそうでないかが決まるからな。

「アイシス。気持ちは嬉しいんだけど……俺は自分でやれるだけやってみたいんだ。だから、ごめん」

「そっかそっか……うん、わかった。まあでも困ったら、いつでも私に声をかけてよ。同級生なんだしさ」

俺の返事に、アイシスが残念そうに項垂れる。
気遣いを無駄にするのは少し心苦しいが、まあ仕方ない事だ。
知り合いに寄生とか、最悪だしな。

「うん、ありがとう。困ったら相談するよ」

しかしあれだな。
アイシスといい、マクシムといい。
我ながら良い友人に恵まれた物だと、しみじみとそう思う。

「それじゃあ俺、帰るよ」

学校に通っている間は、アイシス達とほぼ毎日顔を合わせていた。
だが卒業してそれぞれ冒険者としてやっていく以上、これからはそう頻繁に顔を合わせる事も無くなるだろう。

それが少し寂しくもあるが……

まあ人生とはそう言う物だと割り切っておく。
これでも前世と合わせると、軽く30年以上生きてる訳だからな。

「うん、またね。ユーリ」

俺は学校を出て、孤児院へと向かう。

――この世界の俺は、親に捨てられた孤児だ。

生まれて直ぐに孤児院の前に捨てられていたそうで、それから15年間、孤児院でお世話になって来た。
だがそれも今日までだ。

15歳――成人した俺は、これから自分の力で生きていかなければならない。

成人すれば国からの補助も打ち切られるし、それ所か、逆に税金を納めなければならない立場になる。
働いて金を稼がないとな。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「ユーリ。卒業式終わったの?」

「ああ」

「じゃあ遊ぼ!」

「遊ぼ遊ぼ!」

孤児院に戻って来ると、遊んでいた子供達が寄って来た。
この子達も俺が残念クラスの死霊術師とは知っているが、偏見の目を向けてくる様な事は無い。
院長先生達がしっかりと言い聞かせてくれているお陰だ。

「ちょっとだけだぞ」

俺は子供達と少し遊んでから、院長室へと向かう。

「失礼します」

ノックして中に入ると、エルフの男女が執務机に腰かけていた。
孤児院――宿り木――を切り盛りしている、院長であるカインさんと、その奥さんであるマーサさん夫妻だ。

この世界では、亜人も普通に人間の社会に溶け込んでいる。
まあ中には亜人という事で絡んで来る様な輩もいる訳だが、基本的に差別などはないと言っていいだろう。

「卒業おめでとう。ユーリ」

「院長先生、それにマーサさん。今まで本当にありがとうございました」

感謝の気持ちを込めて、俺は2人に向かって頭を下げる。
俺にとって2人は育ての親だ。
小さい頃から本当に世話になって来た。

「ははは、大げさだな。ユーリは。所で……君は本当に冒険者になるつもりなのかい?」

「はい」

死霊術師は、冒険者にあまり向いていないと言っていいだろう。
戦闘系最弱職だからな。
だからと言って他の仕事に適性があるのかと言えば、そう言う訳でもない。

「普通に仕事しても、結局市民クラスの人には敵いませんし」

この世界には、市民というクラスが存在していた。
ゲームにはなかった職業で、人口の大半がこのクラスだと言われている。

ゲームやラノベなんかの基準なら、市民なんてクラスはきっとハズレ扱いになっていた事だろう。

だがこの世界では違っていた。
市民は仕事や日常生活といった行動全般に補正のあるスキルを初期から習得できるため、戦闘以外ではかなり汎用性の高い優秀なクラスとなっている。

そのため、普通の仕事を選んだ場合でも、死霊を使役するだけしか能がない死霊術師は残念ポジションとなってしまうのだ。

どうせ何をやっても微妙なら、1人で気ままにやれる冒険者になる。
それが、前世の記憶が無かった俺の出した結論だった。

ま、記憶が戻ってもその方向性は変わらないが。
ゲーム世界に来てまで、残念ポジになる普通の仕事なんかしたくないからな。

「なんなら、うちで働かないか?それ位なら――」

「いえ、お気持ちだけ頂いておきます」

国からの助成があるとは言え、孤児院なんてのは大抵資金に余裕のない物だ。
それはこの宿り木でも同じ事。
もし無理をして俺を雇えば、その分の皺寄せが孤児院にかかってしまう事になる。
だからその申し出は受けられない。

「遠慮しなくてもいいのよ?」

「大丈夫、何とかやっていきますよ」

心配そうにする二人に、俺は笑顔でそう返した。

記憶が戻る前なら、強がりになっていただろう。
だが今は違う。

前世の記憶が蘇みがえったお陰で、何とかなる算段が立っている。
仮にアップデート部分がなかったとしても、ゲーム知識がある程度通用してくれるのなら、きっとどうにでもなる筈だ。

「わかった。だがこれだけは覚えておいてくれ。ユーリ、君は私達にとってかけがえのない家族だ。だからもし困った時は、遠慮なく相談して欲しい」

「ありがとうございます」

2人に再度礼を言い、俺は15年間過ごした自分の部屋へと向かう。
まだ暫くは使っても問題ないと言われてはいるが――国の補助を受けている場所なので、住み着くのはNG――明日には出て行くつもりだ。

イベントの確認のためには、此処からかなり西に離れた所にある死霊の森へと移動しなければならないからな。

俺は翌日、院長先生達や孤児院の皆に挨拶して西行の乗り合い馬車に乗り込んだ。
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