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第二章 希望を求めて
第七十四話 状態異常完全耐性
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「ぐおおおおおおぉぉぉぉ!!」
暗闇の中、ヴラドの苦しむ雄叫びが響き渡る。
今の奴は本来の姿。
老人の姿に戻り、その全身から煙のを上げ藻掻き苦しんでいる。
「貴様!貴様一体私に何をしたぁ!!」
ヴラドが俺に吠える。
顔を押さえる手から覗く目は、憎しみに澱んでいた。
「融合しただけだ。但し、今の俺には彩音の力が宿ってるけどな」
「彩堂……彩音の力だと…ぅぅ……」
そう、俺が彩音から受け継いだ力だ。
状態異常完全耐性。
全ての状態異常を無効化するスキル。
リンの体を眷属に変え、それを乗っ取ったヴラド。
それは外部から侵入してきた、いわば呪いの様な物。
俺はそう考え、リンと融合したのだ。
そしてその予想は見事に的中する。
「彩音の状態異常完全耐性は、呪いも無効化する。お前は彩音の力で消えるんだよ」
邪悪には通用しなかったこのスキルだが。
ヴラド程度に、これを突破する力はないだろう。
「あの女……あの女がぁぁあぁぁぁぁ!!!」
ヴラドは最後の力を振り絞り俺に襲い掛かろうとするが、伸ばした手が砕け散り灰となる。
やがて奴の全身に亀裂が走り、灰となって消えていく。
残ったのは、奴の中から現れたリンだけ。
だがその体はボロボロで、今にも崩れ去ってしまいそうだ。
「たかしさん……私……」
俺は彼女をゆっくりと引き寄せ、強く抱きしめた。
そして自らの命のを彼女へと注ぎ込む。
「たかしさん!?」
リンが驚いた様に顔を上げる。
「いっただろ、絶対助けるって」
リンの命は消えかかっていた。
いや、正確にはもうとっくの昔に終わっていたのだ。
ヴラドの呪いで無理やり維持していたに過ぎない。
そしてヴラドが消滅した今、リンもまた消滅する運命にあった。
「止めてください!そんな事をしたらたかしさんが!」
俺の体は消滅しかっている。
だからヴラドに腹を貫かれても痛みを感じなかった。
要は人形へと戻りかかっているという事だ。
所詮は元人形。
大きすぎる力を得た反動に喰らい過ぎたダメージ。
俺の肉体は限界を迎えていた。
だがまだ命の炎は残っている。
これを使えば、リンの命を繋ぎ止める事は出来るはず。
どうせ消える命だ。
有効活用するさ。
「気にするなリン。どうせ俺は長くない。それなら、お前の為に俺は命を使いたい。受け取ってくれ」
「そんな……たかしさん……私……」
「リン、今までありがとう」
思えば、出会ってからずっとリンとは一緒だった。
リンがいてくれたから――
お馬鹿で、天真爛漫な彼女がいつでも傍にいてくれたから――
俺はここまで来れた気がする。
「生きろよ――」
彩音のパクリみたいで嫌だが。
彼女には生きて幸せになって欲しい。
これが今の俺の正直な気持ちだ。
「たかしさん!!」
抱きしめていたリンの体がすり抜ける。
いや、すり抜けているのは俺の方か。
俺の体は透明になってかすれていく。
やがて全ての感覚は消え去り、俺は本来の人形へと戻る。
暗闇の中、ヴラドの苦しむ雄叫びが響き渡る。
今の奴は本来の姿。
老人の姿に戻り、その全身から煙のを上げ藻掻き苦しんでいる。
「貴様!貴様一体私に何をしたぁ!!」
ヴラドが俺に吠える。
顔を押さえる手から覗く目は、憎しみに澱んでいた。
「融合しただけだ。但し、今の俺には彩音の力が宿ってるけどな」
「彩堂……彩音の力だと…ぅぅ……」
そう、俺が彩音から受け継いだ力だ。
状態異常完全耐性。
全ての状態異常を無効化するスキル。
リンの体を眷属に変え、それを乗っ取ったヴラド。
それは外部から侵入してきた、いわば呪いの様な物。
俺はそう考え、リンと融合したのだ。
そしてその予想は見事に的中する。
「彩音の状態異常完全耐性は、呪いも無効化する。お前は彩音の力で消えるんだよ」
邪悪には通用しなかったこのスキルだが。
ヴラド程度に、これを突破する力はないだろう。
「あの女……あの女がぁぁあぁぁぁぁ!!!」
ヴラドは最後の力を振り絞り俺に襲い掛かろうとするが、伸ばした手が砕け散り灰となる。
やがて奴の全身に亀裂が走り、灰となって消えていく。
残ったのは、奴の中から現れたリンだけ。
だがその体はボロボロで、今にも崩れ去ってしまいそうだ。
「たかしさん……私……」
俺は彼女をゆっくりと引き寄せ、強く抱きしめた。
そして自らの命のを彼女へと注ぎ込む。
「たかしさん!?」
リンが驚いた様に顔を上げる。
「いっただろ、絶対助けるって」
リンの命は消えかかっていた。
いや、正確にはもうとっくの昔に終わっていたのだ。
ヴラドの呪いで無理やり維持していたに過ぎない。
そしてヴラドが消滅した今、リンもまた消滅する運命にあった。
「止めてください!そんな事をしたらたかしさんが!」
俺の体は消滅しかっている。
だからヴラドに腹を貫かれても痛みを感じなかった。
要は人形へと戻りかかっているという事だ。
所詮は元人形。
大きすぎる力を得た反動に喰らい過ぎたダメージ。
俺の肉体は限界を迎えていた。
だがまだ命の炎は残っている。
これを使えば、リンの命を繋ぎ止める事は出来るはず。
どうせ消える命だ。
有効活用するさ。
「気にするなリン。どうせ俺は長くない。それなら、お前の為に俺は命を使いたい。受け取ってくれ」
「そんな……たかしさん……私……」
「リン、今までありがとう」
思えば、出会ってからずっとリンとは一緒だった。
リンがいてくれたから――
お馬鹿で、天真爛漫な彼女がいつでも傍にいてくれたから――
俺はここまで来れた気がする。
「生きろよ――」
彩音のパクリみたいで嫌だが。
彼女には生きて幸せになって欲しい。
これが今の俺の正直な気持ちだ。
「たかしさん!!」
抱きしめていたリンの体がすり抜ける。
いや、すり抜けているのは俺の方か。
俺の体は透明になってかすれていく。
やがて全ての感覚は消え去り、俺は本来の人形へと戻る。
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