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王墓探索
第七十七話 合流
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「敵だ。たかし、仮契約を」
先頭を行くレインが素早く敵を察知し、戦闘準備を促す。
仮契約
一時的に仲間を召喚扱いにできるスキルだ。
召喚扱いになる仲間達には召喚用の回復魔法は勿論の事、召喚強化のスキルでの基礎強化も適応される。
流石にこの強化には支配者の指輪の効果は乗らないが、このスキル習得によってパーティーは大幅に強化されたと言えるだろう。
此方へと襲い掛かってくるサイクロプス。その数およそ十二匹。
レインはまるで舞を舞うかのような華麗な動きで、敵を次々と斬り伏せていく。
殲滅。
それも30秒とかからずに。
レイン一人の手で。
以前のレインならば、格下相手に強化を自ら求めたりはしなかっただろう。
ゴブリン達との戦いが、レインのそんな意識を変えたのだ。
30層でのゴブリンキング達との戦い……
レインはあの戦いを生き延びた。
流石レインと言いたいところだが、実際はゴブリン達が俺に逃げられた腹いせ辺りで、レインを殺さずいたぶってくれたお陰だ。
酷い目に遭わされて、お陰も何もあったものでは無いが。
結果的にそれがレインの命を救ったのも事実。
そう、レインは九死に一生を得た。
だがニカは助からなかった……
戦場となった場所から少し離れた所で、ニカは事切れていた。
背中に受けた大きな傷が原因だ。
ゴブリンは、遠く離れた仲間の血の臭いすら嗅ぎ分ける嗅覚を持つ。
恐らく、臭いや音で察知したゴブリンに襲われたのだろう。
姿を隠すだけでは不十分だったのだ。
ニカの亡骸を前に、パーは何度もすまないと謝罪を繰り返していた。
自分の判断ミスだと……
決して彼女だけの責ではない。
その事は彼女だって理解している。
だがそれでも
「確かに僕だけのせいだとは思わないよ。でも、僕がミスしたのは変えようのない事実だ。だから彼女を生き返らせて見せる。この天才錬金術師、パマソー・グレンの名に懸けて」
分厚い眼鏡のせいで、その瞳は伺えない。
だが口調やその雰囲気から、彼女の本気の気持ちが伝わってくる。
普段からふざけた態度の女性ではあったが、彼女にとっても仲間の死は重い罪業なのだろう。
普段の態度は相変わらずだが、明かに以前とは違う。
それが鈍感な俺にも感じ取れた。
そんな彼女の為、レインも必死なのだ。
これ以上彼女が余計な物を背負わずに済むよう。
その為、以前のように戦いを楽しむ事はせず、確実な戦いを選ぶようになった。
「見事だ」
レインの戦いぶりに、ティータが称賛の言葉を贈る。
「たかしやティーエの強化があればこそだ。本来の俺ではああはいかんさ」
「ふん。姉上は兎も角、たかしの強化など大したものでは無いだろう」
明らかに俺の仮契約の方が効果大きいんだがな。
どうやらティータは、俺の事は絶対に認めたくないらしい。
相変わらずの態度に辟易する。
レインも男だというのに、何故か俺だけが悪い虫扱いだ。
やはり好きな相手がいるというのが大きいのかもしれない。
俺は別にティーエさんに特別な感情など抱いていない。
それをきっちり伝えれば、奴の態度も少しはましになるのだろうか?
ま、無理か。
俺の話、絶対まともに聞かなさそうだし。
「ティータ!たかしさんに失礼ですよ」
ティーエさんが弟を叱りつける。
「う、申し訳ありません。姉上」
「私ではありませんよ」
「く……すまない……たかし」
ティーエさんに促され、ティータが嫌々謝罪してくる。
本当に。
びっくりするほど嫌々。
此処まで態度があからさまだと、もはや謝る意味無いんだが。
「たかしさん。弟の非礼、どうか許してあげてください」
「そんな、気にしてませんよ」
1秒でも早く踏破する為、アルバート兄妹には頭を下げて手伝って貰っている。
ティータの態度は確かに不快だが、こうやって王墓探索を手伝ってもらっている手前、我慢するしかないだろう。
命懸けの探索の対価が嫌味程度なら安いものだ。
とにかく今は1秒でも早く50層へたどり着く為、俺達は先を急ぐ。
先頭を行くレインが素早く敵を察知し、戦闘準備を促す。
仮契約
一時的に仲間を召喚扱いにできるスキルだ。
召喚扱いになる仲間達には召喚用の回復魔法は勿論の事、召喚強化のスキルでの基礎強化も適応される。
流石にこの強化には支配者の指輪の効果は乗らないが、このスキル習得によってパーティーは大幅に強化されたと言えるだろう。
此方へと襲い掛かってくるサイクロプス。その数およそ十二匹。
レインはまるで舞を舞うかのような華麗な動きで、敵を次々と斬り伏せていく。
殲滅。
それも30秒とかからずに。
レイン一人の手で。
以前のレインならば、格下相手に強化を自ら求めたりはしなかっただろう。
ゴブリン達との戦いが、レインのそんな意識を変えたのだ。
30層でのゴブリンキング達との戦い……
レインはあの戦いを生き延びた。
流石レインと言いたいところだが、実際はゴブリン達が俺に逃げられた腹いせ辺りで、レインを殺さずいたぶってくれたお陰だ。
酷い目に遭わされて、お陰も何もあったものでは無いが。
結果的にそれがレインの命を救ったのも事実。
そう、レインは九死に一生を得た。
だがニカは助からなかった……
戦場となった場所から少し離れた所で、ニカは事切れていた。
背中に受けた大きな傷が原因だ。
ゴブリンは、遠く離れた仲間の血の臭いすら嗅ぎ分ける嗅覚を持つ。
恐らく、臭いや音で察知したゴブリンに襲われたのだろう。
姿を隠すだけでは不十分だったのだ。
ニカの亡骸を前に、パーは何度もすまないと謝罪を繰り返していた。
自分の判断ミスだと……
決して彼女だけの責ではない。
その事は彼女だって理解している。
だがそれでも
「確かに僕だけのせいだとは思わないよ。でも、僕がミスしたのは変えようのない事実だ。だから彼女を生き返らせて見せる。この天才錬金術師、パマソー・グレンの名に懸けて」
分厚い眼鏡のせいで、その瞳は伺えない。
だが口調やその雰囲気から、彼女の本気の気持ちが伝わってくる。
普段からふざけた態度の女性ではあったが、彼女にとっても仲間の死は重い罪業なのだろう。
普段の態度は相変わらずだが、明かに以前とは違う。
それが鈍感な俺にも感じ取れた。
そんな彼女の為、レインも必死なのだ。
これ以上彼女が余計な物を背負わずに済むよう。
その為、以前のように戦いを楽しむ事はせず、確実な戦いを選ぶようになった。
「見事だ」
レインの戦いぶりに、ティータが称賛の言葉を贈る。
「たかしやティーエの強化があればこそだ。本来の俺ではああはいかんさ」
「ふん。姉上は兎も角、たかしの強化など大したものでは無いだろう」
明らかに俺の仮契約の方が効果大きいんだがな。
どうやらティータは、俺の事は絶対に認めたくないらしい。
相変わらずの態度に辟易する。
レインも男だというのに、何故か俺だけが悪い虫扱いだ。
やはり好きな相手がいるというのが大きいのかもしれない。
俺は別にティーエさんに特別な感情など抱いていない。
それをきっちり伝えれば、奴の態度も少しはましになるのだろうか?
ま、無理か。
俺の話、絶対まともに聞かなさそうだし。
「ティータ!たかしさんに失礼ですよ」
ティーエさんが弟を叱りつける。
「う、申し訳ありません。姉上」
「私ではありませんよ」
「く……すまない……たかし」
ティーエさんに促され、ティータが嫌々謝罪してくる。
本当に。
びっくりするほど嫌々。
此処まで態度があからさまだと、もはや謝る意味無いんだが。
「たかしさん。弟の非礼、どうか許してあげてください」
「そんな、気にしてませんよ」
1秒でも早く踏破する為、アルバート兄妹には頭を下げて手伝って貰っている。
ティータの態度は確かに不快だが、こうやって王墓探索を手伝ってもらっている手前、我慢するしかないだろう。
命懸けの探索の対価が嫌味程度なら安いものだ。
とにかく今は1秒でも早く50層へたどり着く為、俺達は先を急ぐ。
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