58 / 165
王墓探索
第五十七話 残念なレディー
しおりを挟む
「はー、食った食った」
「御馳走様でした」
「ごちそうさまです!」
俺が食い終わると、ほぼ同時にフラムとリンも食事を終える。
3人とも息がぴったりだ。
と言いたいところだが、リンだけは実は俺達の倍平らげていたりする。
まあ育ち盛りだしな。
ん?あれ、そういやバンパイアって成長すんのかな?
そんな疑問からか、リンをまじまじと見てしまう。
リンははっきり言って美少女だ。
成長して大人になれば、間違いなく絶世の美女と呼ばれる部類に入ってくるだろう。
そう考えると将来が楽しみで仕方ない。
育てばの話ではあるが。
育たずにこのままだと、流石にちょっと残念だな……
別に今のままが悪いわけではないが、個人的には美少女よりも美女の方が好みだったりする。
「たかしさん?私の顔どうかしましたか?」
「え!いいいや、な……何でもないんだ!何でもない!」
不埒な事を考えていたせいか、急にリンに声をかけられ思わず声が裏返ってしまう。
そんな俺をリンは不思議そうな顔で眺めてくる。
どうやら俺が何を考えていたかはバレずに済んだようだ。
「あ!たかしさん!今リンちゃん、将来美人になりそうだとか思ってませんでした!?」
「そんなわけないだろ!!」
この女、何でこんなに無駄に鋭いんだ?
「もぅ、鼻の下伸ばして。駄目ですよ、そういうイヤらしい目で見ちゃ。リンちゃんはまだまだ子供なんですから。でないと彩音さんに言いつけちゃいますよ!」
「いやらしい目でなんか見てねーよ!ただヴァンパイアって育つのかなって、思ってただけだ!あっ……」
言ってから気付く。失言だ……
これならスケベ心を赤裸々に話した方がましだった。
リンには極力普通の娘として生きて貰おうと、その手の話は意図的に避けてきたんだが……
まあ戦闘になればリン自身嫌でも意識する事になるんだろうが、せめて普段だけでも普通でいてもらうための配慮だったのだが、大失態もいいところだ。
「あの!気にしないでください!わたし気にしてませんから!!」
子供に気を使わせるとか。
どうしようもねぇな、俺は……
「種族なんて関係ないよ。リンちゃんはリンちゃんだもんね」
「はい!!」
く、フラムナイスフォローだ。
原因はてめーが余計な突っ込みを入れたせいだがな。
と思いつつも、まあ一応感謝する。
「チーズケーキお持ちしましたー」
「わーおいしそう!」
丁度いい所で、給仕のニカが俺達のテーブルへとケーキを持ってきて、3人分をテーブルに並べてくれる。
朝のアップルパイでも思った事だが、とにかく量が多い。
3人でワンホールは最早2食目レベルだ。
「悪いな、毎回毎回俺達の為だけにケーキ作って貰って」
「いえ、気にしないでください。実はケーキ作りが趣味だったりするんですよ。だから仕事って名目でケーキ作れるんで、逆に有り難いぐらいですから」
むう、文句のつけようのない100点満点の返しだ。
ニカの返答が完璧すぎて思わず感心してしまう。
この子ほんとに14歳かと疑うレベルだ。
「このチーズケーキすっごくおいしいです!」
「ふふふ、有り難う御座います」
リンが口いっぱいにチーズケーキを頬張りながら、美味しい美味しいを連呼する。
その手元には、当たり前のように俺の分が引き寄せられていた。
うん、いやまあ良いんだよ。
俺お腹いっぱいでもう入らないから。
初めからリンに譲る積もりではあったが、流石に何も言わずに強奪するのは如何な物かと。
こう何というか、女性らしさというか、奥ゆかしさという物がリンの行動からは欠片も感じられない。
特に勤勉なニカと並べると、どうしても子供っぽく見えてしまう。
このまま成長すると、見た目だけの残念なレディーが出来上がりそうで怖いな。
天真爛漫と言えば聞こえはいいが、要はあほの子だ。
将来マーサさんの元に返す時、図体だけデカくて中身そのままなのは流石に憚られる。
何らかの方法で、ちゃんと教育してやった方が良いんだろうな……
今その事を相談できる相手はフラムだけなのだが、フラムに相談すると別の意味で偉い事になりそうだ。
とりあえず今度ティーエさんにでも相談してみるか。
既に1つ目のケーキを平らげ、2つ目に必死にかぶりつくリンの姿を見て、出来るだけ可及に相談しようと心に誓う。
「御馳走様でした」
「ごちそうさまです!」
俺が食い終わると、ほぼ同時にフラムとリンも食事を終える。
3人とも息がぴったりだ。
と言いたいところだが、リンだけは実は俺達の倍平らげていたりする。
まあ育ち盛りだしな。
ん?あれ、そういやバンパイアって成長すんのかな?
そんな疑問からか、リンをまじまじと見てしまう。
リンははっきり言って美少女だ。
成長して大人になれば、間違いなく絶世の美女と呼ばれる部類に入ってくるだろう。
そう考えると将来が楽しみで仕方ない。
育てばの話ではあるが。
育たずにこのままだと、流石にちょっと残念だな……
別に今のままが悪いわけではないが、個人的には美少女よりも美女の方が好みだったりする。
「たかしさん?私の顔どうかしましたか?」
「え!いいいや、な……何でもないんだ!何でもない!」
不埒な事を考えていたせいか、急にリンに声をかけられ思わず声が裏返ってしまう。
そんな俺をリンは不思議そうな顔で眺めてくる。
どうやら俺が何を考えていたかはバレずに済んだようだ。
「あ!たかしさん!今リンちゃん、将来美人になりそうだとか思ってませんでした!?」
「そんなわけないだろ!!」
この女、何でこんなに無駄に鋭いんだ?
「もぅ、鼻の下伸ばして。駄目ですよ、そういうイヤらしい目で見ちゃ。リンちゃんはまだまだ子供なんですから。でないと彩音さんに言いつけちゃいますよ!」
「いやらしい目でなんか見てねーよ!ただヴァンパイアって育つのかなって、思ってただけだ!あっ……」
言ってから気付く。失言だ……
これならスケベ心を赤裸々に話した方がましだった。
リンには極力普通の娘として生きて貰おうと、その手の話は意図的に避けてきたんだが……
まあ戦闘になればリン自身嫌でも意識する事になるんだろうが、せめて普段だけでも普通でいてもらうための配慮だったのだが、大失態もいいところだ。
「あの!気にしないでください!わたし気にしてませんから!!」
子供に気を使わせるとか。
どうしようもねぇな、俺は……
「種族なんて関係ないよ。リンちゃんはリンちゃんだもんね」
「はい!!」
く、フラムナイスフォローだ。
原因はてめーが余計な突っ込みを入れたせいだがな。
と思いつつも、まあ一応感謝する。
「チーズケーキお持ちしましたー」
「わーおいしそう!」
丁度いい所で、給仕のニカが俺達のテーブルへとケーキを持ってきて、3人分をテーブルに並べてくれる。
朝のアップルパイでも思った事だが、とにかく量が多い。
3人でワンホールは最早2食目レベルだ。
「悪いな、毎回毎回俺達の為だけにケーキ作って貰って」
「いえ、気にしないでください。実はケーキ作りが趣味だったりするんですよ。だから仕事って名目でケーキ作れるんで、逆に有り難いぐらいですから」
むう、文句のつけようのない100点満点の返しだ。
ニカの返答が完璧すぎて思わず感心してしまう。
この子ほんとに14歳かと疑うレベルだ。
「このチーズケーキすっごくおいしいです!」
「ふふふ、有り難う御座います」
リンが口いっぱいにチーズケーキを頬張りながら、美味しい美味しいを連呼する。
その手元には、当たり前のように俺の分が引き寄せられていた。
うん、いやまあ良いんだよ。
俺お腹いっぱいでもう入らないから。
初めからリンに譲る積もりではあったが、流石に何も言わずに強奪するのは如何な物かと。
こう何というか、女性らしさというか、奥ゆかしさという物がリンの行動からは欠片も感じられない。
特に勤勉なニカと並べると、どうしても子供っぽく見えてしまう。
このまま成長すると、見た目だけの残念なレディーが出来上がりそうで怖いな。
天真爛漫と言えば聞こえはいいが、要はあほの子だ。
将来マーサさんの元に返す時、図体だけデカくて中身そのままなのは流石に憚られる。
何らかの方法で、ちゃんと教育してやった方が良いんだろうな……
今その事を相談できる相手はフラムだけなのだが、フラムに相談すると別の意味で偉い事になりそうだ。
とりあえず今度ティーエさんにでも相談してみるか。
既に1つ目のケーキを平らげ、2つ目に必死にかぶりつくリンの姿を見て、出来るだけ可及に相談しようと心に誓う。
0
お気に入りに追加
325
あなたにおすすめの小説
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。
とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」
成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。
「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」
********************************************
ATTENTION
********************************************
*世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。
*いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。
*R-15は保険です。
異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる