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ヴァンパイアスレイヤー(幼馴染が)
第四十二話 共闘
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凄い!
凄すぎます!!
彩音さんの強さは理解していたつもりでいたけど。
でもそれは間違いだ。
遠くから見て感じる強さと、実際の強さには天と地ほどの差がある事を実感する。
彩音さんは私の事をフォローしつつも、的確にブラドの急所へと攻撃を繰り出す。
私はというと、ブラドの後ろや横に回り、彩音さんが作ってくれた隙に攻撃をチマチマと仕掛けるといった塩梅だ。
そんな行動も、彩音さんから借りているこのドラゴンリングがなければ決して出来なかっただろう。
とはいえ全く役に立っていないわけでもない。
何故なら、私の攻撃はブラド相手に普通にダメージが通っているから。
どうもあのブラドのオーラは同じ種族?もしくは死人相手だと攻撃を素通しするっぽい。
だからブラドは私を先に始末したがってる、けど彩音さんがそれを許さない。
「煩わしい小娘どもが!!」
ブラドが吠え、彩音さんに殴りかかる。
だが彩音さんはその拳を片手で受け止めた。
チャンスだ!
ブラドの片手は彩音さんに捕まれ、さらにこちらに背を向けている。
チャンス到来と言わんばかりに、ブラドの背中へと爪を振るう。
弧を描いた4本の爪がブラドのがら空きの背を切り裂く。
いや、切り裂くはずだった。
だが実際は爪は空を切り、自分の腹部にブラドの足が突き刺さっていた。
ブラドは上半身を倒し爪を交わしながら、同時に後ろ蹴りをこちらに放ってきたのだ。
腹部に凄まじい衝撃が走り、痛みと共に弾き飛ばされる。
「ぐ…ぼぉえ…」
変な声を上げ、痛みからお腹を押さえ転げまわる。
痛い…痛いよ……
はらわたが焼ける様に熱く痛い。
余りの激痛に、涙と涎がだらだらと垂れる。
「リン大丈夫か!?」
彩音さんが心配してブラドと戦いながら声をかけてくれるが、激痛が続いているため返事が返せない。
「貴様もすぐに同じようにしてやる!」
「黙れ!」
彩音さんの回し蹴りがブラドに入り、ブラドが吹き飛ぶ。
その隙に彩音さんが此方に駆け寄り、優しく声をかけてくれた。
「平気か?」
「はい、もう大丈夫です……」
腹部はまだ全然痛いけど、これ以上彩音さんに心配をかけないようふらつく足で立ち上がる。
「その様子じゃもう無理だな」
「まだ戦えます……」
「もう十分だ。休んでろ」
「で…でも…」
「安心しろ。お前が奴の気を引いてくれたおかげでずいぶん練習できた。もう奴は私の敵じゃない」
練習できた?
いったい何を?
彩音さんが何を言っているのか理解できず混乱する。
彩音さんはいったいどうするつもりなのだろうか?
「私が敵ではないだと。面白い冗談だ」
彩音さんの回し蹴りから立ち上がり、怒りの形相でブラドが此方を睨みつける。
「私の言っていることが冗談じゃない事は、お前が一番よく分かっているだろう?」
そう言いながら彩音さんはにやりと笑う。
その笑顔が獲物を狙う飢えた肉食獣の様で少し怖かったが、それ以上に頼もしくもあった。
凄すぎます!!
彩音さんの強さは理解していたつもりでいたけど。
でもそれは間違いだ。
遠くから見て感じる強さと、実際の強さには天と地ほどの差がある事を実感する。
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私はというと、ブラドの後ろや横に回り、彩音さんが作ってくれた隙に攻撃をチマチマと仕掛けるといった塩梅だ。
そんな行動も、彩音さんから借りているこのドラゴンリングがなければ決して出来なかっただろう。
とはいえ全く役に立っていないわけでもない。
何故なら、私の攻撃はブラド相手に普通にダメージが通っているから。
どうもあのブラドのオーラは同じ種族?もしくは死人相手だと攻撃を素通しするっぽい。
だからブラドは私を先に始末したがってる、けど彩音さんがそれを許さない。
「煩わしい小娘どもが!!」
ブラドが吠え、彩音さんに殴りかかる。
だが彩音さんはその拳を片手で受け止めた。
チャンスだ!
ブラドの片手は彩音さんに捕まれ、さらにこちらに背を向けている。
チャンス到来と言わんばかりに、ブラドの背中へと爪を振るう。
弧を描いた4本の爪がブラドのがら空きの背を切り裂く。
いや、切り裂くはずだった。
だが実際は爪は空を切り、自分の腹部にブラドの足が突き刺さっていた。
ブラドは上半身を倒し爪を交わしながら、同時に後ろ蹴りをこちらに放ってきたのだ。
腹部に凄まじい衝撃が走り、痛みと共に弾き飛ばされる。
「ぐ…ぼぉえ…」
変な声を上げ、痛みからお腹を押さえ転げまわる。
痛い…痛いよ……
はらわたが焼ける様に熱く痛い。
余りの激痛に、涙と涎がだらだらと垂れる。
「リン大丈夫か!?」
彩音さんが心配してブラドと戦いながら声をかけてくれるが、激痛が続いているため返事が返せない。
「貴様もすぐに同じようにしてやる!」
「黙れ!」
彩音さんの回し蹴りがブラドに入り、ブラドが吹き飛ぶ。
その隙に彩音さんが此方に駆け寄り、優しく声をかけてくれた。
「平気か?」
「はい、もう大丈夫です……」
腹部はまだ全然痛いけど、これ以上彩音さんに心配をかけないようふらつく足で立ち上がる。
「その様子じゃもう無理だな」
「まだ戦えます……」
「もう十分だ。休んでろ」
「で…でも…」
「安心しろ。お前が奴の気を引いてくれたおかげでずいぶん練習できた。もう奴は私の敵じゃない」
練習できた?
いったい何を?
彩音さんが何を言っているのか理解できず混乱する。
彩音さんはいったいどうするつもりなのだろうか?
「私が敵ではないだと。面白い冗談だ」
彩音さんの回し蹴りから立ち上がり、怒りの形相でブラドが此方を睨みつける。
「私の言っていることが冗談じゃない事は、お前が一番よく分かっているだろう?」
そう言いながら彩音さんはにやりと笑う。
その笑顔が獲物を狙う飢えた肉食獣の様で少し怖かったが、それ以上に頼もしくもあった。
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