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ヴァンパイアスレイヤー(幼馴染が)
第四十一話 種蒔き
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「聖なる罰!」
呪文を唱えると聖なる力の籠った光球が生まれ、空を飛ぶワイバーンへと放たれる。
放たれた光球は高速で飛行するワイバーンへと見事に直撃し、ワイバーンの邪悪な命の灯を一瞬で散らす。
「お見事です!姉上!姉上の魔法はいつ見ても正確無比で惚れ惚れするばかりです」
「ありがとう」
だらだらと顔から汗を流しながら、弟がお世辞を言ってくる。
いや弟の事だ、お世辞ではなく本気で絶賛しているのだろう。
たかだかワイバーンを数十匹落とした程度で大げさなんだから。
我が弟ながら本当に大げさで困ったものだと苦悩する。
後、そんなに熱いなら鎧を脱げばいいのにとも思う。
エルフの住まう森はかなり蒸し暑い。
そんな森の中で、いつも通りのフルプレートなど着こめば暑いに決まっている。
一応森に入る前に注意はしたが……
「私は姉上の盾です!その私が鎧を脱ぐわけにはまいりません!」
と来たものだ。
普段は何でも言う事を聞く癖に、こんな時だけ無駄に頑固で困る。
正直臭いし暑苦しいから脱いで欲しいのだが、自分の為に頑張っている弟に流石にそれは言えなかった。
「それでどうしましょう?このまま敵意の収集を続ければよろしいですか?」
敵意の収集
ティータの使うスキルで、広範囲の敵の攻撃欲求を自分に向けさせるスキルだ。
分かり易く一言で言うなら、使うと辺り一帯の魔物がわらわら寄ってくるスキル。
この辺りのワイバーンは殆ど狩りつくした感じだし、別の場所に移動した方がいいわね。
そう考えていると、消火活動で離れていたフラムがタイミングよく帰ってきた。
「消化活動お疲れ様です。もう大丈夫ですか?」
「はい。全部消してきました」
「でしたら、そろそろ場所を移動しようかと思っていたのですが」
「あ、それならもう大丈夫です。ワイバーンは粗方倒し終えたみたいですから」
「そうなのですか?でしたら彩音さん達のもとに向かいましょう。恐らくブラドと交戦中でしょうから」
やっと本命に取り掛かれる。
ワイバーン退治など所詮おまけに過ぎない。
ヴァンパイアを倒してエルフ達に恩を売る。
それが今回の目的だ。
正直今回の一軒は、聖女を目指す上では何のプラスにもならないだろう。亜人種の国での働きなどは、教会からは評価されないからだ。
だがエルフに貸しを作っておけば、後々利用できると踏んだからわざわざこんな所までやってきた。
「そうですね!たかしさん達が心配ですから急ぎましょう!」
彩音さんには一応ドラゴンリングを渡しているから、万に一つ負けることはないでしょうけど……
たかしとリンの顔を思い出し、確かに急いだほうがよさそうだと結論する。
「ええ、急ぎましょう」
「ま…待ってください姉上!あれを!!」
「急にどうしたの?」
ティータを見ると、驚いたような表情で神樹の方を指さしていた。
いったい何なのかと、指さす方を見てみる。
「!?」
そこには黒く染まっていく神樹の姿が……
呪文を唱えると聖なる力の籠った光球が生まれ、空を飛ぶワイバーンへと放たれる。
放たれた光球は高速で飛行するワイバーンへと見事に直撃し、ワイバーンの邪悪な命の灯を一瞬で散らす。
「お見事です!姉上!姉上の魔法はいつ見ても正確無比で惚れ惚れするばかりです」
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だらだらと顔から汗を流しながら、弟がお世辞を言ってくる。
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たかだかワイバーンを数十匹落とした程度で大げさなんだから。
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敵意の収集
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やっと本命に取り掛かれる。
ワイバーン退治など所詮おまけに過ぎない。
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「急にどうしたの?」
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