学園ランキング最強はチートで無双する~能力はゴミだが、異世界転生で得たチート能力で最強~

榊与一

文字の大きさ
上 下
85 / 85
ネメシス

第84話 嫉妬

しおりを挟む
「この王喜様が、一撃で貴様をあの世に送ってやる」

王喜バカが右手の人差し指をドラゴンに向け、そう宣言する。
ドラゴンがそれを鼻で笑う。

「戯言を。神より頂いたこの偉大な力が、貴様の様などこの馬の骨とも分からん輩如きにどうにか出来る訳が無かろう」

「ふ、ならば冥途の土産に持って行くといい。神をも超える天才である、この王喜の名をな!」

王喜が大仰に両手を大きく広げる。
隙だらけだ。
私ならこの瞬間に、がら空きの胴体めがけて攻撃を仕掛けるだろう。

だがドラゴンは彼の自信に満ちた無駄な動きに警戒してか、動かない。

王喜の右手に炎が、そして左手には水が纏わりついた。
能力ギフトの同時使用。
それ自体はある程度技量の有る者なら難しくはない。

「水と炎?」

水と炎の相性はあまり良いとは言い難い。
炎が物質を燃やすのに対し、水はそれを阻害する性質を持っているからだ。

唯一の例外があるとすれば水蒸気爆発。

王喜は爆発でドラゴンを吹き飛ばす気だろうか?

「――っ!?」

だがその私の予想は大きく外れる。
何を思ったか、彼は炎と水を纏ったそれぞれの手を自身の胸元で合わせた。
そんな事をすれば、自身の目の前で水蒸気爆発が起こってしまう。

だがそうはならなかった。
彼の手の中で相反する筈の炎と水が混ざり合い、一つの大きな力へと変わっていく。
凄まじいエネルギーだ。

「複合能力……」

異なる能力を一つに纏める事は、至難の業と言われている。
それを王喜は私の目の前で……

「……」

どうやら、私は彼の力を侮っていた様だ。
強化されたブースターの影響や、テスト薬の効果もあるだろ。
だがそれらを考慮したとしても、事ギフトに関して彼は天才と言わざるを得ない。

「なんだその力は!?」

「ははははは!これが天才の力だ!」

王喜は手の中の力を引き延ばす。
まるで弓を引き絞る様な体制だ。

「受けるがいい!エターナル・王喜・バスター!!」

ネーミングは最低だった。
だがその威力は本物だ。
まるで矢を放つかの様に彼の手から撃ちだされた一撃は、破壊の嵐となってドラゴンを襲う。

「ぐえぁあぁぁぁぁぁ!!」

それはドラゴンの上半身を容易く吹き飛ばし、建物に大穴を開けて消えていく。
下半身と残された足はその場に崩れ、そして消滅する。

……悔しい。

能力者としての純粋なパワーの差。
恐らくどれだけ努力したとしても、私にはこれ程の力が出せる様にはならないだろ。
その純粋なまでの才能の差が、悔しくて仕方が無い。

真央様の役に立つため、私は強くならなければならないのに……

王喜如きに嫉妬しなければならない自分の不甲斐なさが、どうしようも情けなかった。

「ははははは!これが王喜様の力だ!ははははははは……は……」

大声で馬鹿笑いをしていたと思ったら、急に電池の切れたオモチャの様に王喜がその場に倒れこむ。
どうやら今の一撃は、かなり体に負担がかかる物だった様だ。

「はぁ……」

それを見て、私は大きく溜息を吐く。
相手が喰らってくれたから良かった物の、もしはずしていたらこの男はどうするつもりだったのだろうか?

まあ何も考えてはいないか。
真正の馬鹿だし。

倒れた王喜の元へ行く。
涎を垂らし、白目をむいて間抜け面で気絶するその顔を見て、心の底からこいつにだけは負けたくないと思った。

だが才能のある彼はこれからも成長していくだろう。
それに対して、私は既に能力の頭打ちが来ている。
今以上に強くなるには、ギフトに頼らない何らかの力が必要だ。

真央様に手ほどきを受けるのが理想だが、私事の為にあの方の手を煩わせるわけにはいかない。

「気が進まないけど……あの男を頼るしかないわね」

本気を出されていなかったとはいえ、王である真央様に土を付けたあの男。

――鏡竜也くそやろう

彼の能力はあまり戦闘向きではない上に、そのプラーナの量も多くはなかった。
にも拘らず、その強さは頭抜けている。

能力以外のその強さを、もし手に入れる事が出来たなら……

きっと私はもっと強くなれる筈だ。
その為なら、手段を選ぶつもりはなかった。

戻ったら早速、彼に指導を依頼してみるとしよう。

「担ぐのは……嫌ね」

気絶している王喜を担ごうとしたが、止めた。
ブリーフ一丁だったからだ。
これを担ぐのは流石に気持ち悪い。

私はその片足を掴み、彼を引きずる事にした。
この男にはこれで十分だ。

「貴方達、私について来て」

王喜にもつを引きずり、子供達の元まで行く。
仲間である彼に対する私の行動がアレなせいか全、員引いていた。

「これは頑丈だから、気にしなくていいわ」

私は子供達を連れ、バギーへと向かう。

任務完了だ。
しおりを挟む
感想 3

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(3件)

poyashimi
2021.11.24 poyashimi

ストリートキングなら解る

榊与一
2021.11.29 榊与一

裸の王様です><

解除
poyashimi
2021.11.24 poyashimi

センキュウ…

サンキュー…

あえて言ってるのか?

榊与一
2021.11.29 榊与一

まあフィーリング(テキトウ)で(*´з`)

解除
poyashimi
2021.11.23 poyashimi

仮にも一つの世界を救った勇者がこんなに弱いのは草しか生えない。

手加減してるんだろうけど

榊与一
2021.11.29 榊与一

基本的には全力を出していない感じになります。
戦いを楽しむタイプですので。

解除

あなたにおすすめの小説

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎
ファンタジー
坂木 新はリサイクルショップの店員だ。 ある日、買い取りで査定に不満を持った客に恨みを持たれてしまう。 仕事帰りに襲われて、気が付くと見知らぬ世界のベッドの上だった。

少年神官系勇者―異世界から帰還する―

mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる? 別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨ この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行) この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。 この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。 この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。 この作品は「pixiv」にも掲載しています。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。