41 / 85
バトルフェスティバル
第40話 決勝前夜
しおりを挟む
「よう」
深夜遅く、男子寮の外から俺の部屋をチラチラ見ていた不審者に声を掛ける。
相手も此方が部屋から出て近づいて来たのに気づいていたのか、特に驚いた様子は見せない。
「どうやって気づいたのか、聞いてもいいかしら?」
「勘」
まあ正確には気配を察知したのだが、詳しく話すのもあれなので割愛しておいた。
「その様子じゃ、今日の試合は負けたみたいだな」
決勝戦は明日だが、俺はまだ明日の対戦相手を知らなかった。
何故なら、俺は準決勝を――というか他人の試合全て――見ていないからだ。
だが彼女が此処に来たと言う事は……決勝の相手は多分アイツで間違いないだろう。
でなけりゃ、わざわざ前日の深夜に俺の所に顔を見せに来たりはしないだろうしな。
「最近負け続きだったから、それこそ鍛え直すレベルで頑張ったんだけど。結果は散々よ」
相手の強さは気配でなんとなく分かる。
彼女の強さは、初めて出会った頃とは比べ物にならない程成長していた。
よくぞこの短期間でと、感心してしまうレベルだ。
間違いなく天才と言っていいだろう。
だがそれでも負けた。
という事は、あいつの強さはそれ以上という事だ。
「なに嬉しそうな顔してるのよ」
「悪い悪い」
感情がついつい表情に出てしまった。
敗北の報告をにやにや顔で返されたら、まあ気分は良くないだろう。
「前より強くなった今の氷部を倒すんだ。金剛の奴の強さは相当だろうと思ってね」
「ええ。以前貴方と対峙した時より、多分ずっと強くなってるわよ。金剛劔は。きっと、誰かさんから刺激を受けたせいでしょうね」
「いい事だ」
相手が強ければ強いほど燃えるという物。
明日の決勝戦が楽しみだ。
「油断してると、足を掬われるわよ?」
「それを踏み越えるのが男ってもんさ」
4年間の異世界生活で、俺はいくつもの死線を乗り越えて来ている。
最初こそ「何でこんな目に」なんて思いながら戦っていたが、長い戦いの中、俺はいつしかそれを楽しむ様になっていった。
お陰で、今ではもう立派なスリル大好きっ子だ。
「試合を見てなかったみたいだから、忠告しに来てあげたんだけど……まあ余計なお世話だったみたいね」
氷部が小さく笑う。
綺麗な顔だ。
思わず見とれてしまう程に。
泰三を虜にするだけあって、ハーフ特有の綺麗で柔らかな顔立ちの美貌はぴか一だ。
これでもしD以上だったなら、俺もどうなっていた事やら。
「どこ見てるの?」
俺の視線に気づいたのか、氷部の眼差しに険が帯びる。
こういう時は――
「ああ、Cで良かったと思ただけだ。Dあったら危なかったけど、本当にCで良かった。だから気にしないでくれ」
素直に白状するに限る。
下手に言い訳をするのは見苦しいからな。
ここまでスパッと言い切れば、氷部も怒り辛いだろう。
「成程。私とどうしても勝負したいって訳ね」
氷部がこめかみの辺りをピクピクさせる。
駄目だった様だ。
童話に金の斧と銀の斧なんて物があるが、所詮あれはまやかしに過ぎない。
やはり方便という物は必要だ。
「まあしたくないと言ったら、嘘になるな」
些細な誤解からとは言え、せっかく氷部がやる気になってくれているのだ。
御相伴にあずかるとしよう。
言葉と同時に地を蹴り、俺は駆け出す。
流石に寮の近くでやるのはまずいので、中庭を抜け、俺はグラウンドへと飛び出した。
「ま、ほんとはグラウンドを荒らすのもあまりよくないんだろうけど」
目の前に氷部が姿を現す。
空間転移の能力だ。
「貴方が避けさえしなければ、全く問題ないわよ」
氷部の周囲に冷たい空気が渦巻いた。
彼女の纏った氷の結晶と結晶がぶつかり合い、その周囲に白い塊が生まれる。
それはやがて四足の白い獣へと姿を変えて行った。
「氷の狼か」
理沙の世話をしている白狼のシロに、ビジュアルは似ている。
まあシロの様な温かみは、氷部の生み出した僕達には一切感じないが。
「これが私の新技よ」
氷で出来た狼の数は10匹ほどだ。
そいつらがまるで意思を持っているかの様に動き、俺の周囲を取り囲む。
四条(薬中)の炎の槍も自由自在に動いてはいたが、あれは精度が低くパワーが乗っていなかったので大した事は無かった。
だがこの狼達は違う。
真面に噛みつかれたら、風邪を引く事になってしまいそうだ。
「顔色一つ変えないわね。でも、これでどうかしら?」
氷部が両手を前に突き出す。
その手から放たれた冷たい閃光が、巨大な竜へと姿を変えた。
それは氷部の氷竜絶牙だ。
こんな大盤振る舞いでスタミナは大丈夫か?
と心配したが、氷部は不敵な笑みで此方を見ていた。
どうやら、余計な心配だった様だ。
「随分と、この短期間でプラーナの量が上がってるみたいだな」
「ええ、以前の私とは違う。それを見せてあげる!!」
狼達が突っ込んで来る。
同時に氷竜も。
お遊びは無しで、一気に仕掛けるつもりの様だ。
ならば、俺も本気で答えるとしよう。
「はぁっ!」
俺は全身から闘気を――それもプラーナを混ぜて強化した物を肉体から放つ。
それは力の波となって、迫りくる全てを問答無用で吹き飛ばした。
「参ったわね……此処までとか。本当に、無用な心配だったみたいね」
氷部は少し呆然としてから、口を開く。
まさか全部綺麗に吹き飛ばされるとは思っていなかったのだろう。
「当然。俺は最強……いや、最強を目指してるからな。誰にも負けないさ」
「最強だから」そう断言しようとして訂正する。
少し前までは確信があったのだが、荒木真央を目にした事でその自信は大きくぐらついてしまっていた。
だから――俺はあいつを倒す。
自らが最強である事を証明するために。
因みに、荒木真央は闘祭自体には出場していない。
ゲームで言う所の裏ボス的扱いだ。
大会優勝者にのみ、彼女への挑戦権が与えられるという仕組みになっていた。
「貴方の強さはよく分かったわ。でも、それでも金剛は油断できない相手よ」
「分かってるさ」
最終目標は荒木真央だが、だからと言って金剛を侮るつもりは更々ない。
第一、さっきの技を見たうえで氷部は忠告して来たのだ。
金剛との戦いはきっと楽しい物になるだろう。
「じゃ、私は寮に帰るわ」
氷部は一瞬背を向けるが、直ぐに振り返って此方へと歩いて来る。
まだ何かあるのだろうか?
「……」
氷部がすぐ横に立ち、難しい顔で俺を見つめる。
「ん?何?」
俺の質問には答えず、氷部は小さく深呼吸した。
次の瞬間彼女の顔が近づき、俺のほっぺに柔らかく冷たい感触が当たる。
……………………え?
「この前、助けてくれたお礼。まだしてなかったでしょ?本当は胸の大きな女性の載ってる本の方が良いんでしょうけど、それは風紀委員長として許容できないから……これで我慢しなさい」
真っ赤な顔でそう告げると、氷部の姿はサッと消えてしまう。
能力を使ったのだろう。
「…………ほっぺにチューか。まあ確かに、バインバインの方がありがたっが!?」
急に氷が落ちてきて、頭に直撃する。
消えたと思ったが、どうやら聞こえる範囲にいた様だ。
俺を動揺させて一発入れるとは、やるじゃないか。
「ててて。やれやれ、俺もまだまだ修行が足りないな」
女の色香に迷わされる様では、まだまだだ。
精進しないと。
深夜遅く、男子寮の外から俺の部屋をチラチラ見ていた不審者に声を掛ける。
相手も此方が部屋から出て近づいて来たのに気づいていたのか、特に驚いた様子は見せない。
「どうやって気づいたのか、聞いてもいいかしら?」
「勘」
まあ正確には気配を察知したのだが、詳しく話すのもあれなので割愛しておいた。
「その様子じゃ、今日の試合は負けたみたいだな」
決勝戦は明日だが、俺はまだ明日の対戦相手を知らなかった。
何故なら、俺は準決勝を――というか他人の試合全て――見ていないからだ。
だが彼女が此処に来たと言う事は……決勝の相手は多分アイツで間違いないだろう。
でなけりゃ、わざわざ前日の深夜に俺の所に顔を見せに来たりはしないだろうしな。
「最近負け続きだったから、それこそ鍛え直すレベルで頑張ったんだけど。結果は散々よ」
相手の強さは気配でなんとなく分かる。
彼女の強さは、初めて出会った頃とは比べ物にならない程成長していた。
よくぞこの短期間でと、感心してしまうレベルだ。
間違いなく天才と言っていいだろう。
だがそれでも負けた。
という事は、あいつの強さはそれ以上という事だ。
「なに嬉しそうな顔してるのよ」
「悪い悪い」
感情がついつい表情に出てしまった。
敗北の報告をにやにや顔で返されたら、まあ気分は良くないだろう。
「前より強くなった今の氷部を倒すんだ。金剛の奴の強さは相当だろうと思ってね」
「ええ。以前貴方と対峙した時より、多分ずっと強くなってるわよ。金剛劔は。きっと、誰かさんから刺激を受けたせいでしょうね」
「いい事だ」
相手が強ければ強いほど燃えるという物。
明日の決勝戦が楽しみだ。
「油断してると、足を掬われるわよ?」
「それを踏み越えるのが男ってもんさ」
4年間の異世界生活で、俺はいくつもの死線を乗り越えて来ている。
最初こそ「何でこんな目に」なんて思いながら戦っていたが、長い戦いの中、俺はいつしかそれを楽しむ様になっていった。
お陰で、今ではもう立派なスリル大好きっ子だ。
「試合を見てなかったみたいだから、忠告しに来てあげたんだけど……まあ余計なお世話だったみたいね」
氷部が小さく笑う。
綺麗な顔だ。
思わず見とれてしまう程に。
泰三を虜にするだけあって、ハーフ特有の綺麗で柔らかな顔立ちの美貌はぴか一だ。
これでもしD以上だったなら、俺もどうなっていた事やら。
「どこ見てるの?」
俺の視線に気づいたのか、氷部の眼差しに険が帯びる。
こういう時は――
「ああ、Cで良かったと思ただけだ。Dあったら危なかったけど、本当にCで良かった。だから気にしないでくれ」
素直に白状するに限る。
下手に言い訳をするのは見苦しいからな。
ここまでスパッと言い切れば、氷部も怒り辛いだろう。
「成程。私とどうしても勝負したいって訳ね」
氷部がこめかみの辺りをピクピクさせる。
駄目だった様だ。
童話に金の斧と銀の斧なんて物があるが、所詮あれはまやかしに過ぎない。
やはり方便という物は必要だ。
「まあしたくないと言ったら、嘘になるな」
些細な誤解からとは言え、せっかく氷部がやる気になってくれているのだ。
御相伴にあずかるとしよう。
言葉と同時に地を蹴り、俺は駆け出す。
流石に寮の近くでやるのはまずいので、中庭を抜け、俺はグラウンドへと飛び出した。
「ま、ほんとはグラウンドを荒らすのもあまりよくないんだろうけど」
目の前に氷部が姿を現す。
空間転移の能力だ。
「貴方が避けさえしなければ、全く問題ないわよ」
氷部の周囲に冷たい空気が渦巻いた。
彼女の纏った氷の結晶と結晶がぶつかり合い、その周囲に白い塊が生まれる。
それはやがて四足の白い獣へと姿を変えて行った。
「氷の狼か」
理沙の世話をしている白狼のシロに、ビジュアルは似ている。
まあシロの様な温かみは、氷部の生み出した僕達には一切感じないが。
「これが私の新技よ」
氷で出来た狼の数は10匹ほどだ。
そいつらがまるで意思を持っているかの様に動き、俺の周囲を取り囲む。
四条(薬中)の炎の槍も自由自在に動いてはいたが、あれは精度が低くパワーが乗っていなかったので大した事は無かった。
だがこの狼達は違う。
真面に噛みつかれたら、風邪を引く事になってしまいそうだ。
「顔色一つ変えないわね。でも、これでどうかしら?」
氷部が両手を前に突き出す。
その手から放たれた冷たい閃光が、巨大な竜へと姿を変えた。
それは氷部の氷竜絶牙だ。
こんな大盤振る舞いでスタミナは大丈夫か?
と心配したが、氷部は不敵な笑みで此方を見ていた。
どうやら、余計な心配だった様だ。
「随分と、この短期間でプラーナの量が上がってるみたいだな」
「ええ、以前の私とは違う。それを見せてあげる!!」
狼達が突っ込んで来る。
同時に氷竜も。
お遊びは無しで、一気に仕掛けるつもりの様だ。
ならば、俺も本気で答えるとしよう。
「はぁっ!」
俺は全身から闘気を――それもプラーナを混ぜて強化した物を肉体から放つ。
それは力の波となって、迫りくる全てを問答無用で吹き飛ばした。
「参ったわね……此処までとか。本当に、無用な心配だったみたいね」
氷部は少し呆然としてから、口を開く。
まさか全部綺麗に吹き飛ばされるとは思っていなかったのだろう。
「当然。俺は最強……いや、最強を目指してるからな。誰にも負けないさ」
「最強だから」そう断言しようとして訂正する。
少し前までは確信があったのだが、荒木真央を目にした事でその自信は大きくぐらついてしまっていた。
だから――俺はあいつを倒す。
自らが最強である事を証明するために。
因みに、荒木真央は闘祭自体には出場していない。
ゲームで言う所の裏ボス的扱いだ。
大会優勝者にのみ、彼女への挑戦権が与えられるという仕組みになっていた。
「貴方の強さはよく分かったわ。でも、それでも金剛は油断できない相手よ」
「分かってるさ」
最終目標は荒木真央だが、だからと言って金剛を侮るつもりは更々ない。
第一、さっきの技を見たうえで氷部は忠告して来たのだ。
金剛との戦いはきっと楽しい物になるだろう。
「じゃ、私は寮に帰るわ」
氷部は一瞬背を向けるが、直ぐに振り返って此方へと歩いて来る。
まだ何かあるのだろうか?
「……」
氷部がすぐ横に立ち、難しい顔で俺を見つめる。
「ん?何?」
俺の質問には答えず、氷部は小さく深呼吸した。
次の瞬間彼女の顔が近づき、俺のほっぺに柔らかく冷たい感触が当たる。
……………………え?
「この前、助けてくれたお礼。まだしてなかったでしょ?本当は胸の大きな女性の載ってる本の方が良いんでしょうけど、それは風紀委員長として許容できないから……これで我慢しなさい」
真っ赤な顔でそう告げると、氷部の姿はサッと消えてしまう。
能力を使ったのだろう。
「…………ほっぺにチューか。まあ確かに、バインバインの方がありがたっが!?」
急に氷が落ちてきて、頭に直撃する。
消えたと思ったが、どうやら聞こえる範囲にいた様だ。
俺を動揺させて一発入れるとは、やるじゃないか。
「ててて。やれやれ、俺もまだまだ修行が足りないな」
女の色香に迷わされる様では、まだまだだ。
精進しないと。
0
お気に入りに追加
399
あなたにおすすめの小説

転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!
幸せな人生を目指して
える
ファンタジー
不慮の事故にあいその生涯を終え異世界に転生したエルシア。
十八歳という若さで死んでしまった前世を持つ彼女は今度こそ幸せな人生を送ろうと努力する。
精霊や魔法ありの異世界ファンタジー。

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。
田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。
けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。
日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。
あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの?
ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。
感想などお待ちしております。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~
春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。
冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。
しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。
パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。
そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

巻き込まれて気づけば異世界 ~その配達員器用貧乏にて~
細波
ファンタジー
(3月27日変更)
仕事中に異世界転移へ巻き込まれたオッサン。神様からチートもらってやりたいように生きる…
と思ってたけど、人から頼まれる。神から頼まれる。自分から首をつっこむ!
「前の世界より黒くないし、社畜感無いから余裕っすね」
周りの人も神も黒い!
「人なんてそんなもんでしょ? 俺だって黒い方だと思うし」
そんな元オッサンは今日も行く!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる