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第12話 サイズ
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「さて、どの辺りにいるかな……」
俺は今、スタート地点だった場所へとやって来ていた。その目的は、最初逃げ帰る事しか出来なかった一つ目巨人の討伐。そう、リベンジマッチである。
今の俺は、討伐難度Bのワイバンの番をぼっこぼこに出来るぐらい強くなっていた。まあその強さは実質Cランクだった訳だが、それでもあそこまで圧倒出来た事を考えると、きっとAランクであるあの一つ目巨人にも届くはず。そう考え、俺は戻って来たという訳だ。
ま、やばそうだったらまた時間停止で逃げればいいだけだし……
「……ん?」
相手から俺を見つけやすい様に大声を出しながら谷間を走って探していると、唐突に人影が俺の前に姿を現す。但し人間ではない。サイズは俺と同じぐらだが、その皮膚は青く目玉は一つしかなかった。魔物だ。
「小さい方か……ていうか、ひょっとして前のと同じ固体か?」
俺がそう思ったのは、魔物の腹部にまるでぶち抜かれた様な大きな傷跡があったからだ。どうもこの世界の魔物は魂石を抜かないと復活してしまう様で、復活した際には大きな傷跡なんかは残るとの事。
「ごああああああ!」
一つ目が吠える。相変わらず声だけは無駄にデカイ。そう、奴は声だけだ。こいつが俺の敵で無い事は既に分かっていた。襲い掛かって来た奴の掴みかかりを両手で軽く弾き、両手で頭部を掴んでグルンと180度横回転してやる。
勝利!
「ふ、大きくなって出直してきな」
ま、今回は魂石抜くからもう復活出来ないだろうけど。俺は手早く魔物から魂石を拐取してインベントリに入れる。
「さーて、でっかいの早く出て来ないかな」
探索続行。探索。探索。探索。探索。うん、全然見つからん。
「むう、この谷間ほぼ探索し終えたよな?何で出て来ないんだ。ひょっとしてどっかに引っ越したか?」
長年谷間をテリトリーにしていた様なのだが、何らかの事情で塒を変えてしまったのかもしれない。もしくはちょっとテリトリーの外に出てしまっているとか。それなら何日かでここに戻って来るかも。
「ニ三日待ってから、もう一回探索するか」
ここには安全ポイントの洞窟がある。そこで筋トレしながら待つとしよう。
「さて!レッツトレーニング!」
若干手狭に感じる様になった洞窟で、俺は楽しい楽しいトレーニングを開始する。
「さて、もう何日か経っただろう」
感覚的に何日か経ったと判断し――洞窟内では空腹も疲れもないので、日にちの経過が分かり辛い――俺は再び谷間を探索する。が、残念ながら結局奴を見つけ出す事が出来なかった。どうやら本格的にどこかに行ってしまった様だ。
「場所分かんないんじゃどうにもならんよな」
リベンジしたかったのだがしょうがない。縁があればまたどこかで遭遇するだろう。そう諦めに近い判断を下し、俺は小ビットの町へと戻った。
「パワーさん!良かった、無事だったんですね!」
「おいおい、心配させるなよな」
ミニポーションで縮んでから町に入り、冒険者ギルドに行ったらミニエル達が俺を持て駆けよって来た。
「心配?」
「一月も帰って来なかったら、そりゃ心配するわよ」
ケディの言葉に俺は首を傾げる。探索には一週間もかけてないのだが? うーん、見た感じ嘘を吐いている様にも見えないし……なんかおかしいな。
「えーっと、俺が向かってから本当に一か月も経ってる。俺的には一週間も経ってないんだけど?」
因みに、この世界の暦や時間の概念なんかは日本とほぼ同じだったりする。異世界なのに? そう思うかもしれないが、不思議な事に全く一緒となっている。ま、些細な事だしそこはどうでもいいだろう。
「おいおいパワー。そりゃ何の冗談だ?いくら何でも一週間と一か月じゃ全然違うだろうに」
バンズが俺の言葉に呆れた様に首を竦めた。ケディやミニエルも困った顔で俺を見ている。どうやら正真正銘一月経っている様だ。
「そ、そうか……どうも訓練に夢中で感覚がずれてしまってたみたいだ」
あの洞窟は時間の感覚を狂わせてしまうのだろう、たぶん。空腹も疲れも一切なく訓練出来るからな。楽しい事してると時間が一瞬で過ぎるっていうし。
「それで、一つ目の巨人は狩れたの?」
「いや、それが何日かかけても見当たらなかったんだよ。どうもどこかに移動したみたいだ」
「げ、マジかよ……」
テリトリーから出て行ったのかもという俺の言葉に、その場の皆が顔を顰めた。まあ気持ちは分かる。どこか遠くへ行ったのならともかく、そうでなかった場合、討伐難度Aランクの魔物がそこらをうろついてるかもしれないのだ。彼らからすれば恐怖でしかないだろう。
「まあ、暫くは気を付けた方がいいかもな。ギルドにも報告しとくよ」
まあ俺の倍以上あるデカさだからな、近くにいるのなら直ぐに目撃例が出て来るだろう。それにあの体躯で隠密的な行動が出来るとも思えないので、気を付けてさえいれば不意の遭遇ってのも早々ないはずである。
「ああ、そうだな。まあどこか遠くに行ってくれてる事を祈るよ」
「じゃ、魂石手に入れてるから受付行って来るよ」
まあ一個だけだけど。
「これの買取をお願いします」
「ず、随分と大きいですね……」
受け付けの女性――ミキティに手に入れた魂石を見せると、そのサイズに目を丸める。
あの小さい単眼から取れた魂石のサイズはワイバンの物より大きく、今まで手に入れた物の中では最大だ。魂石のサイズは魔物の強さに比例する傾向にあるらしいので、あいつも何だかんだで難度C、もしくはBランクぐらいの強さがあったんだろうと思われる。
「とりあえずお預かりします」
ミキティが魂石を両手で受け取り――
「おも……」
――それをマジックアイテムの測定器の台座部分に置く。
これで内包された魔力を計測して、その価値をはじき出す感じだ。
「こ、これは……」
ミキティが測定結果を見て驚いた様な顔になる。
「どうかしました?」
「単眼の巨人の魂石じゃないですか!」
「へ?違いますよ」
俺が倒した奴は姿形こそ似てはいても、巨人よりずっと小型の魔物だ。あの程度のサイズでは到底巨人とは呼べない。
「え?でも……測定結果では単眼の巨人と出てますが……」
「そうなんですか?でも、大した奴は俺と同じぐらいの背格好でしたよ」
「えーっと……パワー様は今、ミニポーションをお飲みになられてるんですよね?」
「ああ、はい。そのままだとこの町で行動するのに支障が出ますから。建物とか入れませんし」
小人達の暮らす空間は何もかもが小さい。なのでミニポーションは必須である。もしこれが無かったら今頃苦労していた事だろう。
「えーっとですね……パワー様の元の背丈を考えると、十分過ぎる程巨大と言えるかと……」
「あー……」
小人である彼らから見れば、確かに俺は巨人と言えるサイズなのかもしれない。実際、初対面の時バンズ達は俺の事を単眼の巨人と勘違いしていたし。
じゃああれか? あの小型の方を、皆は単眼の巨人って言ってたのか?
「なるほど。じゃあ俺は、小さい方の単眼の巨人を倒したって事ですね」
「あの……おっしゃられてる意味がよく分からないのですが?」
「ん?」
俺が倒したのは小さい方で、大きいのは別にいる訳だが……ひょっとしてギルドはそれを把握していないのだろうか?あれだけデカい奴に気付かないなんて事……いや、あんな場所にいたんじゃ気づかなくてもそれ程おかしくはないのか?
そう結論付けようとして、ふと、ある考えが頭を過った。それは――実は最初に遭遇した魔物と、今回倒した奴が同一個体じゃないのかという考えだ。
「……」
どう考えてもサイズが違う。だが、それは俺がそう感じていただけではないだろうか?
超巨大な魔物が未発見である事の違和感。そしてこの辺りに住む小人達は、俺みたいなデカい人間を知らないと言う。にも拘らず、身分証は問題なく通じている。更に、訓練していた洞窟が小さくなっていった事。
それらの点を逆説的に線で繋いでいくと、ある一つの答えが浮かび上がってくる。
魔物は発見済みで。この町は小人の町じゃなく。そして洞窟は縮んでなどいない。つまり――
俺が馬鹿みたいにでっかくなってるという答えだ。
いや、いやいやいや。そんな事あるか? 俺、成長期はとっくに過ぎてるんだぞ。それ以前に、普通の人間はこんなデカく成長しないし。だけど……俺は普通じゃない。転生者だ。神様のさじ加減一つで、そう言う事も十分あり得る。
俺が……俺が巨人……
正直、ちょっとショックだ。転生前は病弱だったから、大きく逞しい体を願ってはいた。いたが、物には限度という物がある。いくら何でもデカすぎだろうに。このサイズ感だと滅茶苦茶生活し辛いわ。
あれ? でもそういや服はどうなんだ? 俺がデカくなったら、小さくてとても着れない様な……いや、それだって神様の不思議パワーで一緒に大きくなったって言われれば……
「あの、パワー様……」
自分の出した答えに呆然としていると、ミキティが心配げに俺の顔を覗き込んで来た。
「あ、いやなんでもないんだ。気にしないでくれ。それよりも……それが単眼の巨人の魂石であってるなら、まあ俺が倒した事になるね。俺と同じサイズだったから、てっきり別の魔物だと思ってたんだ」
俺は気持ちを切り替え、普通に受け答えする。まあまだそうと決まった訳じゃない。それに例えそうだったとしても、死ぬ訳ではないのだ。ミニポーションもあるし、ドンマイで行こう。
「ふふ、そうみたいですね。この辺り最強の魔物の討伐ですから、ギルド長にお知らせしてきます。少々お待ちくださいね」
ミキティがギルド長へと報告へ向かう。
「あ、はい」
しっかし……流石にここから更に成長とかはないよな?
更にとかなると、結構シャレにならない気がする。万一特撮物の巨大ヒーローサイズになった日には、人間社会で生きていくとか無理ゲー待ったなしだ。
俺はそうならない事を神に祈るのだった。
いやほんと、頼みますよ神様。マジやめてね。
俺は今、スタート地点だった場所へとやって来ていた。その目的は、最初逃げ帰る事しか出来なかった一つ目巨人の討伐。そう、リベンジマッチである。
今の俺は、討伐難度Bのワイバンの番をぼっこぼこに出来るぐらい強くなっていた。まあその強さは実質Cランクだった訳だが、それでもあそこまで圧倒出来た事を考えると、きっとAランクであるあの一つ目巨人にも届くはず。そう考え、俺は戻って来たという訳だ。
ま、やばそうだったらまた時間停止で逃げればいいだけだし……
「……ん?」
相手から俺を見つけやすい様に大声を出しながら谷間を走って探していると、唐突に人影が俺の前に姿を現す。但し人間ではない。サイズは俺と同じぐらだが、その皮膚は青く目玉は一つしかなかった。魔物だ。
「小さい方か……ていうか、ひょっとして前のと同じ固体か?」
俺がそう思ったのは、魔物の腹部にまるでぶち抜かれた様な大きな傷跡があったからだ。どうもこの世界の魔物は魂石を抜かないと復活してしまう様で、復活した際には大きな傷跡なんかは残るとの事。
「ごああああああ!」
一つ目が吠える。相変わらず声だけは無駄にデカイ。そう、奴は声だけだ。こいつが俺の敵で無い事は既に分かっていた。襲い掛かって来た奴の掴みかかりを両手で軽く弾き、両手で頭部を掴んでグルンと180度横回転してやる。
勝利!
「ふ、大きくなって出直してきな」
ま、今回は魂石抜くからもう復活出来ないだろうけど。俺は手早く魔物から魂石を拐取してインベントリに入れる。
「さーて、でっかいの早く出て来ないかな」
探索続行。探索。探索。探索。探索。うん、全然見つからん。
「むう、この谷間ほぼ探索し終えたよな?何で出て来ないんだ。ひょっとしてどっかに引っ越したか?」
長年谷間をテリトリーにしていた様なのだが、何らかの事情で塒を変えてしまったのかもしれない。もしくはちょっとテリトリーの外に出てしまっているとか。それなら何日かでここに戻って来るかも。
「ニ三日待ってから、もう一回探索するか」
ここには安全ポイントの洞窟がある。そこで筋トレしながら待つとしよう。
「さて!レッツトレーニング!」
若干手狭に感じる様になった洞窟で、俺は楽しい楽しいトレーニングを開始する。
「さて、もう何日か経っただろう」
感覚的に何日か経ったと判断し――洞窟内では空腹も疲れもないので、日にちの経過が分かり辛い――俺は再び谷間を探索する。が、残念ながら結局奴を見つけ出す事が出来なかった。どうやら本格的にどこかに行ってしまった様だ。
「場所分かんないんじゃどうにもならんよな」
リベンジしたかったのだがしょうがない。縁があればまたどこかで遭遇するだろう。そう諦めに近い判断を下し、俺は小ビットの町へと戻った。
「パワーさん!良かった、無事だったんですね!」
「おいおい、心配させるなよな」
ミニポーションで縮んでから町に入り、冒険者ギルドに行ったらミニエル達が俺を持て駆けよって来た。
「心配?」
「一月も帰って来なかったら、そりゃ心配するわよ」
ケディの言葉に俺は首を傾げる。探索には一週間もかけてないのだが? うーん、見た感じ嘘を吐いている様にも見えないし……なんかおかしいな。
「えーっと、俺が向かってから本当に一か月も経ってる。俺的には一週間も経ってないんだけど?」
因みに、この世界の暦や時間の概念なんかは日本とほぼ同じだったりする。異世界なのに? そう思うかもしれないが、不思議な事に全く一緒となっている。ま、些細な事だしそこはどうでもいいだろう。
「おいおいパワー。そりゃ何の冗談だ?いくら何でも一週間と一か月じゃ全然違うだろうに」
バンズが俺の言葉に呆れた様に首を竦めた。ケディやミニエルも困った顔で俺を見ている。どうやら正真正銘一月経っている様だ。
「そ、そうか……どうも訓練に夢中で感覚がずれてしまってたみたいだ」
あの洞窟は時間の感覚を狂わせてしまうのだろう、たぶん。空腹も疲れも一切なく訓練出来るからな。楽しい事してると時間が一瞬で過ぎるっていうし。
「それで、一つ目の巨人は狩れたの?」
「いや、それが何日かかけても見当たらなかったんだよ。どうもどこかに移動したみたいだ」
「げ、マジかよ……」
テリトリーから出て行ったのかもという俺の言葉に、その場の皆が顔を顰めた。まあ気持ちは分かる。どこか遠くへ行ったのならともかく、そうでなかった場合、討伐難度Aランクの魔物がそこらをうろついてるかもしれないのだ。彼らからすれば恐怖でしかないだろう。
「まあ、暫くは気を付けた方がいいかもな。ギルドにも報告しとくよ」
まあ俺の倍以上あるデカさだからな、近くにいるのなら直ぐに目撃例が出て来るだろう。それにあの体躯で隠密的な行動が出来るとも思えないので、気を付けてさえいれば不意の遭遇ってのも早々ないはずである。
「ああ、そうだな。まあどこか遠くに行ってくれてる事を祈るよ」
「じゃ、魂石手に入れてるから受付行って来るよ」
まあ一個だけだけど。
「これの買取をお願いします」
「ず、随分と大きいですね……」
受け付けの女性――ミキティに手に入れた魂石を見せると、そのサイズに目を丸める。
あの小さい単眼から取れた魂石のサイズはワイバンの物より大きく、今まで手に入れた物の中では最大だ。魂石のサイズは魔物の強さに比例する傾向にあるらしいので、あいつも何だかんだで難度C、もしくはBランクぐらいの強さがあったんだろうと思われる。
「とりあえずお預かりします」
ミキティが魂石を両手で受け取り――
「おも……」
――それをマジックアイテムの測定器の台座部分に置く。
これで内包された魔力を計測して、その価値をはじき出す感じだ。
「こ、これは……」
ミキティが測定結果を見て驚いた様な顔になる。
「どうかしました?」
「単眼の巨人の魂石じゃないですか!」
「へ?違いますよ」
俺が倒した奴は姿形こそ似てはいても、巨人よりずっと小型の魔物だ。あの程度のサイズでは到底巨人とは呼べない。
「え?でも……測定結果では単眼の巨人と出てますが……」
「そうなんですか?でも、大した奴は俺と同じぐらいの背格好でしたよ」
「えーっと……パワー様は今、ミニポーションをお飲みになられてるんですよね?」
「ああ、はい。そのままだとこの町で行動するのに支障が出ますから。建物とか入れませんし」
小人達の暮らす空間は何もかもが小さい。なのでミニポーションは必須である。もしこれが無かったら今頃苦労していた事だろう。
「えーっとですね……パワー様の元の背丈を考えると、十分過ぎる程巨大と言えるかと……」
「あー……」
小人である彼らから見れば、確かに俺は巨人と言えるサイズなのかもしれない。実際、初対面の時バンズ達は俺の事を単眼の巨人と勘違いしていたし。
じゃああれか? あの小型の方を、皆は単眼の巨人って言ってたのか?
「なるほど。じゃあ俺は、小さい方の単眼の巨人を倒したって事ですね」
「あの……おっしゃられてる意味がよく分からないのですが?」
「ん?」
俺が倒したのは小さい方で、大きいのは別にいる訳だが……ひょっとしてギルドはそれを把握していないのだろうか?あれだけデカい奴に気付かないなんて事……いや、あんな場所にいたんじゃ気づかなくてもそれ程おかしくはないのか?
そう結論付けようとして、ふと、ある考えが頭を過った。それは――実は最初に遭遇した魔物と、今回倒した奴が同一個体じゃないのかという考えだ。
「……」
どう考えてもサイズが違う。だが、それは俺がそう感じていただけではないだろうか?
超巨大な魔物が未発見である事の違和感。そしてこの辺りに住む小人達は、俺みたいなデカい人間を知らないと言う。にも拘らず、身分証は問題なく通じている。更に、訓練していた洞窟が小さくなっていった事。
それらの点を逆説的に線で繋いでいくと、ある一つの答えが浮かび上がってくる。
魔物は発見済みで。この町は小人の町じゃなく。そして洞窟は縮んでなどいない。つまり――
俺が馬鹿みたいにでっかくなってるという答えだ。
いや、いやいやいや。そんな事あるか? 俺、成長期はとっくに過ぎてるんだぞ。それ以前に、普通の人間はこんなデカく成長しないし。だけど……俺は普通じゃない。転生者だ。神様のさじ加減一つで、そう言う事も十分あり得る。
俺が……俺が巨人……
正直、ちょっとショックだ。転生前は病弱だったから、大きく逞しい体を願ってはいた。いたが、物には限度という物がある。いくら何でもデカすぎだろうに。このサイズ感だと滅茶苦茶生活し辛いわ。
あれ? でもそういや服はどうなんだ? 俺がデカくなったら、小さくてとても着れない様な……いや、それだって神様の不思議パワーで一緒に大きくなったって言われれば……
「あの、パワー様……」
自分の出した答えに呆然としていると、ミキティが心配げに俺の顔を覗き込んで来た。
「あ、いやなんでもないんだ。気にしないでくれ。それよりも……それが単眼の巨人の魂石であってるなら、まあ俺が倒した事になるね。俺と同じサイズだったから、てっきり別の魔物だと思ってたんだ」
俺は気持ちを切り替え、普通に受け答えする。まあまだそうと決まった訳じゃない。それに例えそうだったとしても、死ぬ訳ではないのだ。ミニポーションもあるし、ドンマイで行こう。
「ふふ、そうみたいですね。この辺り最強の魔物の討伐ですから、ギルド長にお知らせしてきます。少々お待ちくださいね」
ミキティがギルド長へと報告へ向かう。
「あ、はい」
しっかし……流石にここから更に成長とかはないよな?
更にとかなると、結構シャレにならない気がする。万一特撮物の巨大ヒーローサイズになった日には、人間社会で生きていくとか無理ゲー待ったなしだ。
俺はそうならない事を神に祈るのだった。
いやほんと、頼みますよ神様。マジやめてね。
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