異世界召喚で適正村人の俺はゴミとしてドラゴンの餌に~だが職業はゴミだが固有スキルは最強だった。スキル永久コンボでずっと俺のターンだ~

榊与一

文字の大きさ
上 下
40 / 59

第40話 友人

しおりを挟む
「どうぞ」

扉がノックされたので返事をかえす。
ノブが周り、リーンの奴が室内へと入って来る。

「ん?どうかしたか?」

「あの……その……俺」

自分の腰掛けているベッドの横をポンポンと叩く。
リーンは黙って俺の横に座った。

「師匠……俺……本当に王族なのかな?」

「さあな」

アイシャさんは屋敷を出て王都に向かっていた。
本当にリーンが王族なのか、超々低確率で生まれた例外なのか。
それを調べるために。

「俺がもし王族だったら……師匠は……その……俺の事……」

「言っておくけど。お前が王族だからって、俺は特別扱いする気はないぞ?この国どころか、俺はこの世界の人間ですらないからな。正直、お前の生まれなんざ糞程どうでもいい」

ぶっちゃけた話。
女王であるアイリーンをぶちのめす気満々の俺が、王族だからと言ってリーンにヘこへこする事などありえない。
仮にあの糞女がリーンの母親や――年齢的に少し無理があるが――姉だったとしても、俺は自分の目的を変える気もなかった。

「へへ……師匠……」

リーンの不安は別に消えてなくなった訳でないが、俺がはっきり自分の意思を示した事に安心したのか、彼女は嬉しそうに俺の腕に抱き着いて来る。
その時初めて気づいたのだが、真っ平に近いリーンの胸は、以前よりも少し膨らみがましていた。

ふふ。
だがいくら俺がボッチの童貞だからと言って、この程度の刺激に惑わされると思ったら大違いだぜ。

「ままま、まあ。あれだ。お前もこ、細かい事は気にするにゃ!」

駄目でした。

「なに挙動不審な事やってるのよ」

テアがノックもせず、空きっぱなしだった扉から部屋に入って来る。
こっ恥ずかしい醜態を見られてしまった。
俺のクールなイメージが崩れてしまう。

因みに、彼女の突然の登場に驚いてリーンはベッドから立ち上がっている。
だからと言って、別に残念だとはこれっぽっちも思ってはいない。
本当だぞ?

「テアか。なんか用か?」

俺は平常を装い、ずかずかと俺の前にまで歩いて来た彼女に尋ねた。
よし、ばっちりだ。

「母の事で礼を言いに来たんだけど、邪魔だったんならまた後にするけわ」

テアが汚い物を見る様な眼差しを俺に向ける。
いかんな。
これは完全に変質者を見る目だ。
何とか挽回せんと、異世界からやって来たロリなんて不名誉な噂が広まりかねん。

「リーンが不安がってたから、相談に乗ってただけだ。変な想像は止めろ」

「ふーん」

俺の言葉をあんまり信じていないのか、疑りの眼差しをテアは俺に向ける。
おのれ糞ガキめ。
信じる者は救われるという言葉を知らんのか。

「ぷっ……冗談よ。本当にいかがわしい事する気なら、部屋の扉を開けっぱなしになんてしないでしょうからね」

リーンは育った環境的に教育が行き届いていないのか、少々行儀が悪い所がある。
部屋の扉を閉めない行動は褒められた事ではないが、今回はそれに救われた様だ。
感謝しないとな。

ん?いや待てよ。
そもそも扉が閉まってたら見られてなかったんだよな?
そう考えると、やっぱ別に感謝はする必要は無いか。

まあ取り敢えず、王族云々抜きにしてもリーンには最低限のマナーは叩き込んでおかんといかんな。

「リーン。此処にいる人間は貴方が王族だろうと、態度を変える様な人間じゃないわ。安心しなさい」

テアはリーンに向かってにっこりと微笑む。
そしてその右手を伸ばす。

「え?あの……」

「この天才魔導士である私が、貴方の友達になってあげる」

「あ……ありがとう」

照れ臭そうに、リーンは差し伸べられた手を握る。
テアを見ると此方にウィンクして来た。

成程……これが母親を助けて貰ったお礼って訳か。

どうやら彼女は、リーンの相談相手になってくれる様だ。
不安を抱えているリーンにとって、俺よりも年の近い彼女の方が話しやすい事も多いだろう。

しかし……俺を脅して引き入れた時も思ったけど、こいつ年の割にかなり大人びてるよな。
どんな人生を送って来たんだろうか?

まあ多少その事は気になるが、今は素直に感謝するとしよう。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

天職が『盗賊』という理由で追放されました。盗みを極めし男はやがて魔王と呼ばれる

こたろう文庫
ファンタジー
王国の勇者召喚により異世界に連れてこられた中学生30人。 その中の1人である石川真央の天職は『盗賊』だった。 盗賊は処刑だという理不尽な王国の法により、真央は追放という名目で凶悪な魔物が棲まう樹海へと転移させられてしまう。 そこで出会った真っ黒なスライム。 真央が使える唯一のスキルである『盗む』を使って盗んだのはまさかの・・・

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした

コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。 クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。 召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。 理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。 ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。 これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。

家の庭にレアドロップダンジョンが生えた~神話級のアイテムを使って普通のダンジョンで無双します~

芦屋貴緒
ファンタジー
売れないイラストレーターである里見司(さとみつかさ)の家にダンジョンが生えた。 駆除業者も呼ぶことができない金欠ぶりに「ダンジョンで手に入れたものを売ればいいのでは?」と考え潜り始める。 だがそのダンジョンで手に入るアイテムは全て他人に譲渡できないものだったのだ。 彼が財宝を鑑定すると驚愕の事実が判明する。 経験値も金にもならないこのダンジョン。 しかし手に入るものは全て高ランクのダンジョンでも入手困難なレアアイテムばかり。 ――じゃあ、アイテムの力で強くなって普通のダンジョンで稼げばよくない?

成長率マシマシスキルを選んだら無職判定されて追放されました。~スキルマニアに助けられましたが染まらないようにしたいと思います~

m-kawa
ファンタジー
第5回集英社Web小説大賞、奨励賞受賞。書籍化します。 書籍化に伴い、この作品はアルファポリスから削除予定となりますので、あしからずご承知おきください。 【第七部開始】 召喚魔法陣から逃げようとした主人公は、逃げ遅れたせいで召喚に遅刻してしまう。だが他のクラスメイトと違って任意のスキルを選べるようになっていた。しかし選んだ成長率マシマシスキルは自分の得意なものが現れないスキルだったのか、召喚先の国で無職判定をされて追い出されてしまう。 一方で微妙な職業が出てしまい、肩身の狭い思いをしていたヒロインも追い出される主人公の後を追って飛び出してしまった。 だがしかし、追い出された先は平民が住まう街などではなく、危険な魔物が住まう森の中だった! 突如始まったサバイバルに、成長率マシマシスキルは果たして役に立つのか! 魔物に襲われた主人公の運命やいかに! ※小説家になろう様とカクヨム様にも投稿しています。 ※カクヨムにて先行公開中

クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される

こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる 初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。 なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています こちらの作品も宜しければお願いします [イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】

一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。 追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。 無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。 そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード! 異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。 【諸注意】 以前投稿した同名の短編の連載版になります。 連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。 なんでも大丈夫な方向けです。 小説の形をしていないので、読む人を選びます。 以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。 disりに見えてしまう表現があります。 以上の点から気分を害されても責任は負えません。 閲覧は自己責任でお願いします。 小説家になろう、pixivでも投稿しています。

処理中です...