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第79話 プレゼント
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帝真の所有するビルの一つ。
地上30階建てのその高層ビルの地下駐車へと車が入っていく。
「でっかいビルだな」
運転しているのは、鹵獲した高梨という男だ。
足の車も、その男が見張りに使用していた物を使っている。
飛んで行くと悪目立ちしかねないからな。
「これでただの支部とか……余程あくどい事をして稼いでるんだろうな、お前らは」
「わ、私はその……ひ、比較的最近入ったばかりでして……見張り以外の仕事はほとんどしてないと言いましょうか……」
俺の言葉に、高梨がぶるぶる震えながら言い訳臭い言葉を口にする。
別に責めた訳ではなく、単に思った事を口にしただけなのだが、奴には脅しか何かに聞こえた様だ。
ま、一々訂正はしないけどな。
「つ、着きました」
役員専用のスペースに車がとまる。
そのすぐ近くにはカードセキュリティーのある分厚い扉があり、その先にはこれまた役員専用のエレベーターがあった。
それに乗り――
「ご案内したします」
――エレベーターで25階につくと、待ってましたとばかりに黒服二人が俺を出迎える。
両方もれなくゴツイ体格をしているので、おそらく警備の人間かなんかだろう。
「お前ら普通の人間か?」
「……」
ふと、ヘルハウンド達みたいな改造人間かと思って尋ねてみたが、返事は返ってこない。
ガン無視とか愛想の悪い奴らだ。
高梨の方に視線をやると、それに気づいた奴が激しく首を縦に振る。
どうやら改造人間の様だ。
「お連れしました」
通路の行き止まりにある扉の前まで案内され、黒服の一人がノックしてから返事を待たずにその扉を開いた。
彼らは返事はまたない派の様である。
まあどうでもいいが。
「ようこそ。安田孝仁さん」
案内された場所は、金のかかってそうな無駄に豪勢な造をしていた。
その中央には馬鹿デカイソファが置いてあり、そこに腰掛けたスーツを着たおっさんが笑顔で俺に声をかけて来る。
多分こいつが佐藤だろう。
まあ一応確認しておこう。
「あいつが佐藤か?」
俺は目の前の男ではなく、すぐ後ろにいる高梨に尋ねた。
佐藤の偽物の可能性もあるので、訪ねても嘘が返ってくる可能性がある。
その点、高梨は安心だ。
――嘘を吐いたら地獄が待っているのを知っているから。
「は、はい。そうです。あの方が佐藤常務です」
「ははは、騙したりはしないさ。安心してくれ。それより立ち話もなんだし、ソファにかけてくれ。直ぐにお茶も用意させよう。ああ、コーヒーや紅茶の方がいいかね?」
佐藤はどういう訳だかフレンドリーだ。
初対面で、しかも敵対している相手に温和に接して来るその態度は、胡散臭い事この上ない。
絶対何か企んでいるはず。
「飲み物は結構だ」
長居する気も、喉が渇くほど話をする気もない。
そもそも、敵対している相手の出す物を口にするなど論外だ。
……ま、俺には毒物とかは一切効かないけど。
それでも警戒するに越した事は無い。
「む、そうかね。まあ一応、お茶を用意させておくよ。佐古君。お客様にお茶を」
「はい」
佐藤の横に立っていた、秘書の様な女性が部屋から出て行く。
が――
「――っ!?あれ?」
――扉が開かず困惑する。
それもそのはずだ。
黒服の奴らが扉を閉めると同時に、口の中で唱えていた魔法でこの空間を封じ込めたのだから。
今現在、この部屋は出入りは勿論、音声なんかもシャットアウトされている。
「どうかしたのかね?」
「あの……扉が開かないんです」
「なんだって?」
佐藤は訳が分からないといった感じの反応だが、黒服二人は俺が何かしたと勘づいたのだろう。
素早く懐から大型の拳銃を取り出しかと思うと、見る間に熊っぽい毛むくじゃらの姿へと変わっていく。
どうやら熊タイプの改造人間の様だ。
そういや、結構強いらしいな。
熊って。
まあどうでもいい事ではあるが。
「な!?お前達なにをしている!?」
「こいつが何かしたはずです!」
「攻撃許可を!」
佐藤の背後にいた一人が跳躍してテーブルの上に乗り、此方へと銃口を向ける。
そして背後にいたもう一人が、俺の後頭部に向かって銃口を突きつけた。
勘もいいし、護衛としては中々良いんじゃないか。
ただ一つ難点を上げるなら、彼らの手にしてる武器じゃ俺には全く通用しない事だ。
ヘルハウンドが同じ武器を使って掠り傷一つ付けられなかったのに、なぜそれが通用すると思うのか?
ひょっとして、俺の纏っていた闇が防御機能だと勘違いしてる?
あれ、防御性能0なんだが。
「この二人がそう言ってますが……安田さん、何かされたのですか?」
こんな状況でも、佐藤はソファから立ち上がる事もなくそのまま話しかけて来る。
こいつ、この二人ならやれるとか本気で考えてそうだな。
「いやべつに。ただちょっとこの部屋を封印させて貰っただけだ」
「……どうしてそんな真似を?お伺いしても宜しいですか?」
百聞は一見に如かずという。
口で言うより行動した方が早いだろう。
そう思った俺は素早く立ち上がり、背後の熊に裏拳をかます。
そして正面の熊には、首に水平チョップを。
この間、だいたい0.001秒ぐらい。
背後の熊の頭部が吹き飛び。
テーブルの上に立っていた熊の首がポーンと刎ね飛ぶ。
そして二人の体は血を吹き出しながら、その場に崩れ落ちた。
「ひ、ひぃぃ……」
「きゃああああ!!」
その様を目の当たりにし、佐藤と秘書が悲鳴を上げる。
まあこれで、俺の大体の目的は分かって貰えただろう。
「さて――」
俺は再びソファに座り、懐から改良型タリスマンを取り出す。
「実は、今日はプレゼントがあってやって来たんだ」
そしてそれを佐藤に見せ、笑顔でそう告げた。
地上30階建てのその高層ビルの地下駐車へと車が入っていく。
「でっかいビルだな」
運転しているのは、鹵獲した高梨という男だ。
足の車も、その男が見張りに使用していた物を使っている。
飛んで行くと悪目立ちしかねないからな。
「これでただの支部とか……余程あくどい事をして稼いでるんだろうな、お前らは」
「わ、私はその……ひ、比較的最近入ったばかりでして……見張り以外の仕事はほとんどしてないと言いましょうか……」
俺の言葉に、高梨がぶるぶる震えながら言い訳臭い言葉を口にする。
別に責めた訳ではなく、単に思った事を口にしただけなのだが、奴には脅しか何かに聞こえた様だ。
ま、一々訂正はしないけどな。
「つ、着きました」
役員専用のスペースに車がとまる。
そのすぐ近くにはカードセキュリティーのある分厚い扉があり、その先にはこれまた役員専用のエレベーターがあった。
それに乗り――
「ご案内したします」
――エレベーターで25階につくと、待ってましたとばかりに黒服二人が俺を出迎える。
両方もれなくゴツイ体格をしているので、おそらく警備の人間かなんかだろう。
「お前ら普通の人間か?」
「……」
ふと、ヘルハウンド達みたいな改造人間かと思って尋ねてみたが、返事は返ってこない。
ガン無視とか愛想の悪い奴らだ。
高梨の方に視線をやると、それに気づいた奴が激しく首を縦に振る。
どうやら改造人間の様だ。
「お連れしました」
通路の行き止まりにある扉の前まで案内され、黒服の一人がノックしてから返事を待たずにその扉を開いた。
彼らは返事はまたない派の様である。
まあどうでもいいが。
「ようこそ。安田孝仁さん」
案内された場所は、金のかかってそうな無駄に豪勢な造をしていた。
その中央には馬鹿デカイソファが置いてあり、そこに腰掛けたスーツを着たおっさんが笑顔で俺に声をかけて来る。
多分こいつが佐藤だろう。
まあ一応確認しておこう。
「あいつが佐藤か?」
俺は目の前の男ではなく、すぐ後ろにいる高梨に尋ねた。
佐藤の偽物の可能性もあるので、訪ねても嘘が返ってくる可能性がある。
その点、高梨は安心だ。
――嘘を吐いたら地獄が待っているのを知っているから。
「は、はい。そうです。あの方が佐藤常務です」
「ははは、騙したりはしないさ。安心してくれ。それより立ち話もなんだし、ソファにかけてくれ。直ぐにお茶も用意させよう。ああ、コーヒーや紅茶の方がいいかね?」
佐藤はどういう訳だかフレンドリーだ。
初対面で、しかも敵対している相手に温和に接して来るその態度は、胡散臭い事この上ない。
絶対何か企んでいるはず。
「飲み物は結構だ」
長居する気も、喉が渇くほど話をする気もない。
そもそも、敵対している相手の出す物を口にするなど論外だ。
……ま、俺には毒物とかは一切効かないけど。
それでも警戒するに越した事は無い。
「む、そうかね。まあ一応、お茶を用意させておくよ。佐古君。お客様にお茶を」
「はい」
佐藤の横に立っていた、秘書の様な女性が部屋から出て行く。
が――
「――っ!?あれ?」
――扉が開かず困惑する。
それもそのはずだ。
黒服の奴らが扉を閉めると同時に、口の中で唱えていた魔法でこの空間を封じ込めたのだから。
今現在、この部屋は出入りは勿論、音声なんかもシャットアウトされている。
「どうかしたのかね?」
「あの……扉が開かないんです」
「なんだって?」
佐藤は訳が分からないといった感じの反応だが、黒服二人は俺が何かしたと勘づいたのだろう。
素早く懐から大型の拳銃を取り出しかと思うと、見る間に熊っぽい毛むくじゃらの姿へと変わっていく。
どうやら熊タイプの改造人間の様だ。
そういや、結構強いらしいな。
熊って。
まあどうでもいい事ではあるが。
「な!?お前達なにをしている!?」
「こいつが何かしたはずです!」
「攻撃許可を!」
佐藤の背後にいた一人が跳躍してテーブルの上に乗り、此方へと銃口を向ける。
そして背後にいたもう一人が、俺の後頭部に向かって銃口を突きつけた。
勘もいいし、護衛としては中々良いんじゃないか。
ただ一つ難点を上げるなら、彼らの手にしてる武器じゃ俺には全く通用しない事だ。
ヘルハウンドが同じ武器を使って掠り傷一つ付けられなかったのに、なぜそれが通用すると思うのか?
ひょっとして、俺の纏っていた闇が防御機能だと勘違いしてる?
あれ、防御性能0なんだが。
「この二人がそう言ってますが……安田さん、何かされたのですか?」
こんな状況でも、佐藤はソファから立ち上がる事もなくそのまま話しかけて来る。
こいつ、この二人ならやれるとか本気で考えてそうだな。
「いやべつに。ただちょっとこの部屋を封印させて貰っただけだ」
「……どうしてそんな真似を?お伺いしても宜しいですか?」
百聞は一見に如かずという。
口で言うより行動した方が早いだろう。
そう思った俺は素早く立ち上がり、背後の熊に裏拳をかます。
そして正面の熊には、首に水平チョップを。
この間、だいたい0.001秒ぐらい。
背後の熊の頭部が吹き飛び。
テーブルの上に立っていた熊の首がポーンと刎ね飛ぶ。
そして二人の体は血を吹き出しながら、その場に崩れ落ちた。
「ひ、ひぃぃ……」
「きゃああああ!!」
その様を目の当たりにし、佐藤と秘書が悲鳴を上げる。
まあこれで、俺の大体の目的は分かって貰えただろう。
「さて――」
俺は再びソファに座り、懐から改良型タリスマンを取り出す。
「実は、今日はプレゼントがあってやって来たんだ」
そしてそれを佐藤に見せ、笑顔でそう告げた。
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