44 / 83
第44話 ジャンプ
しおりを挟む
恒常的に地下三階に通じるエレベーターは二つ。
一つは関係者用で、降りてきた5人はこれを使っている。
そしてもう一つはVIP用。
要は患者を運ぶための物だ。
まあそれ以外のエレベーターも緊急時用に繋がってはいる様だが、通常はロックされているので、俺の様に吹っ飛ばして下にでも降りない限りそれを使っての昇降は出来ない。
「このエレベーターを一旦降りて、乗り換えなきゃならない訳か」
今乗っているのは関係者用の物で、どうやらそれからでは直接医院長のいる場所には行けない様だった。
エレベーターが6階で止まり、扉が開くと――
「出迎えご苦労さん」
作業着姿の男5人が出待ちしていた。
その手には拳銃が握られており、その銃口は当然の様に俺に向けられている。
こうやって盛大に出迎えられたのは、地下三階に行った人間から連絡がない状態でエレベーターが上がって来たからだろう。
まあもしくは……地下三階には無かった監視カメラが、職員用のエレベーターにはついていたか、である。
まあどっちでもいいが。
「テメェ……何もんだ」
手前の男が質問して来るが、それを無視して俺は動いた。
普通の人間じゃ俺の動きを捉える事も出来ないので、全員の両腕を一瞬でへし折ってやる。
「ぎゃあ!」
「がぁぁぁ……」
「あぐぅぅぅ……」
「後で答えてやるから今は寝とけ」
そして魔法で眠らせ、そいつらを全員亜空間へと放り込んだ。
因みに、魔法はもう隠す気はない。
この世界に普通に存在している物だからだ。
……映像に残らなくても、魔法を使える奴なら痕跡ですぐに気づくだろうし。
なので隠す意味は薄い。
まあ重要なのは誰が使ったのかって点なので、そこにだけ気をつけて追跡出来ない様にしておけば問題ないだろう。
「これで7人……後2人か」
ここで5人。
地下で2人。
常駐している裏の保安要員は全部で9人らしいので、残りは2人だ。
後ろ暗い事をしているだけあって、無駄に警備の数が多い。
因みに最初の看護師三人は銃を持ってこそいたが、純粋なここの職員だそうだ。
チラリと連れて来た男の方に視線をやると――
「……」
まるで魂の抜けた様な顔をしていた。
きっと上の連中が俺をどうにかしてくれると、一縷の望みでもかけていたのだろう。
残念だったな。
「おい、ぼーっとするな?さっさと案内しろ。それとも……拷問のお代わりがいいか?」
「ひ、ひぃぃぃぃ……い、医院長は……この上の7階です!」
男が通路の奥を指さす。
奥は曲がり角になっていて、そこを道なりに進んだらエレベーターがあるのだろう。
そう思って歩き出そうとして――
「まあ一つ上なら、別にエレベーター使わなくてもいいよな」
――やっぱりやめる。
今更静かに進む意味も薄いしな……
「よっと」
「ひえぇっ!?」
俺は男の襟首を掴み、そのままジャンプする。
天井を突き破って上の階に乗り込むために。
そのさい、一応男は死なない様にカバーしておいた。
……コイツには、医院長の確認をさせないといけないからな。
ま、死んでも3秒ルール宜しく生き返らせばいいだけだけど。
死んで3分以内なら、俺の回復魔法でリスク無く蘇生できるし。
一つは関係者用で、降りてきた5人はこれを使っている。
そしてもう一つはVIP用。
要は患者を運ぶための物だ。
まあそれ以外のエレベーターも緊急時用に繋がってはいる様だが、通常はロックされているので、俺の様に吹っ飛ばして下にでも降りない限りそれを使っての昇降は出来ない。
「このエレベーターを一旦降りて、乗り換えなきゃならない訳か」
今乗っているのは関係者用の物で、どうやらそれからでは直接医院長のいる場所には行けない様だった。
エレベーターが6階で止まり、扉が開くと――
「出迎えご苦労さん」
作業着姿の男5人が出待ちしていた。
その手には拳銃が握られており、その銃口は当然の様に俺に向けられている。
こうやって盛大に出迎えられたのは、地下三階に行った人間から連絡がない状態でエレベーターが上がって来たからだろう。
まあもしくは……地下三階には無かった監視カメラが、職員用のエレベーターにはついていたか、である。
まあどっちでもいいが。
「テメェ……何もんだ」
手前の男が質問して来るが、それを無視して俺は動いた。
普通の人間じゃ俺の動きを捉える事も出来ないので、全員の両腕を一瞬でへし折ってやる。
「ぎゃあ!」
「がぁぁぁ……」
「あぐぅぅぅ……」
「後で答えてやるから今は寝とけ」
そして魔法で眠らせ、そいつらを全員亜空間へと放り込んだ。
因みに、魔法はもう隠す気はない。
この世界に普通に存在している物だからだ。
……映像に残らなくても、魔法を使える奴なら痕跡ですぐに気づくだろうし。
なので隠す意味は薄い。
まあ重要なのは誰が使ったのかって点なので、そこにだけ気をつけて追跡出来ない様にしておけば問題ないだろう。
「これで7人……後2人か」
ここで5人。
地下で2人。
常駐している裏の保安要員は全部で9人らしいので、残りは2人だ。
後ろ暗い事をしているだけあって、無駄に警備の数が多い。
因みに最初の看護師三人は銃を持ってこそいたが、純粋なここの職員だそうだ。
チラリと連れて来た男の方に視線をやると――
「……」
まるで魂の抜けた様な顔をしていた。
きっと上の連中が俺をどうにかしてくれると、一縷の望みでもかけていたのだろう。
残念だったな。
「おい、ぼーっとするな?さっさと案内しろ。それとも……拷問のお代わりがいいか?」
「ひ、ひぃぃぃぃ……い、医院長は……この上の7階です!」
男が通路の奥を指さす。
奥は曲がり角になっていて、そこを道なりに進んだらエレベーターがあるのだろう。
そう思って歩き出そうとして――
「まあ一つ上なら、別にエレベーター使わなくてもいいよな」
――やっぱりやめる。
今更静かに進む意味も薄いしな……
「よっと」
「ひえぇっ!?」
俺は男の襟首を掴み、そのままジャンプする。
天井を突き破って上の階に乗り込むために。
そのさい、一応男は死なない様にカバーしておいた。
……コイツには、医院長の確認をさせないといけないからな。
ま、死んでも3秒ルール宜しく生き返らせばいいだけだけど。
死んで3分以内なら、俺の回復魔法でリスク無く蘇生できるし。
484
お気に入りに追加
944
あなたにおすすめの小説
新しい聖女が見付かったそうなので、天啓に従います!
月白ヤトヒコ
ファンタジー
空腹で眠くて怠い中、王室からの呼び出しを受ける聖女アルム。
そして告げられたのは、新しい聖女の出現。そして、暇を出すから還俗せよとの解雇通告。
新しい聖女は公爵令嬢。そんなお嬢様に、聖女が務まるのかと思った瞬間、アルムは眩い閃光に包まれ――――
自身が使い潰された挙げ句、処刑される未来を視た。
天啓です! と、アルムは――――
表紙と挿し絵はキャラメーカーで作成。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

豊穣の巫女から追放されたただの村娘。しかし彼女の正体が予想外のものだったため、村は彼女が知らないうちに崩壊する。
下菊みこと
ファンタジー
豊穣の巫女に追い出された少女のお話。
豊穣の巫女に追い出された村娘、アンナ。彼女は村人達の善意で生かされていた孤児だったため、むしろお礼を言って笑顔で村を離れた。その感謝は本物だった。なにも持たない彼女は、果たしてどこに向かうのか…。
小説家になろう様でも投稿しています。

婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています

もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。

傍観している方が面白いのになぁ。
志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」
とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。
その彼らの様子はまるで……
「茶番というか、喜劇ですね兄さま」
「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」
思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。
これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。
「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる