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第9話 拷問②

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奴らの話では、誰にも映像自体は見せていないそうだ。
悪事の証拠となる映像が拡散すれば、自分達の身が危うくなるのだから当然の事ではある。



だがこいつらはふざけた事を平然とやってのける、救いようのない屑達だ。
一般的な考えを当てはめるのは余りにも危険である。

「さて……じゃあ情報の真偽を確かめるとしようか」

「な、何を……ぎゃあああ!!」

俺は一番軽傷だったあった畑って奴の指をへし折る。
右手の親指から順番に一本づつ、左手まで全部。
他の奴らに見せつける様に。

「う゛ぅぅぅ……いでぇよぉぉ……」

「さて、次は……」

両手の指を全部へし折った畑を離し、俺は他の奴らの方を見る。
当然、この拷問は全員に行う。

「な、なんで……聞かれた事にはちゃんと答えたじゃねぇかよぉ……」

「お前らの言葉は信じるに値しない」

それから30分ほど、俺は4人に対して拷問をおこなう。
やり方は至ってシンプル。
4人を防音付きの結界で区切り――口裏を合わさせないため――順番に拷問して周る。
そして弱ってきたら魔法で回復させ、拷問を再開するという感じだ。

回復魔法のある、異世界ならではの拷問方法。
これなら相手を死なせる心配なく甚振いたぶる事が出来るので、短時間で口を割らせる事が可能だ。

「ほ、本当にぃ……誰にも見せてませんぁ……だ、だから……た、助けてくださいぃ」

「本当なんですぅぅ……」

「赦してください……お願いしますから……お願いしますぅ……」

「お願いします……お願いします……」

拷問を終えると、全員が泣きながら懇願して来る。
映像は誰にも見せてないと一貫した答えだった訳だが――

「取り敢えずもう一回拷問だな」

――ひょっとしたら、4人は鋼の絆と意思で誰かを庇っている可能性がある。

……いやないとは思うけどさ。

山田の妹の人生がかかっている問題だからな。
万一の事を考えて、石橋を叩き割るぐらいの姿勢で行かないと。

異世界でも、拷問で情報を引き出してからその信憑性を高めるのに追加で拷問するのは基本だった。
追い拷問って奴である。
実際それで本当の情報を引き出せた事もあるので、結構重要だ。

「いやだぁ!いやだぁ!助けてくれぇ!!」

「許してください!許してください!!」

「ひぃぃぃぃぃぃぃ……」

「やめて……いやだぁぁぁぁぁ!!」

再び4人を区切り、改めて拷問を行う。
途中、何人かから誰それに映像を送ったって言葉が出たりもしたが、全て拷問を早く切り上げて貰おうと出した苦し紛れの嘘だった。

確認して嘘だったら、今の100倍苦しめて殺すって脅したら即座に撤回したからな。

この脅しは効果覿面だ。
俺には回復魔法があって、その気になればガチで100倍苦しめる事が出来るって事を、奴らは身をもって理解してる訳だからな。

「まあこれ以上は時間の無駄か……」

念を入れて2時間程続けたところで拷問を切り上げる。
流石にこれ以上は、何をやっても答えは変わらないだろう。

「ううぅぅぅぅ……」

「ひっく……ひっく……」

「家に帰してくれよぉ……」

「助けてぇ……」

拷問疲れと恐怖で彼らは半分放心状態で泣いているが、同情する気は微塵も起きなかった。

――何故なら、こいつらは反省などしていないからだ。

山田達の事を最初に聞いた時も。
拷問している最中も。
一貫して我が身可愛さの懇願だけで、彼らは一言たりとも二人に謝りはしなかった。

山田達に一言でも謝ってれば、命だけは助けてやってもと思ってはいたんだがな……
所詮は屑か。

「今楽にしてやる」

「へ?」

手刀で4人の首をほぼ同時に刎ね飛ばす。
何が起きたのか気づく間もなく、4人の頭は泣き顔のまま地面に転がった。

「来世があるなら、次はもう少し真面に生きる事を勧めるよ」

残された奴らの体が、大量の血を吹き出しながら倒れる。
血飛沫が飛んでくるが、闇がそれを全て飲み込んだ。

「死体はこのままここに……いや、そういやスマホにはGPS機能があるんだったっけか?」

つまり調べられれば、ここの位置は見つかってしまうと言う事だ。

「死体が見つかるのは宜しくないな」

俺に繋がる痕跡を残してはいないと思うが、万一と言う事もある。

「仕方ない」

俺は地面に手をつき、精霊魔法を使う。
地下深くに空洞を作る為に。

「深さは100メートル……いや、念のために200メートルにしとくか」

地下二百メートルに葬れば、運悪くその場所にトンネルでも通らない限り死体が発見される心配もないだろう。

足元が崩れ、俺と一緒に4人の死体が落下する。
地下200メートルまで。

「念のため、死体は灰にしとくか。メギド」

更に地獄から召喚した炎で、落下の衝撃でバラバラになった遺体を燃やす。
その際、用の無くなったスマホも一緒に燃やしておいた。

本気で使うと偉い事になるので最小の範囲と威力だったが、流石は地獄の炎である。
物の数秒で奴らの遺体は骨まで灰に変わる。

「まあこの世界の人間が脆いってのもあるか」

俺は飛行魔法で地下から脱出し、精霊魔法で地面を埋めて木に開けた穴も閉じる。

「科学技術でどこまで出来るのか知らないけど、流石にここから俺に辿り着く事はないだろう」

まあ高々人が4人が消えただけで、GPSが最後に示した場所を200メートルも掘り起こすとは思えない。
科学技術以前の問題か。

「さて、家に帰ろ」

山田への報告は明日の放課後でいいだろう。
その頃には、長友達の事もニュースにもなってるだろうし。
何せ部屋の内部が粉々になって、そこにいた4人がいなくなってる訳だからな。
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