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外伝 その王子と恋に落ちたら大変です 第四章 黄金竜の雛は愛しい番のためならば、全てを捧げる
第七話 変化(下)
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ユーリスは突如、目の前に現れた男の姿に驚いた。
そしてその男の双眸が、ウェイズリーと同じ黄金色の瞳であることに気が付き、ウェイズリーが成長した人の男の姿をとったのだと理解した。
「……ウェイズリー」
ウェイズリーであるその男は次の瞬間、ユーリスの身体を寝台に押し倒し、ユーリスの細身にのしかかった。
「!?」
驚くのはユーリスである。
ウェイズリーは左手で素早くユーリスの両手首を、ユーリスの頭の上で握って拘束する。
自分がやすやすとウェイズリーに押し倒され、強い力で押さえ付けられて抵抗出来なくなっていることに、ユーリスは驚いた。
「何をする、ウェイズリー」
見返すユーリスの顔のすぐ目の前に、ウェイズリーの顔があった。
それで、あの小さな子供姿のウェイズリーは、大人になるとこんな感じになるのかと、マジマジと見つめてしまった。精悍な若者の姿であった。今の姿はユーリスと同じくらいの年齢に見えた。しかし、体格はユーリスよりも遥かによく、片方の手だけで簡単にユーリスを押さえつけられる。
のしかかっているウェイズリーの黄金色の瞳が、暗闇の中で光っている。
「ユーリス、お前はずっと私に子供の姿でいろ、小さな竜の姿でいろと言った」
以前、ユーリスはウェイズリーに自分の暮らしている街を案内した。その時、陽の沈みかけた丘の上、小さな子供姿をとっていたウェイズリーは、愛しい番のユーリスからそう頼まれた。その時、ウェイズリーは内心、ショックを受けていた。
小さな姿のままなら、ずっと自分はユーリスの伴侶になれないではないかと。
それでも愛しいユーリスが望むなら、番の望むまま、小さな姿のままでそばにいようと思った。そして小さな竜の姿のウェイズリーを、小さな子供の姿のウェイズリーを、ユーリスは可愛がってくれた。それはそれで幸せだった。番が可愛がってくれて、そばに置いてくれるのだ。たとえ、それ以上の愛情がないとしても。
それでもその時は、それでいいと思ったのだ。
ウェイズリーはユーリスの頬に口づける。息がかかるほどお互いの顔が近かった。
「ユーリス、愛しているんだ」
ウェイズリーの右手が、ユーリスの太腿に掛けられ、脚の間にやられようとした時、ようやくユーリスは目の前の大人の男の姿になったウェイズリーが、自分に対して何を望んでいるのか理解した。
顔を強張らせる。
「……ウェイズリー、やめるんだ」
「ユーリス、お前は私の番だ。あの男のものではない」
「ウェイズリー!!!!」
強い口調で彼の名を呼ぶと、のしかかっていたウェイズリーは動きを止め、その黄金色の双眸でユーリスをじっと見つめ、そしてポタポタと涙を零し始めた。大粒の涙が、ユーリスの顔にかかる。
震える声が途切れ途切れ言う。
「どうして……どうして私では駄目なのだ」
「…………」
「こんなにもお前のことを愛しているのに。お前が望むなら、私はお前の望みを全て叶えてやろう。何でもいい。何でもいいのだ、ユーリス、言ってくれ。だから私を愛してくれ」
ウェイズリーに押さえ付けられた手首への力が緩み、ユーリスはウェイズリーの下で手の拘束が解かれた。ユーリスは泣き続けるウェイズリーの頬に手を掛け、眉を寄せ、言った。
苦しそうな表情で。
「すまない」
次の瞬間、ウェイズリーは小さな竜の姿に変わり、その竜はあっという間に窓の外へと飛び出して行ってしまった。
「ウェイズリー!!」
大粒の涙を零しながら、小さな黄金竜の雛は、暗い夜の空の向こうに飛んで行き、そして消えてしまったのだった。
そしてその男の双眸が、ウェイズリーと同じ黄金色の瞳であることに気が付き、ウェイズリーが成長した人の男の姿をとったのだと理解した。
「……ウェイズリー」
ウェイズリーであるその男は次の瞬間、ユーリスの身体を寝台に押し倒し、ユーリスの細身にのしかかった。
「!?」
驚くのはユーリスである。
ウェイズリーは左手で素早くユーリスの両手首を、ユーリスの頭の上で握って拘束する。
自分がやすやすとウェイズリーに押し倒され、強い力で押さえ付けられて抵抗出来なくなっていることに、ユーリスは驚いた。
「何をする、ウェイズリー」
見返すユーリスの顔のすぐ目の前に、ウェイズリーの顔があった。
それで、あの小さな子供姿のウェイズリーは、大人になるとこんな感じになるのかと、マジマジと見つめてしまった。精悍な若者の姿であった。今の姿はユーリスと同じくらいの年齢に見えた。しかし、体格はユーリスよりも遥かによく、片方の手だけで簡単にユーリスを押さえつけられる。
のしかかっているウェイズリーの黄金色の瞳が、暗闇の中で光っている。
「ユーリス、お前はずっと私に子供の姿でいろ、小さな竜の姿でいろと言った」
以前、ユーリスはウェイズリーに自分の暮らしている街を案内した。その時、陽の沈みかけた丘の上、小さな子供姿をとっていたウェイズリーは、愛しい番のユーリスからそう頼まれた。その時、ウェイズリーは内心、ショックを受けていた。
小さな姿のままなら、ずっと自分はユーリスの伴侶になれないではないかと。
それでも愛しいユーリスが望むなら、番の望むまま、小さな姿のままでそばにいようと思った。そして小さな竜の姿のウェイズリーを、小さな子供の姿のウェイズリーを、ユーリスは可愛がってくれた。それはそれで幸せだった。番が可愛がってくれて、そばに置いてくれるのだ。たとえ、それ以上の愛情がないとしても。
それでもその時は、それでいいと思ったのだ。
ウェイズリーはユーリスの頬に口づける。息がかかるほどお互いの顔が近かった。
「ユーリス、愛しているんだ」
ウェイズリーの右手が、ユーリスの太腿に掛けられ、脚の間にやられようとした時、ようやくユーリスは目の前の大人の男の姿になったウェイズリーが、自分に対して何を望んでいるのか理解した。
顔を強張らせる。
「……ウェイズリー、やめるんだ」
「ユーリス、お前は私の番だ。あの男のものではない」
「ウェイズリー!!!!」
強い口調で彼の名を呼ぶと、のしかかっていたウェイズリーは動きを止め、その黄金色の双眸でユーリスをじっと見つめ、そしてポタポタと涙を零し始めた。大粒の涙が、ユーリスの顔にかかる。
震える声が途切れ途切れ言う。
「どうして……どうして私では駄目なのだ」
「…………」
「こんなにもお前のことを愛しているのに。お前が望むなら、私はお前の望みを全て叶えてやろう。何でもいい。何でもいいのだ、ユーリス、言ってくれ。だから私を愛してくれ」
ウェイズリーに押さえ付けられた手首への力が緩み、ユーリスはウェイズリーの下で手の拘束が解かれた。ユーリスは泣き続けるウェイズリーの頬に手を掛け、眉を寄せ、言った。
苦しそうな表情で。
「すまない」
次の瞬間、ウェイズリーは小さな竜の姿に変わり、その竜はあっという間に窓の外へと飛び出して行ってしまった。
「ウェイズリー!!」
大粒の涙を零しながら、小さな黄金竜の雛は、暗い夜の空の向こうに飛んで行き、そして消えてしまったのだった。
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