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外伝 その王子と恋に落ちたら大変です 第一章 五番目の王子との学園時代
第二十四話 王子の兄王子達(下)
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シルヴェスターが、ユーリスの従者クラリオネから手紙を貰ったのは、ユーリスがクラリオネと共に、サイラス王子に連れられて王宮への馬車に乗せられる少し前のことだった。
クラリオネは、ユーリスがサイラス王子に連れられて王宮へ向かうことに若干の不安があり、何かあれば、恋人であるシルヴェスターが助けてくれるのではないかという虫の良い期待があってのことだった。
そしてシルヴェスターはすぐに、冒険者ダンカンを連れて王宮に渡り、ユーリスが連れて行かれた部屋へ向かって急ぎ歩いて行く。
その頃には、王宮に入り込んでいるバンクール商会に関係する女官や侍従達も、商会長の息子のユーリスが、どうも王宮の奥の部屋に、いつもハウル王子の悪さをする部屋に連れ込まれていることに気が付いて、慌ててバンクール商会に遣いを走らせたりしていた。
そんな中、シルヴェスターは奥の部屋へと足を踏み入れたのだった。
「シルヴェスター、顔を隠せ」
ダンカンが、部屋の中に押し入る前にシルヴェスターに布を一枚渡した。すでにダンカンは自分の顔を白い布を巻いて隠している。シルヴェスターも布を手早く自分の頭に巻いた。
急がないと、恋人がハウル王子の毒牙にかかってしまうと、シルヴェスターは必死の形相だった。
そして制止しようとする部屋前の護衛達を倒し、部屋の中に押し入った時、そこにユーリスの白い身体を今まさに開こうとしているサイラスの姿を見つけて、シルヴェスターは逆上したのだった。
「殺すなよ!!」
ダンカンはそう叫んだ。
そう言われなければ、シルヴェスターは一刀のもと、二人の王子を叩き斬っていただろう。
悲鳴を上げる二人の王子を蹴り倒し、殴りつけた。サイラスとハウルは、顔が腫れあがるまで拳で何度も何度も殴りつけられた。血塗れで昏倒する二人を見下ろし、すぐさまユーリスを抱き上げる。半裸の彼の身体に手早くシーツを巻き付けた。
そしてダンカンの指示の元、さっさと窓からシルヴェスターはユーリスを抱いたまま、王宮から逃げ出したのだった。
朦朧としたユーリスの様子を見て、ダンカンは言った。
「何か薬を盛られているな……クランで治療しよう」
王都のダンカンのクランにユーリスを運ぶ。そして奥の部屋の寝台で、診察した副クラン長フィアは「媚薬を盛られているね」とあっさり診断した。
それを聞いたシルヴェスターはギリリと奥歯を噛み締めた。
あの二人の王子は、ユーリスの意志を全く無視して、彼の身体を自由にしようとしたのだ。ダンカンに止められたが、やはり二人の王子をあの場で切り捨てるべきだったと後悔する。
フィアがユーリスの額にそっと手を触れさせるだけで、ユーリスは声を上げて身悶えしていた。
「可哀想に、かなり回っている状態だ。発散させてやらないと狂ってしまうよ」
視線をユーリスの腰にやると、彼の前はすでに立ち上がり、どうしようもない熱が身体に渦巻いて、苦しみ悶えていた。
「……シルヴェスター、お前の恋人だ。お前が相手をするんだな」
そう言って、ダンカンはフィアを連れて部屋からさっさと出ていってしまう。
ユーリスはハァハァと荒く息をついており、虚ろな目でいる。シルヴェスターはそんな彼の身体の上にのしかかった。ユーリスの青い目には安堵の光がある。やっとシルヴェスターが自分の目の前に現れてくれたと、その手を伸ばしてしがみついてくる。
「ヴィー」
「ユーリス」
何故、慎重で用心深いユーリスが、王宮へ渡り、あのようにサイラス王子とハウル王子に襲われていたのか分からない。ただ、ユーリスが無事で良かった。危うく彼を失ってしまうところだった。
口づけすると、ユーリスもまた自分から舌を絡め、シルヴェスターを強く求めてきた。
「ヴィー、早く、早くして」
日頃、そのようにせがむ言葉を口にすることの無い彼が、今は媚薬のせいですっかり発情して乱れ切っていた。ユーリスの前を扱くと、彼はすぐに達して精を迸らせる。彼はシルヴェスターに貫かれることを欲していた。後ろの蕾で達くことを、ユーリスは何度もシルヴェスターに教えられていた。その気持ち良さを身体が覚えていた。
脚を大きく広げ、自分から膝裏を持って、秘められた場所を露わにして男を促していた。
「早く、ヴィー」
「ああ、ユーリス待っておくれ」
腰を抱き上げ、そしてシルヴェスターが自身のそそり立った男根でゆっくりと貫いていくと、そのゾクゾクとする感覚に、ユーリスはすすり啼いた。
「ああああああああああ、ヴィー、ヴィー」
また触れもしないのに、前から放ってしまう。
シルヴェスターは焦らすように腰の動きを止めると、愛しい少年の耳元で囁いた。
「どうして王宮へ行ったんだ、ユーリス」
「いや、いやだ、挿れて、ヴィー」
狂乱したように腰を押し付けようとするユーリスの身体を止めて、シルヴェスターは尋ねた。どうしてもそのことを知りたかった。
ユーリスはポロポロと涙を青い瞳から零しながら、話し始めた。
「サイラスの、上の、王子に会って」
自分からハウル王子に会いに行ったのかと、怖い声でシルヴェスターが問い詰めると、ユーリスは頭をふるふると振った。泣きながら続ける。
「違う、違う。リチャード王子やアンリ王子に会って、ヴィーのことを……」
シルヴェスターは、たどたどしく、どこか幼い子供のように言うそのユーリスの言葉に、声を失った。
「取りなして、もらえたら……もっとシルヴェスターが」
王家で大切にしてもらえるかも知れない。ちゃんとシルヴェスターを認めてもらえるかも知れない。こんなに素晴らしい王子なのに、いつもみそっかすでいる彼を、ちゃんと。
ちゃんと認めてもらいたかった。
「ユーリス……」
シルヴェスターの碧い目が潤んだ。そしてユーリスの黒髪に触れ、そしてその額に口づけを落とす。それから、彼の望むまま、奥の奥まで、ゆっくりと満たすと、ユーリスはたちまち感極まって甘く声を上げた。身を震わせて絶頂している。
「いいんだよ、ユーリス」
もう、あの王家には何の望みも抱いていない。
それをユーリスは知らない。
どんなに望んでも、何も与えてくれることのなかった王家だった。
むしろ、奪うことしかしない。
現に今だって、彼は奪われようとしていた。
ユーリスさえいてくれればいい。
彼が幸せに、自分のそばで笑ってさえいてくれればいい。
たったそれだけしか望みはないのに。
どうしてその望みすらも叶わないのだろう。
クラリオネは、ユーリスがサイラス王子に連れられて王宮へ向かうことに若干の不安があり、何かあれば、恋人であるシルヴェスターが助けてくれるのではないかという虫の良い期待があってのことだった。
そしてシルヴェスターはすぐに、冒険者ダンカンを連れて王宮に渡り、ユーリスが連れて行かれた部屋へ向かって急ぎ歩いて行く。
その頃には、王宮に入り込んでいるバンクール商会に関係する女官や侍従達も、商会長の息子のユーリスが、どうも王宮の奥の部屋に、いつもハウル王子の悪さをする部屋に連れ込まれていることに気が付いて、慌ててバンクール商会に遣いを走らせたりしていた。
そんな中、シルヴェスターは奥の部屋へと足を踏み入れたのだった。
「シルヴェスター、顔を隠せ」
ダンカンが、部屋の中に押し入る前にシルヴェスターに布を一枚渡した。すでにダンカンは自分の顔を白い布を巻いて隠している。シルヴェスターも布を手早く自分の頭に巻いた。
急がないと、恋人がハウル王子の毒牙にかかってしまうと、シルヴェスターは必死の形相だった。
そして制止しようとする部屋前の護衛達を倒し、部屋の中に押し入った時、そこにユーリスの白い身体を今まさに開こうとしているサイラスの姿を見つけて、シルヴェスターは逆上したのだった。
「殺すなよ!!」
ダンカンはそう叫んだ。
そう言われなければ、シルヴェスターは一刀のもと、二人の王子を叩き斬っていただろう。
悲鳴を上げる二人の王子を蹴り倒し、殴りつけた。サイラスとハウルは、顔が腫れあがるまで拳で何度も何度も殴りつけられた。血塗れで昏倒する二人を見下ろし、すぐさまユーリスを抱き上げる。半裸の彼の身体に手早くシーツを巻き付けた。
そしてダンカンの指示の元、さっさと窓からシルヴェスターはユーリスを抱いたまま、王宮から逃げ出したのだった。
朦朧としたユーリスの様子を見て、ダンカンは言った。
「何か薬を盛られているな……クランで治療しよう」
王都のダンカンのクランにユーリスを運ぶ。そして奥の部屋の寝台で、診察した副クラン長フィアは「媚薬を盛られているね」とあっさり診断した。
それを聞いたシルヴェスターはギリリと奥歯を噛み締めた。
あの二人の王子は、ユーリスの意志を全く無視して、彼の身体を自由にしようとしたのだ。ダンカンに止められたが、やはり二人の王子をあの場で切り捨てるべきだったと後悔する。
フィアがユーリスの額にそっと手を触れさせるだけで、ユーリスは声を上げて身悶えしていた。
「可哀想に、かなり回っている状態だ。発散させてやらないと狂ってしまうよ」
視線をユーリスの腰にやると、彼の前はすでに立ち上がり、どうしようもない熱が身体に渦巻いて、苦しみ悶えていた。
「……シルヴェスター、お前の恋人だ。お前が相手をするんだな」
そう言って、ダンカンはフィアを連れて部屋からさっさと出ていってしまう。
ユーリスはハァハァと荒く息をついており、虚ろな目でいる。シルヴェスターはそんな彼の身体の上にのしかかった。ユーリスの青い目には安堵の光がある。やっとシルヴェスターが自分の目の前に現れてくれたと、その手を伸ばしてしがみついてくる。
「ヴィー」
「ユーリス」
何故、慎重で用心深いユーリスが、王宮へ渡り、あのようにサイラス王子とハウル王子に襲われていたのか分からない。ただ、ユーリスが無事で良かった。危うく彼を失ってしまうところだった。
口づけすると、ユーリスもまた自分から舌を絡め、シルヴェスターを強く求めてきた。
「ヴィー、早く、早くして」
日頃、そのようにせがむ言葉を口にすることの無い彼が、今は媚薬のせいですっかり発情して乱れ切っていた。ユーリスの前を扱くと、彼はすぐに達して精を迸らせる。彼はシルヴェスターに貫かれることを欲していた。後ろの蕾で達くことを、ユーリスは何度もシルヴェスターに教えられていた。その気持ち良さを身体が覚えていた。
脚を大きく広げ、自分から膝裏を持って、秘められた場所を露わにして男を促していた。
「早く、ヴィー」
「ああ、ユーリス待っておくれ」
腰を抱き上げ、そしてシルヴェスターが自身のそそり立った男根でゆっくりと貫いていくと、そのゾクゾクとする感覚に、ユーリスはすすり啼いた。
「ああああああああああ、ヴィー、ヴィー」
また触れもしないのに、前から放ってしまう。
シルヴェスターは焦らすように腰の動きを止めると、愛しい少年の耳元で囁いた。
「どうして王宮へ行ったんだ、ユーリス」
「いや、いやだ、挿れて、ヴィー」
狂乱したように腰を押し付けようとするユーリスの身体を止めて、シルヴェスターは尋ねた。どうしてもそのことを知りたかった。
ユーリスはポロポロと涙を青い瞳から零しながら、話し始めた。
「サイラスの、上の、王子に会って」
自分からハウル王子に会いに行ったのかと、怖い声でシルヴェスターが問い詰めると、ユーリスは頭をふるふると振った。泣きながら続ける。
「違う、違う。リチャード王子やアンリ王子に会って、ヴィーのことを……」
シルヴェスターは、たどたどしく、どこか幼い子供のように言うそのユーリスの言葉に、声を失った。
「取りなして、もらえたら……もっとシルヴェスターが」
王家で大切にしてもらえるかも知れない。ちゃんとシルヴェスターを認めてもらえるかも知れない。こんなに素晴らしい王子なのに、いつもみそっかすでいる彼を、ちゃんと。
ちゃんと認めてもらいたかった。
「ユーリス……」
シルヴェスターの碧い目が潤んだ。そしてユーリスの黒髪に触れ、そしてその額に口づけを落とす。それから、彼の望むまま、奥の奥まで、ゆっくりと満たすと、ユーリスはたちまち感極まって甘く声を上げた。身を震わせて絶頂している。
「いいんだよ、ユーリス」
もう、あの王家には何の望みも抱いていない。
それをユーリスは知らない。
どんなに望んでも、何も与えてくれることのなかった王家だった。
むしろ、奪うことしかしない。
現に今だって、彼は奪われようとしていた。
ユーリスさえいてくれればいい。
彼が幸せに、自分のそばで笑ってさえいてくれればいい。
たったそれだけしか望みはないのに。
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