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外伝
再会のために (2)
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長椅子に座ったアルバート王子の隣に座ったルーシェは、自分が淹れたお茶を飲みながら、こんなことを言い出した。
「リヨンネ先生は、シェーラに会ったら絶対になんか贈り物をあげている気がするんだ!!」
「…………そうだな」
巣に入るなり、そんなことを言われるとは思っていなかったアルバート王子は少し驚きながら頷く。
実際、黒竜シェーラが卵にまでその姿を戻す前は、黒竜シェーラの望むまま、リヨンネはせっせと彼女に貢ぎ物を捧げていたのだ。聞くところによると、王都のバンクール商会長ジャクセン(リヨンネの兄)を巻き込んで、わざわざ王都から流行のシェーラ好みのものを揃えて、彼女を満足させていたという。
あの当時、リヨンネはどこか遠い目をしてシェーラに仕えている様子もあった。だが、実際のところ、竜の生態学者で竜が大好きなリヨンネである。シェーラに仕えるのも本心嫌だということではなかったのだろうと思う。そして卵に戻り、そこから孵ったシェーラにもまた、彼女を喜ばせるために贈り物をしているだろうというルーシェの推測はあながち間違いではなかったのだ。
「俺さ、卵に戻る前のシェーラには、いつもしてもらうばかりで、俺から何かしてあげたことはなかったと思う。シェーラに、俺」
ルーシェはお茶を口にしながら、どこか小さな声で言った。
「俺、何もしてあげていなかったんだ」
黒竜シェーラは、小さな紫竜のことが大好きで、いつもその金色の瞳を輝かせてルーシェのことを見つめていた。
彼女はルーシェが危機にあると、必ず助けてくれた。
三番目の王子にエイベル副騎兵団長が連れて行かれた時だって、助けるために一緒に動いてくれた。この巣だって、黒竜シェーラのテリトリーにあるといって、紹介してくれた。
なのに自分は、ただシェーラのそばに、可愛い小さな竜としているだけで、何も彼女にしてあげたことはなかったのだ。
その事実に、どこかしょんぼりとしているルーシェの頭に、アルバート王子は優しく手を置いて、頭を撫でた。
「シェーラは、お前に見返りを求めてそういうことをしたのではないと思う」
そう。
彼女は、小さくて綺麗な可愛らしい紫竜が、自分のことを慕ってそばにいてくれることがただ嬉しかったのだ。もとから、何かルーシェがしてくれることを望んでいたわけではない。
「でも、俺、今度シェーラに会ったら、シェーラを喜ばせたいんだ!!」
そんなことを一生懸命、頬を紅潮させて言うルーシェ。
まじまじとそばにいる美しい少年姿のルーシェを見ながら、アルバート王子は内心独り言ちていた。
(もし黒竜シェーラが、以前のシェーラと同じ性癖を持っているのなら)
可愛いもの、綺麗なもの、キラキラと光るものが大好きだった黒竜シェーラ。
だからあの当時、宝石のように綺麗な紫竜ルーシェはシェーラの大のお気に入りだった。そもそも、彼女が助けに行った竜騎兵団副騎兵団長エイベルも、妖精のように美しい青年だった。
(ルーシェに会うだけで、充分黒竜シェーラは満たされると思うのだが)
アルバート王子はそう思う。
しかし、黒竜シェーラはルーシェに会うだけで満足するから、別に何もしなくていいということも、口に出して言うべきではない。こんなにルーシェはシェーラを慕っているのだ。何かしてあげたいという彼の気持ちを尊重すべきだろう。
「それで、お前はシェーラに何をしてあげたいと思っているんだ」
アルバート王子の問いかけにルーシェは目を伏せる。
「たぶん、リヨンネ先生は、もうすでにシェーラにはいっぱい、綺麗なものとか流行のものとか、キラキラ光るような、竜が好きなものを贈っていると思うんだ」
なにせリヨンネの実兄は、富豪で知られるバンクール商会長ジャクセンである。リヨンネから頼まれれば、ジャクセンは金に糸目をつけずにそうするだろうし、そう出来る財力があった。
「だから俺は、俺の得意なことでシェーラを喜ばせてあげたい」
「ああ」
「俺、料理が得意だろう!! シェーラに御馳走を作ってあげたいんだ!!」
目を輝かせてそう言う竜の化身の少年がとても健気で可愛く思えて、アルバート王子はチュッとルーシェの額に口づけ、その身を抱き寄せた。
「ルー、きっとシェーラは喜ぶだろう」
その頬に口づけを落とし、耳朶を食む。
ルーシェは熱く息を吐く。
愛しい伴侶の若者に触れられるだけで、体は彼を求めて熱くなり始めていた。
「ん……なにが、好きかな」
愛撫に身をゆだねたルーシェは、それに流されながらもたどたどしく問いかけて来る。アルバート王子は微笑みながら、ルーシェの纏う衣を下に落として、内から輝くような白い膚に口づけを落としていく。甘く舐めるとルーシェは身を震わせていた。
「お前が作るものは何でも美味しいが、小さな子供のシェーラなら、ホットケーキがいいのじゃないか。それか、ハンバーグか」
だが、快感に喘ぎ始めるルーシェに、アルバート王子の声は次第に届かなくなる。
そのことに気が付いたアルバート王子は「また後でゆっくりと話そう」と言うと、自身も服を脱ぎ捨て、長椅子の上にルーシェの身を倒して、本格的に愛し始めるのだった。
「リヨンネ先生は、シェーラに会ったら絶対になんか贈り物をあげている気がするんだ!!」
「…………そうだな」
巣に入るなり、そんなことを言われるとは思っていなかったアルバート王子は少し驚きながら頷く。
実際、黒竜シェーラが卵にまでその姿を戻す前は、黒竜シェーラの望むまま、リヨンネはせっせと彼女に貢ぎ物を捧げていたのだ。聞くところによると、王都のバンクール商会長ジャクセン(リヨンネの兄)を巻き込んで、わざわざ王都から流行のシェーラ好みのものを揃えて、彼女を満足させていたという。
あの当時、リヨンネはどこか遠い目をしてシェーラに仕えている様子もあった。だが、実際のところ、竜の生態学者で竜が大好きなリヨンネである。シェーラに仕えるのも本心嫌だということではなかったのだろうと思う。そして卵に戻り、そこから孵ったシェーラにもまた、彼女を喜ばせるために贈り物をしているだろうというルーシェの推測はあながち間違いではなかったのだ。
「俺さ、卵に戻る前のシェーラには、いつもしてもらうばかりで、俺から何かしてあげたことはなかったと思う。シェーラに、俺」
ルーシェはお茶を口にしながら、どこか小さな声で言った。
「俺、何もしてあげていなかったんだ」
黒竜シェーラは、小さな紫竜のことが大好きで、いつもその金色の瞳を輝かせてルーシェのことを見つめていた。
彼女はルーシェが危機にあると、必ず助けてくれた。
三番目の王子にエイベル副騎兵団長が連れて行かれた時だって、助けるために一緒に動いてくれた。この巣だって、黒竜シェーラのテリトリーにあるといって、紹介してくれた。
なのに自分は、ただシェーラのそばに、可愛い小さな竜としているだけで、何も彼女にしてあげたことはなかったのだ。
その事実に、どこかしょんぼりとしているルーシェの頭に、アルバート王子は優しく手を置いて、頭を撫でた。
「シェーラは、お前に見返りを求めてそういうことをしたのではないと思う」
そう。
彼女は、小さくて綺麗な可愛らしい紫竜が、自分のことを慕ってそばにいてくれることがただ嬉しかったのだ。もとから、何かルーシェがしてくれることを望んでいたわけではない。
「でも、俺、今度シェーラに会ったら、シェーラを喜ばせたいんだ!!」
そんなことを一生懸命、頬を紅潮させて言うルーシェ。
まじまじとそばにいる美しい少年姿のルーシェを見ながら、アルバート王子は内心独り言ちていた。
(もし黒竜シェーラが、以前のシェーラと同じ性癖を持っているのなら)
可愛いもの、綺麗なもの、キラキラと光るものが大好きだった黒竜シェーラ。
だからあの当時、宝石のように綺麗な紫竜ルーシェはシェーラの大のお気に入りだった。そもそも、彼女が助けに行った竜騎兵団副騎兵団長エイベルも、妖精のように美しい青年だった。
(ルーシェに会うだけで、充分黒竜シェーラは満たされると思うのだが)
アルバート王子はそう思う。
しかし、黒竜シェーラはルーシェに会うだけで満足するから、別に何もしなくていいということも、口に出して言うべきではない。こんなにルーシェはシェーラを慕っているのだ。何かしてあげたいという彼の気持ちを尊重すべきだろう。
「それで、お前はシェーラに何をしてあげたいと思っているんだ」
アルバート王子の問いかけにルーシェは目を伏せる。
「たぶん、リヨンネ先生は、もうすでにシェーラにはいっぱい、綺麗なものとか流行のものとか、キラキラ光るような、竜が好きなものを贈っていると思うんだ」
なにせリヨンネの実兄は、富豪で知られるバンクール商会長ジャクセンである。リヨンネから頼まれれば、ジャクセンは金に糸目をつけずにそうするだろうし、そう出来る財力があった。
「だから俺は、俺の得意なことでシェーラを喜ばせてあげたい」
「ああ」
「俺、料理が得意だろう!! シェーラに御馳走を作ってあげたいんだ!!」
目を輝かせてそう言う竜の化身の少年がとても健気で可愛く思えて、アルバート王子はチュッとルーシェの額に口づけ、その身を抱き寄せた。
「ルー、きっとシェーラは喜ぶだろう」
その頬に口づけを落とし、耳朶を食む。
ルーシェは熱く息を吐く。
愛しい伴侶の若者に触れられるだけで、体は彼を求めて熱くなり始めていた。
「ん……なにが、好きかな」
愛撫に身をゆだねたルーシェは、それに流されながらもたどたどしく問いかけて来る。アルバート王子は微笑みながら、ルーシェの纏う衣を下に落として、内から輝くような白い膚に口づけを落としていく。甘く舐めるとルーシェは身を震わせていた。
「お前が作るものは何でも美味しいが、小さな子供のシェーラなら、ホットケーキがいいのじゃないか。それか、ハンバーグか」
だが、快感に喘ぎ始めるルーシェに、アルバート王子の声は次第に届かなくなる。
そのことに気が付いたアルバート王子は「また後でゆっくりと話そう」と言うと、自身も服を脱ぎ捨て、長椅子の上にルーシェの身を倒して、本格的に愛し始めるのだった。
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