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第九章 春の訪れ

第十一話 結婚式の招待状(下)

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 遠い西南地域にいる友親宛の結婚式の招待状は、無事に彼の手元へ届いたようで、友親からの返事が届いた。彼からは「喜んで出席させて頂きます」という返事だった。
 ルーシェは嬉しくなって、近くにいたアルバート王子に飛びついていた。

「王子、友親から出席の返事が来たよ!!」

「その様子だと、トモチカ殿は出席してくれるのだな」

「うん!!」

 手紙を手にしたまま、ルーシェはアルバート王子に口づける。チュッと音を立てて口づけた後、彼は言った。

「前に会った時はちょっとしか話せなかったから、今回来てもらった時にはゆっくりと話せるといいな」

「そうだな」

 だが、そうは言っても、ルーシェは結婚式を挙げる身である。きっと慌ただしくてなかなか友親の相手が出来ないのではないかと内心アルバート王子は思っていた。そのことはルーシェも感じているようだった。でも、なんとか式が終わった後に、時間を作ってもらうつもりだった。

「友親が長くこっちにいてくれたらいいんだけど」

「仕事があるから、なかなか難しいだろうな」

 アルバート王子はルーシェの身を寝台の上に優しく押し倒し、その額に口づけた。

「そうなんだよね。あいつのカルフィー魔道具店は、すごく流行っているお店なんだよね。その店をトモチカには休んで来てもらうから、長くこっちにいて欲しいと思ってもなかなか難しいかな……」

 王子の手が、ルーシェの服の裾をまくり上げ、彼の敏感な場所に触れると、ルーシェは身を震わせ、そして黒い目を濡れたように輝かせていた。

「あ…………んん」

 白い膝を立たせ、そしてその足を左右に開かせる。
 前をやわやわとその手で愛でながらも、後ろの蕾を開かせようともう片方の指が入っていく。
 もはや話すどころではなくなり、ルーシェは目元を朱に染め、熱く息を吐き始めていた。
 節くれだった男の指をその部分で咥え込み、ルーシェは恥ずかしさと気持ちの良さに震えていた。

「アルバート……」

「悦くしてやるから、力を抜くんだ」

 彼の指が、深々と埋まりそしてルーシェの悦い場所ばかりに触れようとする。そしてもう一方の手は巧みにルーシェの男のモノを扱き始める。

「う……うう……ああん」

 堪えようとしても甘く声が漏れてしまう。全身にしっとりと汗で濡らし、ルーシェは紫色の髪を振り乱した。

「アルバートが欲しい。欲しいから」

 そうねだり始めるのを見て、アルバート王子はルーシェの唇に唇を重ね、そして自分も前を寛がせて男根を取り出した。すでに固く張り詰めているそれをルーシェのひくつく蕾に押し当てて、ゆっくりと挿入すると、極まったようにルーシェは身を引きつらせて達っていた。

 ぎゅっとアルバート王子の背に回された手が、彼をきつく抱きしめる。
 奥まで王子のモノがルーシェを深々と貫き、その気持ち良さに「ああ」とため息のような声を上げて、ルーシェは身をひくつかせて小さく達き続けていた。その背をなだめるように撫でながら、アルバート王子は言った。

「今回は結婚式に来てもらうことになるが、また何度でも、トモチカ殿と会う機会はあるだろう」

「うん」

 チュッとルーシェはアルバート王子の唇に口づけて頷く。そしてルーシェはこう言う。

「今回、本当ならあいつには、俺の立派でカッコいい竜の姿を見てもらいたかったんだけど……」

 “俺の立派でカッコいい竜の姿”というルーシェの言葉に、内心アルバート王子は吹き出していた。カッコいいというよりも、綺麗で優美という印象の方が強いルーシェの成竜姿である。以前、友親の手紙で“ちっこい竜”と散々連呼されたことが気に食わないのだろう。

「結婚式だから、仕方ない」

 ルーシェは、乱れた呼吸を整えながらそう言う。

「でも、今度呼ぶことがあったら、竜になった俺の背に乗せてやるんだ!!」

「そうだな。だが、その時はくれぐれも、いつも私にするようなことは止めておけ」

 アルバート王子を背に乗せて飛ぶ時、ルーシェは面白がって、空中でふいに飛ぶことを止めて、自由落下することがあるのだ。勿論、その背から大切な王子が落ちることがないように気を付けている。だがそれを友親に対してするとなれば、驚きと恐怖の余り、友親の心臓が止まってしまうのではないかと心配になるアルバート王子だった。

 そうしたアルバート王子の懸念に「友親にはああいうことはしないよ!! 大体そんなことをしたら、あいつの夫のカルフィーさんに、俺、殺されちゃうから!!」とルーシェはふるふると頭を振って必死に否定していたのだった。
 友親の夫である魔術師カルフィー(とその護衛ケイオス)が、友親を非常に大切にしていることをルーシェは知っていた。そんなことをしたら、間違いなく恐ろしい目に遭うと思うルーシェであった。
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