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[挿話]
勇者へのインタビュー (1)
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『週刊ダンジョン』は、『週刊冒険しようぜ!!』と並ぶ、ダンジョン情報誌である。
毎週月曜日発売の『週刊ダンジョン』には、お薦めダンジョンのドロップ情報や、ダン開美人買取カウンタースタッフ情報、ダンジョン近くのデートスポット情報など、節操が無いほどたくさんの情報を扱っている。
ただそこそこ売れているのは、やはりダンジョン開発推進機構(通称ダン開)から流される、そのドロップマップ情報が全ダンジョン分全て掲載されていることに尽きる。各ダンジョンにも無料でそれはマップ情報として置かれているのだが、そこは該当ダンジョン分だけの掲載であり、日本国内の七つのダンジョン全て掲載しているのは、『週刊ダンジョン』と『週刊冒険しようぜ!!』だけである。
二誌の間では、売上部数を巡って毎週のようにしのぎを削っているのだが、『週刊ダンジョン』が『週刊冒険しようぜ!!』よりも上だと編集部員達が少し鼻を高くしているのは、巻頭に必ず『今週のお薦め探索者』を掲載していることだった。これは創刊当時から続いているインタビュー記事で、今号のインタビュイーが、次号のインタビュイーを指定することになっている。名のあるインタビュイー探索者が続くと、売上も当然右肩上がりになっていく。
※インタビュイーはインタビューされる者を指す。
そして、直近のインタビュイー探索者が、悪戯心で指定した次号インタビュイーは、なんと自衛隊勇者の佐久間柚彦であった。
編集部内では当然、議論になった。
自衛隊員は、民間探索者ではない。
もちろん、探索者資格は当然保持している。そうでなければ、自衛隊所有の国内三つのダンジョンに潜ることが許されていないためだ
だが、民間探索者ではない自衛隊探索者のインタビューを、記事として載せることはどうだろうか。
ちなみに編集長は「ありだ」と明言した。
編集部員達は単純に「部数売上が見込めるからそう言っている」と思った。
編集長にとって、販売部数上昇こそが正義である。
過去、国営放送で自衛隊探索者の活動を紹介するものや隊員インタビューは放送されたことがあった。
唯一の“勇者”称号を持つ稀少な自衛隊勇者の民間雑誌のインタビューを、自衛隊広報課が許すだろうか。
昨年マスコミが、自衛隊勇者佐久間柚彦を、新橋ダンジョン隊員石化事件において、執拗に叩いたことから、一時期、自衛隊とマスコミの間には隙間風が吹いたところがある。
とはいえ、挑戦する価値がある。
編集長は、インタビュー担当者と共に、平身低頭の様子で、自衛隊広報課に、佐久間柚彦のインタビュー取材の申し込みをしに足を運んだのであった。
毎週月曜日発売の『週刊ダンジョン』には、お薦めダンジョンのドロップ情報や、ダン開美人買取カウンタースタッフ情報、ダンジョン近くのデートスポット情報など、節操が無いほどたくさんの情報を扱っている。
ただそこそこ売れているのは、やはりダンジョン開発推進機構(通称ダン開)から流される、そのドロップマップ情報が全ダンジョン分全て掲載されていることに尽きる。各ダンジョンにも無料でそれはマップ情報として置かれているのだが、そこは該当ダンジョン分だけの掲載であり、日本国内の七つのダンジョン全て掲載しているのは、『週刊ダンジョン』と『週刊冒険しようぜ!!』だけである。
二誌の間では、売上部数を巡って毎週のようにしのぎを削っているのだが、『週刊ダンジョン』が『週刊冒険しようぜ!!』よりも上だと編集部員達が少し鼻を高くしているのは、巻頭に必ず『今週のお薦め探索者』を掲載していることだった。これは創刊当時から続いているインタビュー記事で、今号のインタビュイーが、次号のインタビュイーを指定することになっている。名のあるインタビュイー探索者が続くと、売上も当然右肩上がりになっていく。
※インタビュイーはインタビューされる者を指す。
そして、直近のインタビュイー探索者が、悪戯心で指定した次号インタビュイーは、なんと自衛隊勇者の佐久間柚彦であった。
編集部内では当然、議論になった。
自衛隊員は、民間探索者ではない。
もちろん、探索者資格は当然保持している。そうでなければ、自衛隊所有の国内三つのダンジョンに潜ることが許されていないためだ
だが、民間探索者ではない自衛隊探索者のインタビューを、記事として載せることはどうだろうか。
ちなみに編集長は「ありだ」と明言した。
編集部員達は単純に「部数売上が見込めるからそう言っている」と思った。
編集長にとって、販売部数上昇こそが正義である。
過去、国営放送で自衛隊探索者の活動を紹介するものや隊員インタビューは放送されたことがあった。
唯一の“勇者”称号を持つ稀少な自衛隊勇者の民間雑誌のインタビューを、自衛隊広報課が許すだろうか。
昨年マスコミが、自衛隊勇者佐久間柚彦を、新橋ダンジョン隊員石化事件において、執拗に叩いたことから、一時期、自衛隊とマスコミの間には隙間風が吹いたところがある。
とはいえ、挑戦する価値がある。
編集長は、インタビュー担当者と共に、平身低頭の様子で、自衛隊広報課に、佐久間柚彦のインタビュー取材の申し込みをしに足を運んだのであった。
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