俺の大好きな聖女ちゃんが腐女子で、現世まで追いかけてきた竜騎士とくっつけようと画策しているらしい

第二章 現世ダンジョン編 ～異世界から連れ戻された勇者は、竜騎士からの愛に戸惑う～

プロローグ ～林原麗子の視点より

「聖女ちゃん!!」

　彼は現れるなり、そう叫んで私に抱き着いてきた。



　西野光

　かつて異世界で“勇者”と呼ばれ、魔王を倒した少年。
　そして現世では異形の化け物達を退治した少年。
　それから彼は、人と違う力を持つがゆえに、追われるように異世界へと渡ったのだ。
　
　赤い髪をした彼と一緒に。


　微笑みを浮かべながらも、不機嫌そうな空気を漂わせるという器用なことをしながら、ゼノン君は光君の後ろから現れた。

「レイコ、久しぶりです」

　そう、久しぶりだった。
　異世界へ渡った勇者君こと西野光と、竜騎士のゼノン君と会うことは。
　彼らとは二度と会えないかも知れないと思っていたから、嬉しくてたまらない。
　
　私もぎゅっと光君を抱き締め返すと、一気にゼノン君から黒いオーラが膨れ上がった気がしたが、構いやしないと思った。だって、だって本当に久しぶりだったのだもの。

　光君は私に抱きしめられ、ひどく嬉しそうな笑顔を見せながらも、彼はキツイ一言を言った。

「あれ……麗子ちゃん、老けた？」

　思わず私は光君をどついていた。