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第一章 俺の大好きな聖女ちゃんが腐女子で、現世まで追いかけてきた竜騎士とくっつけようと画策しているらしい
第33話 のんびり暮らしたい
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「なんかね、視線を感じるんだよね」
ゼノンの言葉に俺はうなずいた。
「わかる」
学校での昼休み、俺はいつもの踊り場でゼノンや麗子ちゃんと話していた。
「視線?」
麗子ちゃんはこてっと首を傾げている。
美少女がやるとかわいいな! こいつわかっててやっているなら、あざといぞ。
「そう。ずーと観察されている感じ。朝、学校へ来てから、帰るときも見ている感じだよな」
俺がそう言うと、ゼノンもため息まじりに言った。
「そうだね。見張られているとなると、正直やりにくいね」
「……ということは、私達が警察とか自衛隊にマークされているということ? ずっと?」
「そうだよ」
「えええ? 本当に? 身バレしないように気を付けていたのに」
麗子ちゃんは非常に困惑したように言う。
「いつかはバレると思っていたよ」
ゼノンが階段に座る俺の横に座った。
「今は監視カメラも街のいたるところについているしね。“勇者君が岩を斬るよ”の勇者君だって、迎えの車の後をずっと追っていけば、僕らに辿り着くよね」
「…………じゃあどうするの?」
麗子ちゃんは戸惑ったような声をあげた。
ゼノンは俺の横で、俺の目をじっと見ながら聞いてきた。
「そう、だから、ヒカル。君に聞きたい。君はどうしたい?」
「のんびり暮らしたい」
俺はキッパリとそう言った。
そう、異世界で勇者として活躍した俺は、その後はまぁ適当に幸せに暮らしたかった。
現世でごろごろしながら、コーラ飲んでポテチつまんで、ゲームをして暮らしたい。
毎日ごろごろしたい!
「それって……ニート……ごほんごほん」
慌ててごまかすように、麗子ちゃんが咳き込んでいる。
聞こえてるよ!!
「そうか。でもそれって異世界でもやろうと思えばできるよ」
「え?……マジ?」
「ほら、魔法使いの秋元さん。彼はこの世界から異世界に定期的にモノを運んでいるらしい。電気も魔法で作って、奥さんと一緒にゲームをやっているって聞いたよ」
「マジで!!!!」
俺は絶叫するような声を上げた。
そんなこと知らなかった。なんだよ、秋元さん、どうして教えてくれなかったんだ!!
秋元さんの奥さんは美人で、三人もいるのだ。
その三人と一緒にのんべんだらりの異世界ゲーム生活。漢の浪漫すぎる!!
だから秋元さんは異世界から現世へ戻って来なかったのか。
ゼノンは俺の手をそっと取り、真剣な表情で、俺の目をじっと見つめながら言った。
「もし、君が異世界でのんびりと暮らしたいなら、僕が全面的に協力するよ」
「お前、いい奴だな!!」
俺はゼノンを見直した。
こいつ、意外といい奴だ。
俺が異世界でのんびり生活する時に協力してくれるなんて。
「…………勇者君がチョロ過ぎて、ちょっと心配になるレベルかも」
聖女ちゃんこと麗子ちゃんの呟く声は聞こえなかった。
ゼノンの言葉に俺はうなずいた。
「わかる」
学校での昼休み、俺はいつもの踊り場でゼノンや麗子ちゃんと話していた。
「視線?」
麗子ちゃんはこてっと首を傾げている。
美少女がやるとかわいいな! こいつわかっててやっているなら、あざといぞ。
「そう。ずーと観察されている感じ。朝、学校へ来てから、帰るときも見ている感じだよな」
俺がそう言うと、ゼノンもため息まじりに言った。
「そうだね。見張られているとなると、正直やりにくいね」
「……ということは、私達が警察とか自衛隊にマークされているということ? ずっと?」
「そうだよ」
「えええ? 本当に? 身バレしないように気を付けていたのに」
麗子ちゃんは非常に困惑したように言う。
「いつかはバレると思っていたよ」
ゼノンが階段に座る俺の横に座った。
「今は監視カメラも街のいたるところについているしね。“勇者君が岩を斬るよ”の勇者君だって、迎えの車の後をずっと追っていけば、僕らに辿り着くよね」
「…………じゃあどうするの?」
麗子ちゃんは戸惑ったような声をあげた。
ゼノンは俺の横で、俺の目をじっと見ながら聞いてきた。
「そう、だから、ヒカル。君に聞きたい。君はどうしたい?」
「のんびり暮らしたい」
俺はキッパリとそう言った。
そう、異世界で勇者として活躍した俺は、その後はまぁ適当に幸せに暮らしたかった。
現世でごろごろしながら、コーラ飲んでポテチつまんで、ゲームをして暮らしたい。
毎日ごろごろしたい!
「それって……ニート……ごほんごほん」
慌ててごまかすように、麗子ちゃんが咳き込んでいる。
聞こえてるよ!!
「そうか。でもそれって異世界でもやろうと思えばできるよ」
「え?……マジ?」
「ほら、魔法使いの秋元さん。彼はこの世界から異世界に定期的にモノを運んでいるらしい。電気も魔法で作って、奥さんと一緒にゲームをやっているって聞いたよ」
「マジで!!!!」
俺は絶叫するような声を上げた。
そんなこと知らなかった。なんだよ、秋元さん、どうして教えてくれなかったんだ!!
秋元さんの奥さんは美人で、三人もいるのだ。
その三人と一緒にのんべんだらりの異世界ゲーム生活。漢の浪漫すぎる!!
だから秋元さんは異世界から現世へ戻って来なかったのか。
ゼノンは俺の手をそっと取り、真剣な表情で、俺の目をじっと見つめながら言った。
「もし、君が異世界でのんびりと暮らしたいなら、僕が全面的に協力するよ」
「お前、いい奴だな!!」
俺はゼノンを見直した。
こいつ、意外といい奴だ。
俺が異世界でのんびり生活する時に協力してくれるなんて。
「…………勇者君がチョロ過ぎて、ちょっと心配になるレベルかも」
聖女ちゃんこと麗子ちゃんの呟く声は聞こえなかった。
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