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第一章 俺の大好きな聖女ちゃんが腐女子で、現世まで追いかけてきた竜騎士とくっつけようと画策しているらしい
第24話 アレ、なんですか?
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ところが。その後、ゴブリンが発見されたというニュースがまったく流れなくなり……つまりは湧き場所が隠されるようになった。
「うーむ」
「最近はまったく湧き場所の情報がないから、ある意味暇になったわね」
麗子ちゃんがどこか浮かない表情で言う。
「そうだな。まぁ、様子見だね」
俺はうんと伸びをした。
もはやそうとしか言えないだろう。浄化しに行こうにも場所がわからなくなっているのだから仕方ない。
「そういえば、週末はまた“勇者君が岩を斬るよ”コーナーの仕事でしょ?」
「そう。畑の大岩を斬って欲しいって奴で、山梨まで行くよ。ほうとう食べようぜ。信玄餅も買って帰ろう」
「信玄餅って何ですか?」
尋ねてくるゼノンに、嬉々として俺が説明しているのを、麗子ちゃんはため息をついて見つめていた。
「はぁ、いいのかな。これで……」
ということで、週末がやってきました。
白いワゴン車に俺達は乗り、いざ山梨へ向かう。
今日は“勇者君が岩を斬るよ”コーナーの撮影時間に合わせて到着すればいいと言われているので、結構ゆっくり移動できるので嬉しい。
山梨のその、大岩のあるという畑のそばの駐車場に降りた時、麗子ちゃんが少し眉を寄せた。
「なんか……見学者が多くない?」
いつも見学者は二十人くらいいるのだが、今日はその倍はいそうだ。
それも子供よりも圧倒的に大人が多く、いつもはスマホ片手にやってくる見学者が、とても立派な機材を持ち込んでいた。
それが気に入らないように、麗子ちゃんはかわいい顔をしかめていた(といっても、目出し帽をかぶっているので眉間の皺だけしか見えなかったが……)。
「なんだか、すごい人だね……」
ゼノンと一緒に移動する。
先に畑の大岩の前に待っていた、ユーチューバーの梨本ルンが大きく手を振っていた。
「こっちこっち、勇者くーん!!」
「こんにちは、ルンさん。今日もよろしくお願いします!!」
俺はぺこりと挨拶し、隣のゼノンも頭を下げた。
梨本の相方の竜二が、今日の見学者が多いことに、やはり彼も驚いているようだった。
そして、どうみても専門的な撮影機材を持ち込んでいる見学者を見て、眉を上げていた。
「アレ、なんですか?」
竜二はそうスタッフに声をかけると、スタッフは困った顔をして言った。
「なんだか勇者君のデータを取りたいと言ってきている人達なんですよ。上にどうするか相談したんですけど、とりあえず害がなければそのままで」
「他番組に流用されるとかじゃないよな」
「それはないです。同業者じゃないと言ってました」
「じゃあ、なんだよ」
「大学の、学生と教授らしいです」
「え? なんでまた」
「……知りませんよ。とりあえず、撮影に入りましょう。すでに大岩の土地の持ち主のインタビューは取ってます。あとは勇者君に斬ってもらうだけですから」
「わかったよ」
俺は呼ばれ、いつものように大岩の前にスタンバイする。
「じゃあ、いつものようにお願いします。勇者君いいね~!!」
「はい、ではいきますね」
そして俺は振り向きざま、畑の大岩……その日の大岩は縦が三メートル、奥行きがあって四メートルくらいの長さがあった……それを剣で一息に斬った。
「え?」
その場にいた見学者達は、口を大きく開けて、動くことも忘れたように凍り付いている。
岩はズンという大きな音を立てて、二つに割れて左右に開くように倒れた。その振動で地面が少し揺れた。
「すごいすごい勇者くーん!!」
そうしたことに慣れているユーチューバーの梨本ルンと竜二、そしてスタッフ達が勢いよく拍手する。
おって見学者の子供達も歓声をあげていた。
「勇者君すごい~!!」
「さすが勇者くーん!!」
わぁぁと拍手する人々の中、俺は照れたように笑っていた。
ただ、専門的な機材を持ち込んでいる見学者達が、額に汗を掻き、「馬鹿な」と呟いていることに気が付いていなかった。
「うーむ」
「最近はまったく湧き場所の情報がないから、ある意味暇になったわね」
麗子ちゃんがどこか浮かない表情で言う。
「そうだな。まぁ、様子見だね」
俺はうんと伸びをした。
もはやそうとしか言えないだろう。浄化しに行こうにも場所がわからなくなっているのだから仕方ない。
「そういえば、週末はまた“勇者君が岩を斬るよ”コーナーの仕事でしょ?」
「そう。畑の大岩を斬って欲しいって奴で、山梨まで行くよ。ほうとう食べようぜ。信玄餅も買って帰ろう」
「信玄餅って何ですか?」
尋ねてくるゼノンに、嬉々として俺が説明しているのを、麗子ちゃんはため息をついて見つめていた。
「はぁ、いいのかな。これで……」
ということで、週末がやってきました。
白いワゴン車に俺達は乗り、いざ山梨へ向かう。
今日は“勇者君が岩を斬るよ”コーナーの撮影時間に合わせて到着すればいいと言われているので、結構ゆっくり移動できるので嬉しい。
山梨のその、大岩のあるという畑のそばの駐車場に降りた時、麗子ちゃんが少し眉を寄せた。
「なんか……見学者が多くない?」
いつも見学者は二十人くらいいるのだが、今日はその倍はいそうだ。
それも子供よりも圧倒的に大人が多く、いつもはスマホ片手にやってくる見学者が、とても立派な機材を持ち込んでいた。
それが気に入らないように、麗子ちゃんはかわいい顔をしかめていた(といっても、目出し帽をかぶっているので眉間の皺だけしか見えなかったが……)。
「なんだか、すごい人だね……」
ゼノンと一緒に移動する。
先に畑の大岩の前に待っていた、ユーチューバーの梨本ルンが大きく手を振っていた。
「こっちこっち、勇者くーん!!」
「こんにちは、ルンさん。今日もよろしくお願いします!!」
俺はぺこりと挨拶し、隣のゼノンも頭を下げた。
梨本の相方の竜二が、今日の見学者が多いことに、やはり彼も驚いているようだった。
そして、どうみても専門的な撮影機材を持ち込んでいる見学者を見て、眉を上げていた。
「アレ、なんですか?」
竜二はそうスタッフに声をかけると、スタッフは困った顔をして言った。
「なんだか勇者君のデータを取りたいと言ってきている人達なんですよ。上にどうするか相談したんですけど、とりあえず害がなければそのままで」
「他番組に流用されるとかじゃないよな」
「それはないです。同業者じゃないと言ってました」
「じゃあ、なんだよ」
「大学の、学生と教授らしいです」
「え? なんでまた」
「……知りませんよ。とりあえず、撮影に入りましょう。すでに大岩の土地の持ち主のインタビューは取ってます。あとは勇者君に斬ってもらうだけですから」
「わかったよ」
俺は呼ばれ、いつものように大岩の前にスタンバイする。
「じゃあ、いつものようにお願いします。勇者君いいね~!!」
「はい、ではいきますね」
そして俺は振り向きざま、畑の大岩……その日の大岩は縦が三メートル、奥行きがあって四メートルくらいの長さがあった……それを剣で一息に斬った。
「え?」
その場にいた見学者達は、口を大きく開けて、動くことも忘れたように凍り付いている。
岩はズンという大きな音を立てて、二つに割れて左右に開くように倒れた。その振動で地面が少し揺れた。
「すごいすごい勇者くーん!!」
そうしたことに慣れているユーチューバーの梨本ルンと竜二、そしてスタッフ達が勢いよく拍手する。
おって見学者の子供達も歓声をあげていた。
「勇者君すごい~!!」
「さすが勇者くーん!!」
わぁぁと拍手する人々の中、俺は照れたように笑っていた。
ただ、専門的な機材を持ち込んでいる見学者達が、額に汗を掻き、「馬鹿な」と呟いていることに気が付いていなかった。
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