21 / 174
第一章 俺の大好きな聖女ちゃんが腐女子で、現世まで追いかけてきた竜騎士とくっつけようと画策しているらしい
第21話 遅いよ、バーカ
しおりを挟む
「じゃあ、行こう。犠牲者が出る前に片付けよう」
「わかった」
俺達はビルの屋上から飛び降りた。
「えっ、なんで飛び降りるの? ちょっとやめてよおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ」
麗子ちゃんの悲鳴が響き渡る中、俺達は無事に着地をした。
「俺がこいつは倒すから、その間に浄化を頼む」
「わかった」
プルプルとまるで生まれたての小鹿のように震えて立つ麗子ちゃんの背中を支えながら、ゼノンは靄の立ち込める湧き場所に向かっていた。
自衛隊の人達はみんな倒れていた。
まぁ、麗子ちゃんが魔法でみんなを眠らせる手間が省けたと思えば、いいのかな?
俺は収納庫から剣を取り出し、そして構えた。
ゴブリンキングは俺に気が付いて、怪訝そうな表情をする。
そして巨大な戦棍を大きく振り上げ、そして振り下ろす次の瞬間、俺は奴の肩の上に飛び上がり、耳元で言ってやった。
「遅いよ、バーカ」
その頭の横で、剣を振り下ろした。
「浄化したよ、勇者君」
「ご苦労さま」
俺はヨロヨロしている聖女ちゃんを連れているゼノンに言った。
そして聖女ちゃんは俺がゴブリンキングを倒した現場に戻ると、すかさず言った。
「うううっ……気持ち悪い。なんでそんな頭を叩き切るような倒し方するのよ!!」
そう、俺は桃太郎が桃を二つに割って飛び出したかのように、ゴブリンキングの頭も真っ二つにカチ割ったのだ。
中からは桃太郎は出てこない。
出てきているのは、とても放送できない……モザイク画面が出てしかるべきものだった。
「倒したんだからいいだろう」
「ちょっと倒れている自衛隊員の皆さんにかかると悪いから、避けてあげましょう」
そう言って優しい聖女ちゃんは、倒れている自衛隊員の皆さんを端の方に寄せてあげている。
確かにこのままだと、ゴブリンキングの体液が流れてかかりそうだった。
「そこまで気を遣ってあげなくてもいいと思うけど」
とゼノンが言う。
「まぁ、かかると嫌なのは分かるな」
俺も自衛隊員の人をすみっこに運んであげた。
その時、意識を失っていた自衛隊の人達が目を覚まし始めた。
「ヤバい、行こう」
「うん、待って」
ゼノンは足元に転がっていた、記録用のカメラを見つけ、足で踏み潰した。粉々になるまで。
「うん、これでいいかな」
そう言って、俺達はその場からさっさと退散したのだった。
やっと家に帰れる。
はぁ、疲れた……。
もういっそのこと、明日の学校は休んでしまいたかったが、母親の怒る顔しか浮かばなかったので、頑張って行くしかない……。
こういう時、兼業勇者は辛いなぁと思った。
「わかった」
俺達はビルの屋上から飛び降りた。
「えっ、なんで飛び降りるの? ちょっとやめてよおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ」
麗子ちゃんの悲鳴が響き渡る中、俺達は無事に着地をした。
「俺がこいつは倒すから、その間に浄化を頼む」
「わかった」
プルプルとまるで生まれたての小鹿のように震えて立つ麗子ちゃんの背中を支えながら、ゼノンは靄の立ち込める湧き場所に向かっていた。
自衛隊の人達はみんな倒れていた。
まぁ、麗子ちゃんが魔法でみんなを眠らせる手間が省けたと思えば、いいのかな?
俺は収納庫から剣を取り出し、そして構えた。
ゴブリンキングは俺に気が付いて、怪訝そうな表情をする。
そして巨大な戦棍を大きく振り上げ、そして振り下ろす次の瞬間、俺は奴の肩の上に飛び上がり、耳元で言ってやった。
「遅いよ、バーカ」
その頭の横で、剣を振り下ろした。
「浄化したよ、勇者君」
「ご苦労さま」
俺はヨロヨロしている聖女ちゃんを連れているゼノンに言った。
そして聖女ちゃんは俺がゴブリンキングを倒した現場に戻ると、すかさず言った。
「うううっ……気持ち悪い。なんでそんな頭を叩き切るような倒し方するのよ!!」
そう、俺は桃太郎が桃を二つに割って飛び出したかのように、ゴブリンキングの頭も真っ二つにカチ割ったのだ。
中からは桃太郎は出てこない。
出てきているのは、とても放送できない……モザイク画面が出てしかるべきものだった。
「倒したんだからいいだろう」
「ちょっと倒れている自衛隊員の皆さんにかかると悪いから、避けてあげましょう」
そう言って優しい聖女ちゃんは、倒れている自衛隊員の皆さんを端の方に寄せてあげている。
確かにこのままだと、ゴブリンキングの体液が流れてかかりそうだった。
「そこまで気を遣ってあげなくてもいいと思うけど」
とゼノンが言う。
「まぁ、かかると嫌なのは分かるな」
俺も自衛隊員の人をすみっこに運んであげた。
その時、意識を失っていた自衛隊の人達が目を覚まし始めた。
「ヤバい、行こう」
「うん、待って」
ゼノンは足元に転がっていた、記録用のカメラを見つけ、足で踏み潰した。粉々になるまで。
「うん、これでいいかな」
そう言って、俺達はその場からさっさと退散したのだった。
やっと家に帰れる。
はぁ、疲れた……。
もういっそのこと、明日の学校は休んでしまいたかったが、母親の怒る顔しか浮かばなかったので、頑張って行くしかない……。
こういう時、兼業勇者は辛いなぁと思った。
1
お気に入りに追加
381
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ヤバい薬、飲んじゃいました。
はちのす
BL
変な薬を飲んだら、皆が俺に惚れてしまった?!迫る無数の手を回避しながら元に戻るまで奮闘する話********イケメン(複数)×平凡※性描写は予告なく入ります。
作者の頭がおかしい短編です。IQを2にしてお読み下さい。
※色々すっ飛ばしてイチャイチャさせたかったが為の産物です。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる