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第一章 俺の大好きな聖女ちゃんが腐女子で、現世まで追いかけてきた竜騎士とくっつけようと画策しているらしい
第3話 すべてレイコ様のおかげです
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現世に戻ってきた俺がぽりぽりとポテチを食べている時、聖女ちゃんと竜騎士ゼノンは現世にやってきていた。
二人は、聖女ちゃんの部屋の中に現れたのだ。
聖女ちゃんこと林原麗子は、ラフな私服姿で、机に向かって勉強をしているときに異世界召喚をされた。
だからその時、再び現世に戻された彼女は、椅子に座った状態だった。
一方のゼノンは……あの竜騎士の銀光りする重そうな甲冑ではなく、シャツにズボンというありていの現世の服を着ていて、あのムキムキの身体も、少年のものに変わっていた。
麗子はそんなゼノンの姿を見て、微笑んだ。
「成功しましたね」
ゼノンは麗子に頭を下げる。
「すべてレイコ様のおかげです。ありがとうございます」
神が麗子の願いを叶えて異世界へ二人を転移させる前に、麗子は慌ててゼノンの願いを神に伝えさせた。
即ち、こういうものだった。
ゼノンが現世にいっても困らないようにして下さい。
具体的には
・今のムキムキボディじゃなくて、現世の高校生らしい身体にしてね。
・年も勇者君と同い年にして下さい。
・アメリカから留学してきたことにしてください。もちろん、勇者君の学校に転校させてね【重要】
・ゼノン君が困らないように、金銭的にもちゃんと助けてください。もちろん、彼のプロフィールにボロがないようにね。
・ゼノン君は私の遠い親戚という設定にしてください。そうすれば私も助けてあげられるので!!
それ以外にもずらずらと羅列される願いに、その場にいた王や神官達は引いている。
竜騎士ゼノンは尊敬の眼差しで聖女麗子を見つめた。
「素晴らしいです、レイコ様」
「まぁね、任せてちょうだい」
麗子はにっこりと微笑み、そして二人は現世へ転移したのだ。
そして冒頭の、転移した後の場面に戻る。
麗子はゼノンに言った。
「もうここでは、レイコ様と言ってはだめですよ。私は林原麗子。あなたなら呼び捨てで構わないわ」
「レイコ、これからよろしく頼む」
「任せて頂戴。あなたの部屋は私の部屋の隣らしいわ」
そういう情報が新たに麗子の頭の中に加わっていた。
現世にゼノンという異世界からの住人を加えた修正が、記憶に加えられているのだ。
「わかった。おやすみ、レイコ」
「おやすみなさい」
ドアから出ていくゼノンを、麗子は片手を挙げて見送った。
妙齢の女性の隣の部屋に、同い年の男子を入れるというのは普通なら考えられないだろう。だが、麗子は構わないと思っていた。
ゼノンは絶対に麗子の部屋に夜這いなどしかけない。
なぜなら彼は、勇者に夢中だから!!
麗子はニヤリと笑った。
「ふふん、月曜日が楽しみね」
ゼノンは月曜日から、勇者のいる高校に転校することになっているのだ。そして麗子も、それを追うように転校することを決めていた。
二人は、聖女ちゃんの部屋の中に現れたのだ。
聖女ちゃんこと林原麗子は、ラフな私服姿で、机に向かって勉強をしているときに異世界召喚をされた。
だからその時、再び現世に戻された彼女は、椅子に座った状態だった。
一方のゼノンは……あの竜騎士の銀光りする重そうな甲冑ではなく、シャツにズボンというありていの現世の服を着ていて、あのムキムキの身体も、少年のものに変わっていた。
麗子はそんなゼノンの姿を見て、微笑んだ。
「成功しましたね」
ゼノンは麗子に頭を下げる。
「すべてレイコ様のおかげです。ありがとうございます」
神が麗子の願いを叶えて異世界へ二人を転移させる前に、麗子は慌ててゼノンの願いを神に伝えさせた。
即ち、こういうものだった。
ゼノンが現世にいっても困らないようにして下さい。
具体的には
・今のムキムキボディじゃなくて、現世の高校生らしい身体にしてね。
・年も勇者君と同い年にして下さい。
・アメリカから留学してきたことにしてください。もちろん、勇者君の学校に転校させてね【重要】
・ゼノン君が困らないように、金銭的にもちゃんと助けてください。もちろん、彼のプロフィールにボロがないようにね。
・ゼノン君は私の遠い親戚という設定にしてください。そうすれば私も助けてあげられるので!!
それ以外にもずらずらと羅列される願いに、その場にいた王や神官達は引いている。
竜騎士ゼノンは尊敬の眼差しで聖女麗子を見つめた。
「素晴らしいです、レイコ様」
「まぁね、任せてちょうだい」
麗子はにっこりと微笑み、そして二人は現世へ転移したのだ。
そして冒頭の、転移した後の場面に戻る。
麗子はゼノンに言った。
「もうここでは、レイコ様と言ってはだめですよ。私は林原麗子。あなたなら呼び捨てで構わないわ」
「レイコ、これからよろしく頼む」
「任せて頂戴。あなたの部屋は私の部屋の隣らしいわ」
そういう情報が新たに麗子の頭の中に加わっていた。
現世にゼノンという異世界からの住人を加えた修正が、記憶に加えられているのだ。
「わかった。おやすみ、レイコ」
「おやすみなさい」
ドアから出ていくゼノンを、麗子は片手を挙げて見送った。
妙齢の女性の隣の部屋に、同い年の男子を入れるというのは普通なら考えられないだろう。だが、麗子は構わないと思っていた。
ゼノンは絶対に麗子の部屋に夜這いなどしかけない。
なぜなら彼は、勇者に夢中だから!!
麗子はニヤリと笑った。
「ふふん、月曜日が楽しみね」
ゼノンは月曜日から、勇者のいる高校に転校することになっているのだ。そして麗子も、それを追うように転校することを決めていた。
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