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【外伝】
竜の番の少年の物語 (2)
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息子であるレオンハルトの番が見つかったという報告を受けて、皇太子アレクサンドロスは喜びに顔を綻ばせ、自分と同じ顔している少年レオンハルトを抱きしめた。
「よかったな、レオンハルト」
「ありがとうございます、父上」
レオンハルトは十二歳。
これまで、お茶会や舞踏会、学園と、彼の番である存在を探し続けていた。だが、一人としてレオンハルトの心を震わせる存在は現れなかった。
でも、ようやくやっと、レオンハルトも愛する番を手に入れられる。
自分も、苦労の挙句にフランシスと結婚することができたアレクサンドロスの喜びはひとしおであった。
「それで、お前の番は誰なんだ?」
その問いかけに、息子レオンハルトは答えた。
「魔術師ゼファー殿と中央騎士団騎士団長アーノルド殿の息子さんです」
それを聞いた時の、皇太子アレクサンドロスの顔は瞬間凍りついていた。
「………レオン、もう一度聞かせてくれないかな」
「魔術師ゼファー殿と中央騎士団騎士団長アーノルド殿の息子さんです」
「………………あいつらに息子がいたのか?」
それすら知らなかったアレクサンドロスに、その伴侶であるフランシスは非難の眼差しを向ける。
「今年八歳になるかわいい子ですよ。ウィルといって」
その後の言葉に、皇太子アレクサンドロスは発狂しそうになった。
「ゼファーにそっくりです」
「…………許さん」
父の言葉に、レオンハルトは首を傾げる。
「それは……父上、どういうことでしょうか」
「どうもこうも、あいつらの息子がお前の番だって? あり得ないだろう。その上、ゼファーにそっくりとか、嘘だろ。嘘だと言ってくれ」
そう喚く口を、侍従のブラウンがすかさず塞いで、ずるずるとどこかへ引きずって連れていってしまった。
レオンハルトは母であるフランシスを見つめた。
「父上は、どうなさったんですか」
フランシスは、額に手を当て、とても疲れたように深くため息をついていた。
「お父様と、魔術師のゼファーは“犬猿の仲”で、お互いを“不俱戴天の仇”とみなしている」
それにレオンハルト皇子は口を開けて驚いた。
「……本当ですか」
「そう。本当だ。でも、安心して、僕はレオンの味方だよ。なんとしても、僕は君達二人を添い遂げさせてあげるから」
フランシスは桃色の瞳に力強い光を宿し、決意を漲らせてそう言った。
しかしこの時には、天才魔術師ゼファー、その夫の中央騎士団騎士団長アーノルド、そして皇太子アレクサンドロスまで全て敵に回ることを、二人は知らなかった。
「よかったな、レオンハルト」
「ありがとうございます、父上」
レオンハルトは十二歳。
これまで、お茶会や舞踏会、学園と、彼の番である存在を探し続けていた。だが、一人としてレオンハルトの心を震わせる存在は現れなかった。
でも、ようやくやっと、レオンハルトも愛する番を手に入れられる。
自分も、苦労の挙句にフランシスと結婚することができたアレクサンドロスの喜びはひとしおであった。
「それで、お前の番は誰なんだ?」
その問いかけに、息子レオンハルトは答えた。
「魔術師ゼファー殿と中央騎士団騎士団長アーノルド殿の息子さんです」
それを聞いた時の、皇太子アレクサンドロスの顔は瞬間凍りついていた。
「………レオン、もう一度聞かせてくれないかな」
「魔術師ゼファー殿と中央騎士団騎士団長アーノルド殿の息子さんです」
「………………あいつらに息子がいたのか?」
それすら知らなかったアレクサンドロスに、その伴侶であるフランシスは非難の眼差しを向ける。
「今年八歳になるかわいい子ですよ。ウィルといって」
その後の言葉に、皇太子アレクサンドロスは発狂しそうになった。
「ゼファーにそっくりです」
「…………許さん」
父の言葉に、レオンハルトは首を傾げる。
「それは……父上、どういうことでしょうか」
「どうもこうも、あいつらの息子がお前の番だって? あり得ないだろう。その上、ゼファーにそっくりとか、嘘だろ。嘘だと言ってくれ」
そう喚く口を、侍従のブラウンがすかさず塞いで、ずるずるとどこかへ引きずって連れていってしまった。
レオンハルトは母であるフランシスを見つめた。
「父上は、どうなさったんですか」
フランシスは、額に手を当て、とても疲れたように深くため息をついていた。
「お父様と、魔術師のゼファーは“犬猿の仲”で、お互いを“不俱戴天の仇”とみなしている」
それにレオンハルト皇子は口を開けて驚いた。
「……本当ですか」
「そう。本当だ。でも、安心して、僕はレオンの味方だよ。なんとしても、僕は君達二人を添い遂げさせてあげるから」
フランシスは桃色の瞳に力強い光を宿し、決意を漲らせてそう言った。
しかしこの時には、天才魔術師ゼファー、その夫の中央騎士団騎士団長アーノルド、そして皇太子アレクサンドロスまで全て敵に回ることを、二人は知らなかった。
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