前世の愛が重かったので、今世では距離を置きます

曙なつき

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【外伝】

強情な彼との結婚に至るまでの道 第3話

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 ゼファーは、過去二回転生して死んでいる。
 そして、三回目の転生の人生が、今の世だという。

 彼はこの世界が滅亡するのを止めるために、何度も生まれ変わっていた。
 その中で、私の一族が困窮に喘ぎ、没落することを知っていた。
 知っていて、それを止めず、手を差し伸べて一族を仲間にしたのだという。

 そんな不実なことをした自分は、アーノルドにはふさわしくないと、ゼファーは泣きながら言っていた。
 子供のように泣きじゃくるその顔に、私は口づけを降らせた。

「それでも、あなたは最後には助けてくれたのでしょう? 助けないでいることだってできたはずなのに」

「違う。あなたの一族を仲間にするために、したんだ」

 私は涙を舐めとり、聞き分けの無いその唇を私の唇で塞いだ。

「最後には、私を救ってくれたんだ」

 私はそう言って。彼の足を開かせる。
 蕾はすっかり綻び、内側から淫らに開き始め、私の男根を悦んで飲み込み始めた。

「あっああっ」

 その腰を掴んで、奥の奥まで身体を進める。

「言ってください。私と結婚すると」

「アーノルド……僕みたいな奴と結婚するのはだめだ。あなたのためにならない」

 まだ強情にそう言うのを聞いて、私は彼を強く突き上げた。
 何度も何度も突き上げ、最後に彼が泣きながら「結婚する」と言うまで、私は彼をずっと貫いて責め立てた。
 彼自身の紐を解いて放たせた時には、意識を失いかけていた。

 その細い身を抱きしめ、私は強情な彼に誓わせたのだ。

 私と結婚すると。




 それでも、その後、彼は何度もその「結婚する」という言葉を撤回した。その度に、私は寝台の上で彼を優しく執拗に責め立てるようにした。
 最後は根負けしたように、私と結婚すると言い、私達は籍を入れることになった。
 
 婚姻届けを提出した後、ゼファーは、私をジロリと見つめ、ため息混じりにこう言った。

「あなたは……皇太子と一緒だ。強引に、僕に言うことを聞かせようとする」

「違います」

 私は即座に答え、ゼファーの細身を抱きしめ、耳元で囁くように言った。

「あなたがとても強情だからですよ。もっと素直になれば、こんなことはしません」

 私の手がズボンの前を開き、彼自身をやんわりと掴むと、ゼファーは立っていられないように身を崩した。
 
「閨の中でだけではなく、もっと素直になってください」

「アーノルド……」

 彼は睨みつけ、私は彼の耳朶を噛んで、そしてまた愛し始めた。
 


 魔力回路が壊れたゼファーは、その後の十年間、朝に晩にと私に愛されていた。
 ゼファーは私のことを愛していると言ったが、私がその閨で快楽に堕として言うことを聞かせることは、やはり嫌だったようで、彼は日夜研究を続け、やがて奇跡を起こした。

 魔力回路を復調させたのだ。

 彼は、再び自力で天才魔術師の身に返り咲いた。

 そして彼は、時々、私の目を見ながら、囁くような小さな声で告げてくれるようになった。

「アーノルド、あなたを愛している」と。

 幸せそうに笑う姿を見ることもあった。
 
 強情で恥ずかしがり屋なので、時々だったけれど、私はそれを見ることに幸せを感じていた。
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