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第一章 前世の記憶
第14話 十六歳 古代遺跡の採掘とそれが教えること(中)
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「“消失の槍”がここにあることも、“消失の槍”がどんなものなのかも、君はよく知っていたみたいだ。発見されている古代文書は僕も読んでいるからわかる。だけど、ここのことはどの文書でも書かれていなかった。君はどこでこの槍の載っている文書を見たの?」
「ここのことは、まだ見つかっていない文書だよ。君が将来見つける文書だった」
「……ゼファー、君の言っていることがよくわからない」
彼はふいに僕の身体を抱きしめた。それは強く強く。
耳元で囁くように言う。
「フラン、君も繰り返しているんだろう。前世の記憶がどこまであるの?」
「!?」
「僕も一緒だよ。君と同じく、前世の記憶があるんだ」
「……」
驚いて、彼の顔を見つめると、彼は静かに微笑みながら言った。
「そうだよ。やっと、……やっと君にそのことを話すことができた。この槍を手に入れられたからね。これで、半分は勝てたも同然だ」
勝てた?
誰に?
誰に勝つというの?
そして、ゼファーは僕を抱きしめたまま、初めて僕に話したのだ。
この世界は幾度も滅亡の危機にさらされていたこと。
古代遺跡はその名残で、やはり古代から滅亡の危機は繰り返していたこと。
この時代でも、また二年後に、……滅亡の時が始まること。
「……世界が滅亡するの? どうして?」
「そうだよ。フラン、君はまだ思い出せないみたいだけど、君が前世で早くに亡くなったのはそのせいなんだ。僕達はそれを止めるためにまた生まれ変わったんだよ」
「僕とゼファーで?」
「そう、二人で生まれ変わったんだ。そして、生まれ変われるのはこれで最後だ。今回止められなかったら、本当におしまいなんだ」
僕が呆然としていると、ゼファーは苦笑いした。
「信じられない? うん、そうかも知れないね。前回僕らは失敗したから、だから今回はもう失敗しないように、生まれ変わったその時に心に決めていたことがあったんだ」
「……それは何?」
「君は皇太子と結婚しないこと。皇太子に前回は邪魔されて、君はほとんど阻止するための動きをすることができなかった。彼は愛だけを囁いて全体を見ることができなかった。結果、すべてを失うことになった。もう一つは、君の専門を、古代時代の攻撃武器に絞ることだった」
「……」
僕はゆるゆると首を振った。
……信じられない。
今まで、皇太子を避けていた僕の思いが、そんな前世の出来事に基づいていたなんて。
僕は一切そのことを覚えていなかった。
「まだ信じられない?」
彼の茶色の瞳が、どこか僕をすがるように見ていた。
「生まれ変わる時に、その瞬間、思い出すまで持っていける思いは、少ないんだ。君はその二つを持って行ってもらった。僕は、この消失の槍と君に出会うこと。フラン、僕がどんなに君に会いたかったかわかるかい? ずっとずっと君に会いたかった」
彼の瞳から透明な涙がこぼれ落ちる。
「僕は君と出会ってから、前世で起きたことを少しずつ思い出した。二年後、この世界は危機に瀕する。だから、それを止めないといけない。……今度は失敗しないように」
「ここのことは、まだ見つかっていない文書だよ。君が将来見つける文書だった」
「……ゼファー、君の言っていることがよくわからない」
彼はふいに僕の身体を抱きしめた。それは強く強く。
耳元で囁くように言う。
「フラン、君も繰り返しているんだろう。前世の記憶がどこまであるの?」
「!?」
「僕も一緒だよ。君と同じく、前世の記憶があるんだ」
「……」
驚いて、彼の顔を見つめると、彼は静かに微笑みながら言った。
「そうだよ。やっと、……やっと君にそのことを話すことができた。この槍を手に入れられたからね。これで、半分は勝てたも同然だ」
勝てた?
誰に?
誰に勝つというの?
そして、ゼファーは僕を抱きしめたまま、初めて僕に話したのだ。
この世界は幾度も滅亡の危機にさらされていたこと。
古代遺跡はその名残で、やはり古代から滅亡の危機は繰り返していたこと。
この時代でも、また二年後に、……滅亡の時が始まること。
「……世界が滅亡するの? どうして?」
「そうだよ。フラン、君はまだ思い出せないみたいだけど、君が前世で早くに亡くなったのはそのせいなんだ。僕達はそれを止めるためにまた生まれ変わったんだよ」
「僕とゼファーで?」
「そう、二人で生まれ変わったんだ。そして、生まれ変われるのはこれで最後だ。今回止められなかったら、本当におしまいなんだ」
僕が呆然としていると、ゼファーは苦笑いした。
「信じられない? うん、そうかも知れないね。前回僕らは失敗したから、だから今回はもう失敗しないように、生まれ変わったその時に心に決めていたことがあったんだ」
「……それは何?」
「君は皇太子と結婚しないこと。皇太子に前回は邪魔されて、君はほとんど阻止するための動きをすることができなかった。彼は愛だけを囁いて全体を見ることができなかった。結果、すべてを失うことになった。もう一つは、君の専門を、古代時代の攻撃武器に絞ることだった」
「……」
僕はゆるゆると首を振った。
……信じられない。
今まで、皇太子を避けていた僕の思いが、そんな前世の出来事に基づいていたなんて。
僕は一切そのことを覚えていなかった。
「まだ信じられない?」
彼の茶色の瞳が、どこか僕をすがるように見ていた。
「生まれ変わる時に、その瞬間、思い出すまで持っていける思いは、少ないんだ。君はその二つを持って行ってもらった。僕は、この消失の槍と君に出会うこと。フラン、僕がどんなに君に会いたかったかわかるかい? ずっとずっと君に会いたかった」
彼の瞳から透明な涙がこぼれ落ちる。
「僕は君と出会ってから、前世で起きたことを少しずつ思い出した。二年後、この世界は危機に瀕する。だから、それを止めないといけない。……今度は失敗しないように」
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