前世の愛が重かったので、今世では距離を置きます

曙なつき

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第一章 前世の記憶

第3話 六歳、婚約者がなかなか選定されない状況に sideアレク

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 皇后主催のお茶会に招かれた令嬢、令息を見ても心を動かされることは全くなかった。
 だから、母には今回のお茶会で婚約者は決められないと告げた。
 その後、開かれたお茶会でもそうで、三回まで開かれたお茶会でも僕が否定に首を振り続けることに、母はがっくりとうなだれていた。

「本当に誰も、あなたが興味を持てる人はいなかったの?」

「いません」

「……本当に本当に?」

 うなずく僕。

「……あなたには竜の血が濃く流れているから、つがいでないとダメなのかも知れないわね。もしそうなら」

「……最悪、僕は誰とも結婚することなく人生を終えるかも知れませんね」

「アレク!! そんなことないわよ。あなたはまだ六歳でしょう。この広い大陸の中にきっとあなたの愛する人がいるわ。きっと」

 僕は小さく笑った。

 僕の大叔父がそうだった。
 竜の血が濃かった彼は、その生涯、番に巡りあうこともなく孤独に人生を終えた。
 本当に愛している人しか、番うことはできない。
 それは呪いのように。

「いっそ、番などいない方が自由に生きられるのに、それに束縛されるのはバカバカしいです。だから」

 母が四回目のお茶会を開催する前に、僕は言ったのだ。

「誰か適当な者を、僕の婚約者として置いてください」

 愛することはできなくても、義務としてそばにいることはできる。
 身体を交えることはできるかわからないけれど。
 たとえ“白の結婚”となろうとも、婚約者は大切にしよう。
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