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第一章 前世の記憶
第1話 六歳、第一回婚約者選定のお茶会を欠席する
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六歳になった僕に、帝国皇太子出席のお茶会の招待状が届けられた。
名目は、皇后主催となっているけれど、僕と同じ六歳の皇太子の婚約者選定のためのお茶会だということを知っている。
前世では、その第一回お茶会で彼につかまり、即、婚約者に内定した。
それから皇太子とのセット人生がスタートしたのだ。
だから、今世では僕はお茶会欠席の返事をして、仮病で寝込み続けた。
病弱だという建前で。
実際、五歳の時に泡を吹いて失神したことがあるから、優しい両親は心配して「お茶会は欠席でいい」と言ってくれた。
侯爵家の次男ということも幸いしただろう。
お家のためには皇太子の婚約者に僕がなるのがいいのだろうけど、両親はそれほど権力欲は強くなかった。
僕に甘いということもあるけどね。
熱が出たと法螺吹いた僕に、ゆっくり休んでいなさいと言ってくれた両親に感謝して、その日はぶ厚い『魔法大全』の第一巻を読み耽ることにした。
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