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ずっと貴方を待っている
第十話 巨鳥
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人狼の村にやって来て四日目を迎えた。
いよいよ明日には、魔界の入口までの道を辿る、帰路に就く予定である。
アレキサンドラも仔狼達も、人狼の村の人々に可愛がられ、そしてフィリップも人狼の仔の成長について村人達から教わった。
「人狼の仔は、幼児の間は仔狼の姿で育つが、生まれて五年、六年経つ頃には自然と人の姿になる。そして人の姿から仔狼に変わることを繰り返しているうちに、その姿を変えることに慣れて自在にできるようになる」
その説明を聞きながら、フィリップは自分も人狼になりたての頃は、変身が思うように上手く行かずに苦労したことを思い出していた。
ディヴィットとクリストフの、金色の仔狼の姿もとても愛らしいが、人に変わった姿も当然見てみたい。
バーナードから、仔狼の子供達が人に変わった姿は「お前にそっくりだろう」と笑いながら言われている。そしてフィリップが人狼であることを知る多くの者達が口を揃えてそう言っていた。
金色の仔狼の姿からして、フィリップにそっくりなのだ。
そうして、バーナードが仔狼達をワシャワシャと撫で回している様子を思い出した。仔狼達は母親であるバーナードに尻尾を一生懸命に振って甘えている。
アレキサンドラと仔狼達を抱きしめているバーナードの姿を思い出していると、熱く胸にこみ上げるものがある。
(早く、早くバーナードに会いたい)
疾く想いだけが募っていく。
そして彼を抱きしめ、いつものように「愛している」と伝えたい。
きっと彼も、自分にそう言ってくれるだろう。
アレキサンドラと仔狼達は、仲良くなった人狼の村の子供達に別れの挨拶を告げている。
「また遊びに来てね」と言われているが、魔界の端にある人狼の村はそう簡単に来られる場所ではない。実際には難しいだろう。
ただ、他の人狼の子供達と会えたことは、ディヴィットとクリストフにとってとても良かったと思われた。
自分達以外にも人狼の仲間達がいるという事実を知ったこと、そして彼らと温かな交流が出来たことが、きっと今回の訪問の最も大きな収穫であった。
アレキサンドラがディヴィットとクリストフと一緒に、村の外れにあるという花畑に行ってくると言った。
そこには綺麗な花がたくさん咲いているのだ。
人間の世界にはない種類の花ばかりで、アレキサンドラはその花を押し花にして、自分を可愛がっているセーラ妃に持ち帰ろうと言っている。
果たして、魔界の花を押し花にして、王国の妃の元に土産として持っていくことはどうなのだろうかとフィリップが思っている時に、キャーという悲鳴とワンワンと必死に吠え立てる声が聞こえた。
慌ててフィリップが駆け付けた時、巨大な鳥の足にアレキサンドラの胴体が掴まれて、そのまま連れ攫われようとしているところであった。
「アレキサンドラ!!」
一瞬でフィリップは狼に姿を変えて、その巨鳥に飛び掛かるが、すでに高度を高くあげている鳥には届かない。
アレキサンドラの腕の中には、ディヴィットの体がしっかりと抱かれており、仔狼もまた「クゥンクゥン」と鳴き声を上げ、それを追うようにもう一頭の仔狼クリストフが懸命に飛んで行く鳥を追い駆けて走っていく。
フィリップも、クリストフも巨鳥を追い続けていたが、やがて巨鳥の姿は雲の間に隠れ、見えなくなってしまった。
フィリップは狼の姿から人の姿に戻り、人狼の村へと戻ると荒々しく、長ビヨルンへ言った。
「アレキサンドラとディヴィットが、巨大な鳥に攫われた。私は二人を追います」
その言葉に驚いたが、ビヨルンは頷く。
「分かった。お前とクリストフだけだと地理に疎いだろう。村の者をつける」
「有難うございます」
「巨大な鳥か。……ここ十数年それは出ていなかったが、おそらくイシャロークの怪鳥だろう。アレは、子供や仔狼を好んで攫う」
その先の言葉は聞かずともフィリップは察することができた。
子供も仔狼も肉が柔らかく、怪鳥にとって美味な御馳走であるのだ。
「巣穴はどこですか」
「ここから三日ほど離れた距離にある、森の中だろう。十数年出ていなかった鳥が出てきたというのなら、きっとイシャロークに雛が生まれたのだろう。近道して、先に巣を押さえた方がいい」
「近道が出来るのですか」
「ああ。ジャック達に頼もう」
そう人狼の長ビヨルンは、群れの若者を呼び寄せ、ジャックという狩りの名人である人狼の若者達三人が、フィリップと共に急いで村から出立したのだった。
*
頭頂部に冠のような黄色の羽を付けたそのイシャロークという巨大な鳥は、ぎゅっとアレキサンドラの胴体をその足で掴んだまま空を飛んで行く。
アレキサンドラは、みるみる地上が遠くなり、懸命に追い駆けてくる父親のフィリップ達の姿が小さくなり、やがて見えなくなったことに顔色を青ざめさせていた。
腕の中にいるディヴィットがクゥンクゥンと不安そうな声で鳴き続けており、アレキサンドラはその仔狼を落とすまいとぎゅっと抱きしめる。
もしこの高さから落ちてしまえば、地面に叩きつけられて、即座に死に至ることは幼いアレキサンドラにも理解できた。
冷たい風がアレキサンドラの黒い巻き毛の髪を揺らす。
バッサバッサとイシャロークは大きな翼をはためかせて飛んでいた。
翼は濃い緑色で、首から頭にかけては黒く、目の縁は白い鳥であった。魔界に固有の鳥であって、当然、アレキサンドラが見たことのない鳥である。ギョロリとした目の色は赤みがかった茶色である。
腕の中で震えながら鳴き続ける仔狼に、アレキサンドラは優しく励ますように言った。
「大丈夫よ、ディヴィット。きっとお父様が助けてくれる。お父様は強いんですもの。助けてくれるわ」
そうは言っても、巨大な鳥に空へと連れ去られているのである。
フィリップお父様が追いかけてくるのも一苦労のはずだ。そしてもう一人のバーナードお父様は人の世界で家族の帰りを待ち続けているため、あてにすることはできない。
どうにか、地上に降りて、どこかに隠れて巨鳥をやり過ごし、フィリップお父様に助けてもらうようにするしかないのではないかと思われた。
飛び続けるイシャロークが、海のように大きな湖の上を飛んだ時、湖面に跳ね上がる銀色の魚たちを見て、それを捉えようと口を開けて、降下した時がチャンスだった。
アレキサンドラは父親であるバーナードから、子供用の剣をもらい、この魔界に来た時も腰に下げていた。
今も彼女の腰にはそれが下がっている。
「ディヴィ、私の上着に噛みついて、離さないで。片手で支えるだけになるから」
左手で仔犬の腰を支え、右手でスラリと剣を抜いた。
子供用の剣とはいえ、バーナードはアレキサンドラに十分切れ味の鋭い上等の鋼の剣を渡していた。
フィリップは「アレキサンドラにはまだ早いのではないですか」と渋い顔をしていたが、バーナードは幼いアレキサンドラの剣の筋が良いことを見抜いており、彼女を膝の上にのせ、艶やかな黒い巻き毛の髪を撫でながら言っていた。
「アレキサンドラ、剣は騎士の命ともいえるものだ。大切にするように。お前は俺に似て、剣の才能がある。お前はきっと」
きっと良い騎士になれるだろう。
そう王国の騎士団長である父親から言われたことは、アレキサンドラにとって誇らしいことだった。
王子の婚約者であるアレキサンドラであったが、バーナードお父様は「いつ婚約を解消してもいいぞ」と鷹揚に笑って言っていた。
そして「俺の騎士団に入ってくれてもいい」とも。
フィリップお父様は呆れたような様子だったけれど、アレキサンドラは自分に剣を教えてくれる強いバーナードお父様が大好きだった。
そして剣を与えてくれたバーナードお父様の教えがついに役に立つ日が来た。
(剣なんてまだ早いと言われたけど、こうして剣があったから)
アレキサンドラは身をよじり、その自分を掴んでいる足を右手の剣で容赦なく斬りつけたのだった。
「ギィエェェェェェェェェェェェェ!!!!」
巨鳥は大きく声を上げる。その足の、アレキサンドラを掴んでいる部分が千切れかけるほどのダメージが与えられ、思わず彼女の胴体を掴んでいる爪が開かれる。
途端、アレキサンドラは仔犬を抱いたまま湖の中へと落ちていったのだった。
巨鳥は、痛みと片足を失った衝撃に鳴き続け、ギィエェェギィエェェと声を上げながら、遠く飛んでいってしまう。
湖面から頭を覗かせたアレキサンドラは、鳥が自分達を探すこともせずに遠ざかっていくことにホッとしていた。
アレキサンドラのすぐそばに、水から顔を出した仔狼のディヴィットがいた。ディヴィットの口には、剣の鞘が咥えられている。
機転を利かせて、ディヴィットはアレキサンドラが剣の鞘を払った後、湖に落ちたそれをすぐさま拾ってくれたようだった。
「ありがとう、ディヴィ」
立ち泳ぎをしながら、アレキサンドラはディヴィットの口から鞘を受け取って、剣をそれに仕舞う。
そして二人して、湖の中にある小島の一つに泳いでいったのだった。
いよいよ明日には、魔界の入口までの道を辿る、帰路に就く予定である。
アレキサンドラも仔狼達も、人狼の村の人々に可愛がられ、そしてフィリップも人狼の仔の成長について村人達から教わった。
「人狼の仔は、幼児の間は仔狼の姿で育つが、生まれて五年、六年経つ頃には自然と人の姿になる。そして人の姿から仔狼に変わることを繰り返しているうちに、その姿を変えることに慣れて自在にできるようになる」
その説明を聞きながら、フィリップは自分も人狼になりたての頃は、変身が思うように上手く行かずに苦労したことを思い出していた。
ディヴィットとクリストフの、金色の仔狼の姿もとても愛らしいが、人に変わった姿も当然見てみたい。
バーナードから、仔狼の子供達が人に変わった姿は「お前にそっくりだろう」と笑いながら言われている。そしてフィリップが人狼であることを知る多くの者達が口を揃えてそう言っていた。
金色の仔狼の姿からして、フィリップにそっくりなのだ。
そうして、バーナードが仔狼達をワシャワシャと撫で回している様子を思い出した。仔狼達は母親であるバーナードに尻尾を一生懸命に振って甘えている。
アレキサンドラと仔狼達を抱きしめているバーナードの姿を思い出していると、熱く胸にこみ上げるものがある。
(早く、早くバーナードに会いたい)
疾く想いだけが募っていく。
そして彼を抱きしめ、いつものように「愛している」と伝えたい。
きっと彼も、自分にそう言ってくれるだろう。
アレキサンドラと仔狼達は、仲良くなった人狼の村の子供達に別れの挨拶を告げている。
「また遊びに来てね」と言われているが、魔界の端にある人狼の村はそう簡単に来られる場所ではない。実際には難しいだろう。
ただ、他の人狼の子供達と会えたことは、ディヴィットとクリストフにとってとても良かったと思われた。
自分達以外にも人狼の仲間達がいるという事実を知ったこと、そして彼らと温かな交流が出来たことが、きっと今回の訪問の最も大きな収穫であった。
アレキサンドラがディヴィットとクリストフと一緒に、村の外れにあるという花畑に行ってくると言った。
そこには綺麗な花がたくさん咲いているのだ。
人間の世界にはない種類の花ばかりで、アレキサンドラはその花を押し花にして、自分を可愛がっているセーラ妃に持ち帰ろうと言っている。
果たして、魔界の花を押し花にして、王国の妃の元に土産として持っていくことはどうなのだろうかとフィリップが思っている時に、キャーという悲鳴とワンワンと必死に吠え立てる声が聞こえた。
慌ててフィリップが駆け付けた時、巨大な鳥の足にアレキサンドラの胴体が掴まれて、そのまま連れ攫われようとしているところであった。
「アレキサンドラ!!」
一瞬でフィリップは狼に姿を変えて、その巨鳥に飛び掛かるが、すでに高度を高くあげている鳥には届かない。
アレキサンドラの腕の中には、ディヴィットの体がしっかりと抱かれており、仔狼もまた「クゥンクゥン」と鳴き声を上げ、それを追うようにもう一頭の仔狼クリストフが懸命に飛んで行く鳥を追い駆けて走っていく。
フィリップも、クリストフも巨鳥を追い続けていたが、やがて巨鳥の姿は雲の間に隠れ、見えなくなってしまった。
フィリップは狼の姿から人の姿に戻り、人狼の村へと戻ると荒々しく、長ビヨルンへ言った。
「アレキサンドラとディヴィットが、巨大な鳥に攫われた。私は二人を追います」
その言葉に驚いたが、ビヨルンは頷く。
「分かった。お前とクリストフだけだと地理に疎いだろう。村の者をつける」
「有難うございます」
「巨大な鳥か。……ここ十数年それは出ていなかったが、おそらくイシャロークの怪鳥だろう。アレは、子供や仔狼を好んで攫う」
その先の言葉は聞かずともフィリップは察することができた。
子供も仔狼も肉が柔らかく、怪鳥にとって美味な御馳走であるのだ。
「巣穴はどこですか」
「ここから三日ほど離れた距離にある、森の中だろう。十数年出ていなかった鳥が出てきたというのなら、きっとイシャロークに雛が生まれたのだろう。近道して、先に巣を押さえた方がいい」
「近道が出来るのですか」
「ああ。ジャック達に頼もう」
そう人狼の長ビヨルンは、群れの若者を呼び寄せ、ジャックという狩りの名人である人狼の若者達三人が、フィリップと共に急いで村から出立したのだった。
*
頭頂部に冠のような黄色の羽を付けたそのイシャロークという巨大な鳥は、ぎゅっとアレキサンドラの胴体をその足で掴んだまま空を飛んで行く。
アレキサンドラは、みるみる地上が遠くなり、懸命に追い駆けてくる父親のフィリップ達の姿が小さくなり、やがて見えなくなったことに顔色を青ざめさせていた。
腕の中にいるディヴィットがクゥンクゥンと不安そうな声で鳴き続けており、アレキサンドラはその仔狼を落とすまいとぎゅっと抱きしめる。
もしこの高さから落ちてしまえば、地面に叩きつけられて、即座に死に至ることは幼いアレキサンドラにも理解できた。
冷たい風がアレキサンドラの黒い巻き毛の髪を揺らす。
バッサバッサとイシャロークは大きな翼をはためかせて飛んでいた。
翼は濃い緑色で、首から頭にかけては黒く、目の縁は白い鳥であった。魔界に固有の鳥であって、当然、アレキサンドラが見たことのない鳥である。ギョロリとした目の色は赤みがかった茶色である。
腕の中で震えながら鳴き続ける仔狼に、アレキサンドラは優しく励ますように言った。
「大丈夫よ、ディヴィット。きっとお父様が助けてくれる。お父様は強いんですもの。助けてくれるわ」
そうは言っても、巨大な鳥に空へと連れ去られているのである。
フィリップお父様が追いかけてくるのも一苦労のはずだ。そしてもう一人のバーナードお父様は人の世界で家族の帰りを待ち続けているため、あてにすることはできない。
どうにか、地上に降りて、どこかに隠れて巨鳥をやり過ごし、フィリップお父様に助けてもらうようにするしかないのではないかと思われた。
飛び続けるイシャロークが、海のように大きな湖の上を飛んだ時、湖面に跳ね上がる銀色の魚たちを見て、それを捉えようと口を開けて、降下した時がチャンスだった。
アレキサンドラは父親であるバーナードから、子供用の剣をもらい、この魔界に来た時も腰に下げていた。
今も彼女の腰にはそれが下がっている。
「ディヴィ、私の上着に噛みついて、離さないで。片手で支えるだけになるから」
左手で仔犬の腰を支え、右手でスラリと剣を抜いた。
子供用の剣とはいえ、バーナードはアレキサンドラに十分切れ味の鋭い上等の鋼の剣を渡していた。
フィリップは「アレキサンドラにはまだ早いのではないですか」と渋い顔をしていたが、バーナードは幼いアレキサンドラの剣の筋が良いことを見抜いており、彼女を膝の上にのせ、艶やかな黒い巻き毛の髪を撫でながら言っていた。
「アレキサンドラ、剣は騎士の命ともいえるものだ。大切にするように。お前は俺に似て、剣の才能がある。お前はきっと」
きっと良い騎士になれるだろう。
そう王国の騎士団長である父親から言われたことは、アレキサンドラにとって誇らしいことだった。
王子の婚約者であるアレキサンドラであったが、バーナードお父様は「いつ婚約を解消してもいいぞ」と鷹揚に笑って言っていた。
そして「俺の騎士団に入ってくれてもいい」とも。
フィリップお父様は呆れたような様子だったけれど、アレキサンドラは自分に剣を教えてくれる強いバーナードお父様が大好きだった。
そして剣を与えてくれたバーナードお父様の教えがついに役に立つ日が来た。
(剣なんてまだ早いと言われたけど、こうして剣があったから)
アレキサンドラは身をよじり、その自分を掴んでいる足を右手の剣で容赦なく斬りつけたのだった。
「ギィエェェェェェェェェェェェェ!!!!」
巨鳥は大きく声を上げる。その足の、アレキサンドラを掴んでいる部分が千切れかけるほどのダメージが与えられ、思わず彼女の胴体を掴んでいる爪が開かれる。
途端、アレキサンドラは仔犬を抱いたまま湖の中へと落ちていったのだった。
巨鳥は、痛みと片足を失った衝撃に鳴き続け、ギィエェェギィエェェと声を上げながら、遠く飛んでいってしまう。
湖面から頭を覗かせたアレキサンドラは、鳥が自分達を探すこともせずに遠ざかっていくことにホッとしていた。
アレキサンドラのすぐそばに、水から顔を出した仔狼のディヴィットがいた。ディヴィットの口には、剣の鞘が咥えられている。
機転を利かせて、ディヴィットはアレキサンドラが剣の鞘を払った後、湖に落ちたそれをすぐさま拾ってくれたようだった。
「ありがとう、ディヴィ」
立ち泳ぎをしながら、アレキサンドラはディヴィットの口から鞘を受け取って、剣をそれに仕舞う。
そして二人して、湖の中にある小島の一つに泳いでいったのだった。
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