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第二十一章 水路に潜むものと氷雪の剣
第八話 事件は続く
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あのタコの化け物を倒した後、付近の捜索をした騎士達は、壁に描かれた怪しい魔法陣を見つけた。
壁一面に描かれたソレが、あのタコの化け物を召喚したもので間違いないだろう。
黒っぽい壁に、白いインクで描かれたそれには、ところどころ黒ずんだ液体が大量に付着している。
シュルフスにはそれが、元は鮮やかな赤い色をしていて、時間の経過と共に黒っぽく変色したのだろうとわかっていた。
それは血だった。人間の血。
召喚をする時の代償として、捧げられたものだろう。
“魔”に関する何かを召喚するとなれば、代償は必須であった。
自身の身を捧げる術者もいるが、当然、それを避けるための生贄を用意する術者の方が多い。
そして多くの生贄を捧げれば捧げるほど、強い“魔”を呼び出せる。
都で、子供達が攫われている事件が頻発していると聞く。
とても無関係とは思えない。
そして犯人は今も見つかっていないのが現状だ。
犯人を捕まえなければ、事件は終わらないだろう。
先日、アルセウス王国から悪魔信奉者達が逃げ出したという報告を受けている。彼らがよりにもよって、この国へ流れ着いたということだ。
シュルフス魔術師長は、部下の魔術師達に、壁の忌まわしい魔法陣の紋様を紙に写すように指示しながら、暗澹たる思いでいたのだった。
*
その夜、怪我一つなく無事に戻ってきたハデス騎士団長を、いつもの屋敷の一室で、ラーシェは迎えて、表情には見せなかったが、内心安堵していたのだった。
逞しい男の腕に抱き締められながら、その夜はラーシェにしては、珍しく労わるように優しく愛し合ったのだった。
壁一面に描かれたソレが、あのタコの化け物を召喚したもので間違いないだろう。
黒っぽい壁に、白いインクで描かれたそれには、ところどころ黒ずんだ液体が大量に付着している。
シュルフスにはそれが、元は鮮やかな赤い色をしていて、時間の経過と共に黒っぽく変色したのだろうとわかっていた。
それは血だった。人間の血。
召喚をする時の代償として、捧げられたものだろう。
“魔”に関する何かを召喚するとなれば、代償は必須であった。
自身の身を捧げる術者もいるが、当然、それを避けるための生贄を用意する術者の方が多い。
そして多くの生贄を捧げれば捧げるほど、強い“魔”を呼び出せる。
都で、子供達が攫われている事件が頻発していると聞く。
とても無関係とは思えない。
そして犯人は今も見つかっていないのが現状だ。
犯人を捕まえなければ、事件は終わらないだろう。
先日、アルセウス王国から悪魔信奉者達が逃げ出したという報告を受けている。彼らがよりにもよって、この国へ流れ着いたということだ。
シュルフス魔術師長は、部下の魔術師達に、壁の忌まわしい魔法陣の紋様を紙に写すように指示しながら、暗澹たる思いでいたのだった。
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その夜、怪我一つなく無事に戻ってきたハデス騎士団長を、いつもの屋敷の一室で、ラーシェは迎えて、表情には見せなかったが、内心安堵していたのだった。
逞しい男の腕に抱き締められながら、その夜はラーシェにしては、珍しく労わるように優しく愛し合ったのだった。
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