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第十七章 金色の仔犬と最愛の番
第十二話 作戦(中)
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バーナード騎士団長は、当然のようにマグル王宮副魔術師長にも声をかけた。
バーナードの考案する作戦に、彼の協力が必須だったからだ。
呼び出したマグルは、ディーターとゼイハという人狼族に会うことが出来て、非常に感激していた。
「うわ、人狼族なんてすげぇ。希少種だというのに、ここに三人も揃っているのがすごいな」
そしてマグルはバーナードの求めるまま、あの“若返りの魔道具”の首輪を用意したのだ。
今回は二つの首輪を用意している。
「ディーター、そしてゼイハ、狼に姿を変えられるか」
バーナードがそう尋ねると、二人は勿論と答えた。
そして一瞬で二人は真っ黒い大きな狼にその姿を変えたのだ。足元にまとっていた服がバサバサと落ちていく。目の前にいるのは、黒くフサフサとした毛並みを持つ立派な成獣の狼であった。
それに、フィリップは息を飲んだ。
こんなにもたやすく、意志の力だけで変身できるのか。
自分も早く、このように自由に変身できるようになりたかった。
「作戦を話そう。お前達は今からこの魔法の首輪をつけて、小型化してもらう」
「「!!」」
「フィリップの時もそうだが、小型化した人狼は随分と可愛くなるようだ。それで、その可愛い小型化した人狼を、近衛騎士団に送り込む。小型化した人狼は可愛すぎて、仔犬にしか見えないぞ」
バーナード騎士団長は、可愛いを三度もその台詞の中で言っていた。余程、その可愛さに感銘を受けていたことが伺い知れる。
「…………」
フィリップは額に手を当て、バーナードに何か言いたげな様子であったが、マグル王宮副魔術師長はその作戦を絶賛していた。
「さすがバーナード。あんな可愛いミニ狼になれば、近衛といえど、メロメロになる。王立騎士団の騎士達がそうだったからな!!」
「ああ、そうだろう」
「……団長、そんな……メロメロになるとかはないと思いますよ」
「いや、大丈夫だ。任せろ!!」
やたらと自信に満ち溢れているバーナード騎士団長。早速二人の人狼の首に、茶色の首輪をはめ、黒い魔石にたっぷりと魔力を込めていった。
しばらくして、目の前にいたのは真っ黒い小型の狼であった。黒い毛がふさふさとして、ぬいぐるみのような愛らしさである。
バーナードもマグルも目を輝かせ、一頭ずつ抱き上げては頬ずりをしていた。
「やはり可愛いじゃないか」
「すげぇーかわいい。黒いのもいいな!!」
あれだけ金色の仔犬になっていた時は、自分のことを絶賛していたのにと、少し面白くないフィリップだった。不機嫌な口調で尋ねる。
「それで、この後はどうするんですか」
「近衛騎士団の拠点にこいつらを迷いこませる。そこで愛想を振りまいてしばらく“飼って”もらえばいい。そしてしばらく近衛騎士団の中にいろ。そうしてジェラルド騎士の情報を得ればいいだろう」
「すげぇ、バーナード。お前の計画は完璧すぎる」
黒い仔犬のようになったディーターとゼイハも賛同するように吠えていた。
皆の絶賛に、バーナードは機嫌がよくなっているが、フィリップは不安だった。
「そんなにうまく行きますか。もし、近衛騎士の中に犬嫌いの人間がいたら」
「大丈夫だ。可愛いが最後には絶対に勝つからな!!」
よく分からない論理を展開するバーナード騎士団長。
一抹の不安をフィリップ副騎士団長が胸に抱えながら、近衛騎士団の中へ“黒い仔犬を送り込む”作戦はスタートしようとしていた。
そして翌日、バーナード騎士団長は、二頭の黒い仔犬を王宮へ連れていき、そしてこそっと近衛騎士団の建物前に置いていった。
既にディーターとゼイハの二人には近衛騎士団の入口の扉の場所は教えていたから、仔犬達はそこからスタスタと入って行く。
しばらくして建物の中から「かわいい」「うわっ」と喜ぶ近衛騎士達の声が聞こえ、バーナード騎士団長はニヤリと笑って、その場を後にしたのだった。
王宮のマグル副魔術師の部屋に行くと、満足そうな顔でバーナード騎士団長は「成功した」と言った。
あんな穴だらけで、ただ「可愛い」だけを押し付ける作戦で成功するのだろうかとフィリップ副騎士団長は心配していたが、なんとかなるのが不思議だった。
ただ気になったのが。
「あの二人をどうやって回収するんですか?」
その問いかけに、バーナード騎士団長は「…………そうだな。俺がバートに姿を変えて、様子を見にいってみるかな」とあまり深く考えていない様子だった。
果たして大丈夫なのだろうかと、作戦の進行に、いささか不安になるフィリップ副騎士団長だった。
バーナードの考案する作戦に、彼の協力が必須だったからだ。
呼び出したマグルは、ディーターとゼイハという人狼族に会うことが出来て、非常に感激していた。
「うわ、人狼族なんてすげぇ。希少種だというのに、ここに三人も揃っているのがすごいな」
そしてマグルはバーナードの求めるまま、あの“若返りの魔道具”の首輪を用意したのだ。
今回は二つの首輪を用意している。
「ディーター、そしてゼイハ、狼に姿を変えられるか」
バーナードがそう尋ねると、二人は勿論と答えた。
そして一瞬で二人は真っ黒い大きな狼にその姿を変えたのだ。足元にまとっていた服がバサバサと落ちていく。目の前にいるのは、黒くフサフサとした毛並みを持つ立派な成獣の狼であった。
それに、フィリップは息を飲んだ。
こんなにもたやすく、意志の力だけで変身できるのか。
自分も早く、このように自由に変身できるようになりたかった。
「作戦を話そう。お前達は今からこの魔法の首輪をつけて、小型化してもらう」
「「!!」」
「フィリップの時もそうだが、小型化した人狼は随分と可愛くなるようだ。それで、その可愛い小型化した人狼を、近衛騎士団に送り込む。小型化した人狼は可愛すぎて、仔犬にしか見えないぞ」
バーナード騎士団長は、可愛いを三度もその台詞の中で言っていた。余程、その可愛さに感銘を受けていたことが伺い知れる。
「…………」
フィリップは額に手を当て、バーナードに何か言いたげな様子であったが、マグル王宮副魔術師長はその作戦を絶賛していた。
「さすがバーナード。あんな可愛いミニ狼になれば、近衛といえど、メロメロになる。王立騎士団の騎士達がそうだったからな!!」
「ああ、そうだろう」
「……団長、そんな……メロメロになるとかはないと思いますよ」
「いや、大丈夫だ。任せろ!!」
やたらと自信に満ち溢れているバーナード騎士団長。早速二人の人狼の首に、茶色の首輪をはめ、黒い魔石にたっぷりと魔力を込めていった。
しばらくして、目の前にいたのは真っ黒い小型の狼であった。黒い毛がふさふさとして、ぬいぐるみのような愛らしさである。
バーナードもマグルも目を輝かせ、一頭ずつ抱き上げては頬ずりをしていた。
「やはり可愛いじゃないか」
「すげぇーかわいい。黒いのもいいな!!」
あれだけ金色の仔犬になっていた時は、自分のことを絶賛していたのにと、少し面白くないフィリップだった。不機嫌な口調で尋ねる。
「それで、この後はどうするんですか」
「近衛騎士団の拠点にこいつらを迷いこませる。そこで愛想を振りまいてしばらく“飼って”もらえばいい。そしてしばらく近衛騎士団の中にいろ。そうしてジェラルド騎士の情報を得ればいいだろう」
「すげぇ、バーナード。お前の計画は完璧すぎる」
黒い仔犬のようになったディーターとゼイハも賛同するように吠えていた。
皆の絶賛に、バーナードは機嫌がよくなっているが、フィリップは不安だった。
「そんなにうまく行きますか。もし、近衛騎士の中に犬嫌いの人間がいたら」
「大丈夫だ。可愛いが最後には絶対に勝つからな!!」
よく分からない論理を展開するバーナード騎士団長。
一抹の不安をフィリップ副騎士団長が胸に抱えながら、近衛騎士団の中へ“黒い仔犬を送り込む”作戦はスタートしようとしていた。
そして翌日、バーナード騎士団長は、二頭の黒い仔犬を王宮へ連れていき、そしてこそっと近衛騎士団の建物前に置いていった。
既にディーターとゼイハの二人には近衛騎士団の入口の扉の場所は教えていたから、仔犬達はそこからスタスタと入って行く。
しばらくして建物の中から「かわいい」「うわっ」と喜ぶ近衛騎士達の声が聞こえ、バーナード騎士団長はニヤリと笑って、その場を後にしたのだった。
王宮のマグル副魔術師の部屋に行くと、満足そうな顔でバーナード騎士団長は「成功した」と言った。
あんな穴だらけで、ただ「可愛い」だけを押し付ける作戦で成功するのだろうかとフィリップ副騎士団長は心配していたが、なんとかなるのが不思議だった。
ただ気になったのが。
「あの二人をどうやって回収するんですか?」
その問いかけに、バーナード騎士団長は「…………そうだな。俺がバートに姿を変えて、様子を見にいってみるかな」とあまり深く考えていない様子だった。
果たして大丈夫なのだろうかと、作戦の進行に、いささか不安になるフィリップ副騎士団長だった。
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