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第十五章 王立魔術学園の特別講師
第十六話 後始末(上)
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媚薬をさんざん口にさせられたのが悪かった。
頭に霞がかかったように、思考がまともに働かない。
目の前の金髪の若者が、フィリップの姿でありながらも、その正体が別の男であることはわかっている。
だけど、身体の中を渦巻くどうしようもない熱と猛烈な疼きが、容赦なく正常な思考を奪っていく。
(フィリップじゃない、フィリップじゃない)
だけど、今、フィリップが欲しかった。欲しくて欲しくてたまらなかった。
体を覆うこの熱は、彼に抱いてもらわなければ鎮まることはない。それも本能的に分かっている。理解している。
彼にいつものように抱いて欲しかった。
(フィリップじゃない)
分かっているのに、目の前のフィリップの姿をした男に抱き締められ、唇を求められた時、抵抗することが出来なかった。唇を貪るように吸われ、舌を絡ませられる。濃厚な口づけにますます体は熱くなり、発情が進んで行く。
「お前を……絶対に殺してやる」
バートは呻くように呟いた。
苦しさに目尻から涙が零れる。
フィリップの姿を取るこの男が憎くてたまらない。
クラスメイト達を操り、その自由を奪った。
絶対に許せない。
彼の姿をとって、自分を抱こうとすることが。
「まだ抵抗できるのか、凄いな」
フィリップの姿をした男は、柔らかな口内を散々嬲った後、その唇からバートの精力を吸い上げた。その濃密なバートの精力に満足する。やはり、この少年の身には多くの精力が満ちており、それは彼が強い魔族の一員であることの証拠のようなものだった。
これからその身を貪り喰うことが、楽しみで仕方ない。
目の前のフィリップが、あざ笑う。
彼はそんな笑い方をしない。
唇を噛み締め、身を強張らせ、なんとか抵抗を続けようとする少年の強い意志を、ウルディヌスは無駄な努力だと考えていた。どうせ彼はすぐに堕ちていく。
「お前が、私を欲しくてたまらないと言うまで、もっと媚薬を継ぎ足そうか。おい、お前、媚薬をこいつに追加してやれ」
“淫魔の王”ウルディヌスがそうアーゼン達に命令した次の瞬間、教室の扉が吹っ飛び、入ってきた何かに腹を殴られて彼は壁際まで勢いよく吹き飛んだ。頭を激しく壁に打ち付けて昏倒する。ウルディヌスは体力の全くない淫魔であった。肉体は脆い。
次いで、ウルディヌスの横にいた淫魔のパラフィンヌも容赦なく腹を殴られて意識を失う。それは一瞬の出来事だった。
命令主がいなくなったアーゼン達三人の少年は、ガクンと膝をつき、床に倒れ込んだ。
その目は虚ろに光を無くしていた。
教室に走り込んで来たのはフィリップだった。
彼は教室内の惨状に顔をしかめ、それからバートの体を抱き上げる。その身をきつく抱きしめる。
いつにも増して強く抱きしめられたが、その時のバートにはそれに文句を言う気力もなかった。
「大丈夫ですか!! 団長」
「…………フィリップ……」
「私です、団長!!」
「……ほん……本当に?」
バートの息が上がる。安堵した瞬間、急速に今まで耐えに耐えていた媚薬の効果が体中に広がった。
ぐいとフィリップの胸元を掴むと噛みつくように口づけた。
それから床の上に、有無を言わさぬ強い力でフィリップを押し倒す。
押し倒されたフィリップが見上げると、バートの両眼はギラギラと欲望に満ちた強い光を放っていた。彼は獣のように、ハァハァと荒く息を吐いていた。
「もう、我慢できない」
「え、あ……え?」
「やらせろ!!」
「え、ちょっ、ちょっと待ってください、バーナード」
フィリップのズボンを一気に引きずり下ろし、そしてバートの手が懸命にフィリップの欲望を扱き始める。
「待ってください、ちょっとバーナード」
「我慢できないんだ」
固くなったそれに自ら腰を下ろそうとしている時に、マグルの声がかかった。
「バーナードを気絶させろよ、フィリップ」
「!!」
いつの間にかマグルが教室に入ってきていた。
彼は赤い顔をし、二人の姿を見ないようにしながらもこう言った。
「ここでするのはマズいだろう。でも」
マグルは床の上に転がり落ちている媚薬の空瓶を目にして、状況を正確に判断していた。
「バーナードが我慢できないのもわかる。気絶させて、屋敷に連れて帰れ。そこで死ぬほどヤリまくれよ。後始末は、仕方ないから僕が全部しておいてやる」
マグルはやれやれという様子で肩をすくめ、気絶している“淫魔の王”を足で軽く蹴っていた。
頭に霞がかかったように、思考がまともに働かない。
目の前の金髪の若者が、フィリップの姿でありながらも、その正体が別の男であることはわかっている。
だけど、身体の中を渦巻くどうしようもない熱と猛烈な疼きが、容赦なく正常な思考を奪っていく。
(フィリップじゃない、フィリップじゃない)
だけど、今、フィリップが欲しかった。欲しくて欲しくてたまらなかった。
体を覆うこの熱は、彼に抱いてもらわなければ鎮まることはない。それも本能的に分かっている。理解している。
彼にいつものように抱いて欲しかった。
(フィリップじゃない)
分かっているのに、目の前のフィリップの姿をした男に抱き締められ、唇を求められた時、抵抗することが出来なかった。唇を貪るように吸われ、舌を絡ませられる。濃厚な口づけにますます体は熱くなり、発情が進んで行く。
「お前を……絶対に殺してやる」
バートは呻くように呟いた。
苦しさに目尻から涙が零れる。
フィリップの姿を取るこの男が憎くてたまらない。
クラスメイト達を操り、その自由を奪った。
絶対に許せない。
彼の姿をとって、自分を抱こうとすることが。
「まだ抵抗できるのか、凄いな」
フィリップの姿をした男は、柔らかな口内を散々嬲った後、その唇からバートの精力を吸い上げた。その濃密なバートの精力に満足する。やはり、この少年の身には多くの精力が満ちており、それは彼が強い魔族の一員であることの証拠のようなものだった。
これからその身を貪り喰うことが、楽しみで仕方ない。
目の前のフィリップが、あざ笑う。
彼はそんな笑い方をしない。
唇を噛み締め、身を強張らせ、なんとか抵抗を続けようとする少年の強い意志を、ウルディヌスは無駄な努力だと考えていた。どうせ彼はすぐに堕ちていく。
「お前が、私を欲しくてたまらないと言うまで、もっと媚薬を継ぎ足そうか。おい、お前、媚薬をこいつに追加してやれ」
“淫魔の王”ウルディヌスがそうアーゼン達に命令した次の瞬間、教室の扉が吹っ飛び、入ってきた何かに腹を殴られて彼は壁際まで勢いよく吹き飛んだ。頭を激しく壁に打ち付けて昏倒する。ウルディヌスは体力の全くない淫魔であった。肉体は脆い。
次いで、ウルディヌスの横にいた淫魔のパラフィンヌも容赦なく腹を殴られて意識を失う。それは一瞬の出来事だった。
命令主がいなくなったアーゼン達三人の少年は、ガクンと膝をつき、床に倒れ込んだ。
その目は虚ろに光を無くしていた。
教室に走り込んで来たのはフィリップだった。
彼は教室内の惨状に顔をしかめ、それからバートの体を抱き上げる。その身をきつく抱きしめる。
いつにも増して強く抱きしめられたが、その時のバートにはそれに文句を言う気力もなかった。
「大丈夫ですか!! 団長」
「…………フィリップ……」
「私です、団長!!」
「……ほん……本当に?」
バートの息が上がる。安堵した瞬間、急速に今まで耐えに耐えていた媚薬の効果が体中に広がった。
ぐいとフィリップの胸元を掴むと噛みつくように口づけた。
それから床の上に、有無を言わさぬ強い力でフィリップを押し倒す。
押し倒されたフィリップが見上げると、バートの両眼はギラギラと欲望に満ちた強い光を放っていた。彼は獣のように、ハァハァと荒く息を吐いていた。
「もう、我慢できない」
「え、あ……え?」
「やらせろ!!」
「え、ちょっ、ちょっと待ってください、バーナード」
フィリップのズボンを一気に引きずり下ろし、そしてバートの手が懸命にフィリップの欲望を扱き始める。
「待ってください、ちょっとバーナード」
「我慢できないんだ」
固くなったそれに自ら腰を下ろそうとしている時に、マグルの声がかかった。
「バーナードを気絶させろよ、フィリップ」
「!!」
いつの間にかマグルが教室に入ってきていた。
彼は赤い顔をし、二人の姿を見ないようにしながらもこう言った。
「ここでするのはマズいだろう。でも」
マグルは床の上に転がり落ちている媚薬の空瓶を目にして、状況を正確に判断していた。
「バーナードが我慢できないのもわかる。気絶させて、屋敷に連れて帰れ。そこで死ぬほどヤリまくれよ。後始末は、仕方ないから僕が全部しておいてやる」
マグルはやれやれという様子で肩をすくめ、気絶している“淫魔の王”を足で軽く蹴っていた。
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